日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』 第126回 水戸黄門漫遊記

第126回 水戸黄門漫遊記 平成十五年五月(2003)池袋 新文芸坐 子供の頃から時代劇が好きだったが、学生時代に講談社から出ている文庫本の講談全集に出会い、真田十勇士、由井正雪、大岡越前、天一坊、水戸黄門、河内山、遠山の金さん、鼠小僧などの…

『映画に溺れて』第125回 修羅

第125回 修羅 昭和五十六年十一月(1981)池袋 文芸地下 四世鶴屋南北は忠臣蔵があまり好きではなかったのだろうか。有名な『東海道四谷怪談』の民谷伊右衛門は塩冶判官(史実の浅野内匠頭)の家臣でありながら、不義士の極悪人である。 同じ南北の『…

『映画に溺れて』第124回 薄桜記

第124回 薄桜記 平成五年十一月(2003)池袋 新文芸坐 大映の若手、市川雷蔵と勝新太郎の共演。共に二十代後半、雷蔵ばかりか勝新までが、白塗りの二枚目として売り出していた頃で、主役の丹下典膳が市川雷蔵、堀部安兵衛が勝新太郎である。 元禄十五…

頼迅庵の歴史エッセイ13

13 柳生久通のキャリア(7) 本歴史エッセイ(3)で、近世の三大改革の推進者から改革と同時に町奉行に登用(抜擢)された三人を比較しました。そのとき、大岡忠相のみ十九年の長きに渡って町奉行を務めており、実績を残したと書きました。ではなぜ忠相は実績…

『映画に溺れて』第123回 血煙高田馬場

第123回 血煙高田馬場 平成二年十月(1990)白金 迎賓館 テンポが非常にいい。昔の映画はこんなにも面白かったのだ。 忠臣蔵の義士のひとり堀部安兵衛の浪人時代のエピソード、有名な高田馬場の決闘を描いたもので、ストーリーは単純である。 喧嘩の…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第29回 夢のカリフォルニア

満州事変、五・一五事件などが起こった昭和七年夏、日本選手団はロサンゼルス・オリンピックに参加するために日本を出発します。131名の選手は、開催国アメリカに次いで二番目に多い数でした。 太平洋を船で横断し、ロサンゼルスに着いた一行は、ダウンタウ…

『映画に溺れて』第122回 侍

第122回 侍 平成二年九月(1990)池袋 文芸坐2 時代劇のスターといえば、私より上の世代なら、大河内傳次郎、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、阪東妻三郎、長谷川一夫、市川右太衛門といったところをあげるだろうが、私の世代になると、中村錦之助、市川雷蔵…

『映画に溺れて』第121回 人情紙風船

第121回 人情紙風船 平成四年六月(1992)早稲田 ACTミニシアター 映画がサイレントからトーキーに移行する昭和の初め、映画監督としてデビューし、次々と作品を発表して注目されながら、召集され戦地の中国で若くして戦病死した山中貞夫。その最…

『映画に溺れて』第120回 無頼漢

第120回 無頼漢 昭和五十三年十二月(1978)新橋 新橋第三劇場 江戸城に仕える御数寄屋坊主の河内山宗俊が悪党仲間と組んで悪事を働くピカレスク。御家人くずれの片岡直次郎、吉原の花魁三千歳、遊び人暗闇の丑松、浪人で剣客の金子市之丞、悪徳商人…

新生第一回日本歴史時代作家協会賞

【速報】決定しました!新生第1回日本歴史時代作家協会賞 1 新人賞 (新人賞はデビューから3年以内の作家で、2018年6月から2019年5月までの刊行作品が対象) 泉ゆたか『髪結百花』KADOKAWA2018年12月刊 髪結百花 作者: 泉ゆたか 出版社/メーカー: KADOKA…

明治一五一年 第3回

明治一五一年 第3回 森川雅美 ゆっくり下りていく 誰もいない静かな水辺だから 語られる諸諸の破片と して見えなくなる足首より ぶらさがる外れの漂う訪れの まま留まり淀みいく いく人もの人たちが小さく 響きあう隘路の外れへ 過ぎいくちぐはぐな言の葉 …

『映画に溺れて』第119回 大江戸りびんぐでっど

第119回 大江戸りびんぐでっど 平成二十二年九月(2010)五反田 イマジカ第二試写室 舞台の映画化というのは、以前から数多い。シェイクスピアからブロードウェイミュージカルまで、著名な人気作品はたいてい映画化されている。 だが、シネマ歌舞伎と…