日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第210回 ロケットマンの憂鬱

第210回 ロケットマンの憂鬱 令和元年七月(2019)川口 スキップシティ多目的ホール 埼玉県川口市でおこなわれているスキップシティ国際Ⅾシネマ映画祭、デジタルによる映像作品を国内、海外から公募し、優秀作品を上映する映画祭で、二〇〇四年より開…

『映画に溺れて』第209回 古川タクのアニメおもちゃ箱

第209回 古川タクのアニメおもちゃ箱 平成十一年十月(1999)東中野 BOX東中野 うちの子供が幼い頃、NHKの幼児番組「おかあさんといっしょ」や「みんなのうた」を、私もいっしょになって、いつも見ていた。 ちょうどその頃、財津和夫の歌う『切…

『映画に溺れて』第208回 テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト

第208回 テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト 平成十一年八月(1999)渋谷 ユーロスペース2 一九四〇年代に活躍したテックス・エイヴリーの短編アニメ、Aプログラム十二本、Bプログラム十二本、計二十四本を渋谷のユーロスペースで上映。このと…

『映画に溺れて』第207回 幽霊VS宇宙人

第207回 幽霊VS宇宙人 平成十五年八月(2003)下北沢 シネマ下北沢 世の中には幽霊や心霊現象を信じている人がいる。宇宙人の存在を疑わない人がいる。幽霊も宇宙人も絶対にいるよ、という人もいる。どちらもいるとすれば、そのふたつが出会っても…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第40回 パック・トゥ・ザ・フューチャー

昭和34年(1959)。東京は、オリンピック招致が決まるかどうかの瀬戸際を迎えていました。 オリンピック招致委員会に、一人の男が呼ばれます。平沢和重(星野 源)。外交官を経て、NHKに入り、時事問題を15分にまとめてわかりやすく解説し、お茶の間の、特に…

『映画に溺れて』第206回 東京うんこ

第206回 東京うんこ 平成二十三年七月(2011)新宿 K‘sシネマ 奇抜なタイトルの場合、タイトルだけで観たくなる場合と、観たくなくなる場合があって、私はこの映画『東京うんこ』はそれだけで大変興味を持った。 東京は高円寺のアパートに住む若い…

『映画に溺れて』第205回 非女子図鑑

第205回 非女子図鑑 平成二十三年七月(2011)新宿 K‘sシネマ 六つの短編、オープニングを入れて七人の監督の競作である。非女子とは、女らしくない女性というような意味だろうか。 占い好きで毎日神社でおみくじを引く女子高校生、彼女はおみくじ…

三日木人さん新刊

新入会員・三日木人さんの新刊です。 著者・三日木人さんよりコメント 「この度、NHK大河ドラマ誘致推進協議会、三好長慶顕彰諸団体、徳島県人会、関連自治体等のご支援ご協力を得て『新・三好長慶伝ー龍は天道をゆく』(幻冬舎)を上梓いたしました。配本書…

『映画に溺れて』第204回 華氏119

第204回 華氏119 平成三十年十一月(2018)大阪 梅田 大阪ステーションシネマ ドナルド・トランプというのは、どうも嫌な感じで、アクションやミステリ映画では必ず悪役になるタイプである。差別主義者、金の亡者、パワハラ、セクハラ、不道徳。下…

書評『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』

書 名 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』著者名 平谷美樹発 売 大和書房発行年月日 2019年9月15日定 価 ¥680E 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末5 名月怪談 (だいわ文庫) 作者: 平谷美樹 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2019/09/12 メディア: 単行本(ソフト…

『映画に溺れて』第203回 リメンバー・ミー

第203回 リメンバー・ミー 平成三十年十月(2018)飯田橋 ギンレイホール 骸骨の扮装で人々が踊るメキシコの祭「死者の日」が題材の、ピクサー製作のディズニーアニメ。 音楽家を目指した曽曽祖父が家族を捨てて家を出て以来、曽曽祖母は靴屋を創業し…

『映画に溺れて』第202回 競輪上人行状記

第202回 競輪上人行状記 平成十五年十一月(2003)下高井戸 下高井戸シネマ 『幕末太陽伝』で貸本屋の金公を演じた小沢昭一は名脇役で、主演映画はそれほど多くはないが、私の大好きな俳優である。 小沢の主演作『競輪上人行状記』は七十年代にTVで…

『映画に溺れて』第201回 新幹線大爆破

第201回 新幹線大爆破 昭和五十年九月(1975)京都 一乗寺 京一会館 昭和五十年七月の封切りだが、ヒットせず、私は二か月後に二番館に回ってきたのを三本立てで観た。国鉄新幹線の東京博多間が開通したのがこの年の三月で、映画は開通したばかりの新…

『映画に溺れて』第200回 男と女

第200回 男と女 平成二十三年五月(2011)日比谷 みゆき座 クロード・ルルーシュの映画を初めて観たのは高校生のとき、『白い恋人たち』だった。冬季オリンピックのドキュメンタリーでフランシス・レイのテーマ曲が大ヒットした。そして『流れ者』『…

『映画に溺れて』第199回 地上5センチの恋心

第199回 地上5センチの恋心 平成二十年八月(2008)飯田橋 ギンレイホール 主人公オデット・トゥールモンドはデパートの化粧品売り場に勤める中年女性。十年前に夫を亡くし、成人した息子と娘とベルギーの小さなアパートでつつましく暮らしている。…

