日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第26回 男はつらいよ

第26回 男はつらいよ 昭和五十年二月(1975)大阪 北浜 三越劇場 渥美清といえば、車寅次郎ことフーテンの寅。 最初、TVドラマとして放送され、翌年の一九六九年に劇場用の映画となり、次々と続編が作られて、その数は四十八作に及ぶが、私が特に好…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第16回 ベルリンの壁

教員にならずに、マラソン一本の道を決めた金栗四三(中村勘九郎)。足袋(たび)屋の播磨屋の二階に下宿します。次のベルリンオリンピックを目指します。 四三のもとには、結婚したスヤの家から、仕送りまでが送られてきていました。その金で毎日のように豚…

『映画に溺れて』第25回 ヤコペッティの残酷大陸

第25回 ヤコペッティの残酷大陸 昭和四十七年四月(1972)大阪 梅田 阪急プラザ劇場 白人の幼い少女が散歩している。手に紐を握って。紐の先につながれているのは、首輪をした幼い黒人の少年。少女は犬の散歩のごとく、黒人少年を散歩させていたという…

『映画に溺れて』第24回 ジャンゴ 繋がれざる者

第24回 ジャンゴ 繋がれざる者 平成二十五年三月(2013)渋谷 渋谷シネパレス いきなり流れる主題歌はマカロニウエスタンの名曲『続・荒野の用心棒』のテーマ。かつて三池崇史監督の『スキヤキウエスタン』では北島三郎がラストで歌っていた。日本語で…

『映画に溺れて』第23回 ブラックライダー

3第23回 ブラックライダー 昭和四十七年九月(1972)大阪 阿倍野 アポロローズ 七十年代、アメリカの人種問題を扱った映画が社会派からエンターテインメントまでたくさん作られて、シドニー・ポワチエもまた西部劇『ブラックライダー』を監督している…

『映画に溺れて』第22回 夜の大捜査線

第22回 夜の大捜査線 平成二十三年九月(2011)府中 TOHOシネマズ府中 初めて『夜の大捜査線』を観たのは一九七二年の秋、TVの日曜洋画劇場だった。あの頃は淀川長治、荻昌弘、水野晴郎など著名評論家の解説付きで、毎週毎週、何本もTVで海外…

『映画に溺れて』第21回 グリーンブック

第21回 グリーンブック 平成三十一年一月(2019)青山 ギャガ試写室 人種差別という社会的な題材を扱いながら、物語はコメディ調。上品で知的で教養溢れる黒人と、がさつですぐに暴力をふるいたがる白人、このふたりの取り合わせが漫才のように展開す…

『映画に溺れて』第20回 森の石松鬼より恐い

第20回 森の石松鬼より恐い 平成二十一年十一月(2009)池袋 新文芸坐 これは池袋の新文芸坐、中村錦之助の特集上映会「錦之助映画祭り」で観た。以前から観たいと思っていた作品で、うれしかった。 最初、現代の東京、つまり一九六〇年の東京が映し出…

頼迅庵の歴史エッセイ4

4 江戸時代の三大改革と江戸町奉行 享保の改革、寛政の改革、天保の改革を江戸時代(又は近世)の三大改革といいます。この三つの時代と改革の推進者、そして町奉行を見てみましょう。 享保の改革(享保元年(1716)~延享二年(1745)) 推進者:八代将軍徳…

決起集会のお知らせ

日本歴史時代作家協会会員 御一同様 お待たせしました。当協会の第一歩となる「総会」を5月15日に開催いたします。詳細は添付資料pdfをお読みください。また、当協会の会則pdfも添付します。添付資料2点が開けない、読めない方は速やかにお知らせください。 …

『映画に溺れて』第19回 クレイジーだよ奇想天外

第19回 クレージーだよ奇想天外 平成二年十二月(1990)桜木町 ヨコハマニュース劇場 中学時代に見損ねて、ずっと憧れていた作品。「ぴあ」を片手に横浜まで出かけて、ようやく観られたのが三十代の頃。クレージー映画では、私はこれが一番好きだ。 S…

『映画に溺れて』第18回 花のお江戸の無責任

第18回 花のお江戸の無責任 昭和三十九年十二月(1964)大阪 梅田 私が小学生の頃、一番の人気はクレージーキャッツだった。七人組のコミックバンドで、リーダーが強面のハナ肇、花形スターが植木等、エキセントリックな味の谷啓。この三人に加えて、…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第15回 あゝ結婚

兄の実次(中村獅童)に呼ばれて金栗四三(中村勘九郎)は熊本に帰ってきました。そこで四三に見合いの席が用意されてあったのです。相手はなんと幼なじみのスヤ(綾瀬はるか)でした。スヤは地主の池部家に嫁に行ったはず。訳のわからない四三でした。 スヤの夫は…

鋳物の街川口見学会のお知らせ

鋳物の街川口見学会のお知らせ 大宮郷土史研究会のイベントに便乗する形で参加を予定しております。見学会の内容紹介:川口は日光御成道の一番目の宿として、また江戸時代以前から鋳物の街として発展してきました。しかし、最近は都市化に伴って排煙や煤塵が…

