日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第95回 神風

第95回 神風 平成二年十月(1990)三鷹 三鷹オスカー 初めて映画を観た人たちは驚いたそうだ。リュミエール兄弟の駅に到着する汽車の映像。こちらに向かってどんどん走ってくるのだから。『カイロの紫のバラ』や『ラスト・アクション・ヒーロー』や『…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第26回 明日なき暴走

大日本体育協会(体協)は、アムステルダム・オリンピックに参加するための費用の捻出に苦しんでいました。押し寄せる選手たちに第二代会長の岸誠一(岩松了)は言います。「金も自分で集めてきたらどうだ。渡航費、国からぶんどってきたら二十人でも三十人…

『映画に溺れて』第94回 今夜、ロマンス劇場で

第94回 今夜、ロマンス劇場で 平成三十年一月(2018)西新橋 ワーナーブラザース試写室 男の子は、たいてい映画の中の美女を好きになる。それは憧れの女優自身であるとともに、劇中の役柄としてのヒロインでもある。ヒロインがつらい目にあえば、胸し…

新生第1回(通算第8回)日本歴史時代作家協会賞候補作の発表

1 新人賞候補作 (新人賞はデビューから3年以内の作家で、2018年6月から2019 年5月までの刊行作品が対象) 泉ゆたか『髪結百花』KADOKAWA2018年12月刊 大塚已愛『鬼憑き十兵衛』新潮社2019年3月刊 森山光太郎『火神子 天孫に抗いし者』朝日新聞出版2019年…

頼迅庵の歴史エッセイ10柳生久通のキャリア(4)

10 柳生久通のキャリア(4) (承前) 善左衛門切腹後の佐野家はどうなったでしょうか。 父佐野伝右衛門、母かよは、須田次郎左衛門にお預けとなります。次郎左衛門は伝右衛門の実弟で須田家へ養子にいった人物です。そのため差控えとなり、当分の間春日佐太郎…

『映画に溺れて』第93回 ラスト・アクション・ヒーロー

第93回 ラスト・アクション・ヒーロー 平成五年九月(1993)歌舞伎町 ミラノ座 ウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』は映画の主人公がこちらの世界へ出てくる話だったが、そのアクション版と思えるのが『ラスト・アクション・ヒーロー』である。 映画…

『映画に溺れて』第92回 カイロの紫のバラ

第92回 カイロの紫のバラ 昭和六十一年五月(1986)有楽町 ニュー東宝シネマ2 大げさなようだが、私は映画を観ることで、いつもエネルギーを与えられている。少々落ち込んでいるときでも、映画館や試写室に行けば元気が出て、またがんばろうという気…

『映画に溺れて』第91回 ボギー俺も男だ

第91回 ボギー俺も男だ 昭和四十八年十月(1973)大阪 梅田 北野シネマ この映画に出会えたことが、ひょっとして、今の私につながっているのかな。十九のとき、私は大学受験に失敗した浪人生で、鬱々とした日々の中、映画館に逃げ込むことが多かった。…

『映画に溺れて』第90回 カサブランカ

第90回 カサブランカ 昭和五十一年一月(1976)大阪 堂島 毎日文化ホール イングリット・バーグマンといえば、やはり一番に浮かぶのが『カサブランカ』である。第二次大戦中、フランスはドイツの支配下にあり、フランス領モロッコのカサブランカもドイ…

森川雅美の詩作

明治一五一年 第2回 牡丹雪が降る天上の彼方の初めの一滴として牡丹雪が降る人たちの歩いた後を包むように星のない空に手を伸ばせば今日の日は終わり残像が無数に連なっては闇の奥に紛れていくそれはまだ拾えない遠い記憶のかけらだから願いも叶わぬまま消…

『映画に溺れて』第89回 サボテンの花

第89回 サボテンの花 平成十五年十月(2003)東京 某公民館視聴覚室 妻子があるくせに、浮気する男というのはよくいるし、中には独身と偽って女性をだます悪いやつもいるわけだ。が、独身なのに自分は妻帯者だと嘘をつくというのがこの映画の主人公の…

『映画に溺れて』第88回 追想

第88回 追想 平成二年六月(1990)銀座 シャンゼリゼ 『追憶』というタイトルの映画、ネットで調べたら、六本あった。 昔は外国映画も日本語のタイトルが普通で、漢字二文字の『哀愁』『慕情』『旅情』『旅愁』『昼顔』『卒業』『初恋』『情婦』『裏窓…