『映画に溺れて』第198回 殿方ご免遊ばせ

第198回 殿方ご免遊ばせ 平成二十二年十二月(2010)六本木 シネマート六本木 バルドーの主演作を初めて映画館で観たのは一九七〇年代の初め、『華麗なる対決』というフランス製のコメディ西部劇だった。マイケル・J・ポラードの保安官以外は、住民…

『映画に溺れて』第197回 アメリ

第197回 アメリ 平成十四年一月(2002)池袋 テアトル池袋 主人公のアメリは内気で不器用、周囲の人となかなかうまく溶け込めない。 彼女がある日、TVでダイアナ妃事故死のニュースを見て、びっくりしたとたん、化粧品の蓋が転がり、壁の隙間に入る…

『映画に溺れて』第196回 今さら言えない小さな秘密

第196回 今さら言えない小さな秘密 令和元年八月(2019)築地 松竹試写室 なにを隠そう、私は子供の頃から自転車に乗れない。結婚して子供ができて、家族で公園などに遊びに行くとき、みんな自転車なのに、私ひとりが徒歩かバスだった。町ではけっこ…

『映画に溺れて』第195回 フローズンタイム

第195回 フローズンタイム 平成二十年八月(2008)高田馬場 早稲田松竹 時間の感覚は個人的なもので、実際に同じ時間を過ごしていても、楽しいとあっという間に過ぎてしまったり、退屈だとなかなか進まなかったりする。それが極端になると、この映画…

『映画に溺れて』第194回 サロゲート

第194回 サロゲート 平成二十二年二月(2010)新宿 新宿ピカデリー テクノロジーの進歩した近未来、身障者用に人工の腕や足が開発される。脳からの信号で、実際の手足と同じように動かせるマシーン。それが進歩すると、今度は全身に活用。やがて戦争…

『映画に溺れて』第193回 トゥルーマン・ショー

第193回 トゥルーマン・ショー 平成十年十二月(1998)新宿 新宿ピカデリー1 このアイデアだけで観たくなった。 ひとりの赤ん坊が生まれる。名前はトゥルーマン。そして彼の主演するTVドラマ『トゥルーマン・ショー』が始まる。母親も父親も友人も…

新書専門書ブックレビュー8

『戦況図解 信長戦記』(小和田哲雄監修、サンエイ新書) 戦況図解 信長戦記 (サンエイ新書) 作者: 小和田哲男 出版社/メーカー: 三栄書房 発売日: 2019/07/12 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 来年のNHK大河ドラマの主人公は、明智光秀だそうで…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第39回 懐かしの満州

昭和36年(1961)。古今亭志ん生(ビートたけし)は病室で寝ています。家族には意識が戻らないことにして、こっそりとお酒を飲んでいたのでした。弟子の五りん(神木隆之介)が酒を買って病室に入ってきます。買ってきたのはウォッカでした。「これは駄目だ…

『映画に溺れて』第192回 マトリックス

第192回 マトリックス 平成十一年九月(1999)錦糸町 楽天地シネマ1 この映画を観たあと、私は周囲を見回した。私が今、見ている景色、触ったり、音を聴いたり、食べたり飲んだり、人と会って話をしたり、それは本当のことなのか。 私は全然別の場所…

『映画に溺れて』第191回 トータルリコール

第191回 トータルリコール 平成二年十二月(1990)新所沢 レッツシネパーク・レッド フィリップ・K・ディックの短編が好きで、以前、ずいぶんと読んだものだ。 記憶にまつわる物語が多かったように思う。人間の記憶は曖昧であり、われわれは自分の都…

『映画に溺れて』第190回 ヒッチコック

第190回 ヒッチコック 平成二十五年三月(2013)六本木 20世紀フォックス試写室 映画監督のアルフレッド・ヒッチコック、私は子供の頃からその容貌はよく知っていた。TVの『ヒッチコック劇場』で最初と最後に解説をするのがヒッチコックだったの…

『映画に溺れて』第189回 ダイヤルMを廻せ!

第189回 ダイヤルMを廻せ! 平成八年四月(1996)銀座 銀座文化 『刑事コロンボ』がTVで放送されたとき、驚いたのは、ミステリなのに最初から犯人がわかっていることだった。それをコロンボがじわじわと追い詰める。倒叙ミステリである。 ヒッチコ…

『映画に溺れて』第188回 見知らぬ乗客

第188回 見知らぬ乗客 令和元年五月(2019)池袋 新文芸坐 ガイは列車で乗り合わせた男から愛想よく話しかけられる。ガイ・ヘインズさんでしょう。テニスの花形選手の。 親切そうな男なので、行きがかり上、同じコンパートメントで食事をして酒を飲む…

『映画に溺れて』第187回 鳥

第187回 鳥 平成二十四年一月(2012)府中 TOHOシネマズ府中 サンフランシスコの町並みを急いで歩く美女。彼女はどこへ行くのかというと、鳥専門のペットショップである。ここで九官鳥を注文するのだが、店員が席をはずしている間に男の客が来て…

『映画に溺れて』第186回 アラクノフォビア

第186回 アラクノフォビア 平成三年六月(1991)池袋 文芸坐 ファーストシーン、昆虫学者が南米の奥地で虫を採集しており、未知の蜘蛛を発見する。同行のカメラマンが蜘蛛に襲われるが、死因が判明しないまま、死体は棺に納められ彼の故郷であるアメ…