『映画に溺れて』第17回 シンクロナイズドモンスター

第17回 シンクロナイズドモンスター 平成二十九年八月(2017)京橋 テアトル試写室 怪獣映画にもいろいろあるが、これはちょっとユニークな怪獣もの。 アン・ハサウェイふんする主人公、ニューヨークでライターの仕事をクビになり、恋人とも別れて、故…

『映画に溺れて』第16回 キングコング 

第16回 キングコング 平成十八年一月(2006)渋谷 渋東シネタワー3 一九三三年の『キングコング』は大ヒットとなり、続編、リメイク、パロディなどたくさん作られ、ゴジラとも対決している。 これを二十一世紀のコンピュータグラフィックスを駆使して…

『映画に溺れて』第15回 マタンゴ

第15回 マタンゴ 昭和三十八年八月(1963) 大阪 梅田 これは小学四年生の夏休み。夏休みや冬休みには父や祖母が映画館に連れていってくれる。父も祖母も映画が好きだった。そして私は休みの映画がなにより楽しみだった。 特撮ながら、『マタンゴ』に…

「映画に溺れて」第14回 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

第14回 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 平成十四年一月(2002)新所沢 レッツシネパーク うちの子供たちが幼い頃、『とっとこハム太郎』というTVアニメが大好きで、それが劇場用映画になった。観たいというので、連れていった。ハムスタ…

『映画に溺れて』第13回 ゴジラ

第13回 ゴジラ 平成二年三月(1990)三鷹 三鷹オスカー ゴジラの第一作は終戦からそれほど年月が経っていない時期に作られた。 私が最初に観たゴジラは一九六二年の『キングコング対ゴジラ』であり、その後、ずうっと第一作を映画館で観る機会はなかっ…

『映画に溺れて』第12回 キングコング対ゴジラ

第12回 キングコング対ゴジラ 昭和三十七年八月(1962)大阪 梅田 私のゴジラ映画初体験は小学校三年のとき、父と観た『キングコング対ゴジラ』だった。 第一作『ゴジラ』が公開されたのが一九五四年、ということは、私が生まれた翌年にゴジラが世に出…

『映画に溺れて』第11回  大魔神

第11回 大魔神 昭和四十一年四月(1966)大阪 八尾 八尾会館 祖母が映画好きだったおかげで、幼少時にはしょっちゅういっしょに映画館に通ったが、何を観たか、あまり記憶にないのだ。ほとんど時代劇だったが。 六十年代の小学校入学時には、家にはす…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第14回 新世界

金栗四三(中村勘九郎)はオリンピックでの戦いを終え、ストックホルムから帰国しました。日本では明治天皇が崩御し、元号が大正に変わっていました。四三はオリンピック土産に、ヤリ投げのヤリや砲丸、円盤などを持ち帰ってきました。 高等師範学校に戻ると、…

大河ドラマウォッチを更新できます。

仕事の片がなんとかつき、大河ドラマウォッチを欠くことができました。

頼迅庵の歴史エッセイ3

3 「働き方改革」と柳生久通 平成31年4月1日は、新元号「令和」が発表された日です。おそらく、平成の小渕官房長官(当時)のように、菅官房長官の画像も今後折りに触れて映しだされることでしょう。 実は、この日は「働き方改革」による改正労働基準法の施…

『映画に溺れて』第10回 シャンハイヌーン

第10回 シャンハイヌーン 平成十三年一月(2001)新橋 新橋文化 私の学生時代、『燃えよドラゴン』が大ヒットし、様々なカンフー映画が作られたのだが、中国人のカンフーの名手がアメリカに渡って悪人と対決するイタリア製の『荒野のドラゴン』という…

大河ドラマウオッチは仕事のため更新が遅れます

大河ドラマウオッチは天堂さんの仕事が立て込んでいるため 更新が遅れます。申し訳ありません。ご了承下さい。 しばしお待ちを。m(_ _)m

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『映画に溺れて』第9回 荒野の渡世人

第9回 荒野の渡世人 平成十八年五月(2006)浅草 浅草名画座 三船敏郎の武士が活躍する西部劇『レッドサン』は公開当時、大変な話題になった。共演がチャールズ・ブロンソンとアラン・ドロン。監督がテレンス・ヤング。 幕府の使節が列車でアメリカの荒…

『映画に溺れて』第8回 さらば荒野

第8回 さらば荒野 昭和四十六年九月(1971)大阪 難波 南街劇場 西部劇のタイトルには「荒野」がつくものがけっこう多い。『荒野の七人』『荒野の決闘』『荒野の用心棒』『荒野のストレンジャー』などなど。『さらば荒野』を観たのは、高校三年のとき、…

頼迅庵の歴史エッセイ2

2 (江戸)町奉行と勘定奉行、そして柳生久通 東大名誉教授藤田覚氏の「勘定奉行の江戸時代」(ちくま新書)によれば、町奉行所は「御番所」といわれ、「長である町奉行は『御頭』などと呼ばれていた」(12ページ)といいます。続けて氏は同著で、「勘定奉行…