日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第329回 テキサス魂

第329回 テキサス魂 昭和五十年六月(1975)大阪 中之島 SABホール ハリウッドの二大スター、ジェームズ・スチュアートとヘンリー・フォンダの共演。監督が『雨に唄えば』のジーン・ケリー。夢のような西部劇。その割には、あまり知られていない。こ…

『映画に溺れて』第328回 男の出発(たびだち)

第328回 男の出発(たびだち) 昭和五十年七月(1975)大阪 中之島 SABホール 一九七〇年代の前半に観た忘れられない西部劇である。 ゲイリー・グライムスふんする少年ベンは母ひとり子ひとり。男らしいカウボーイに憧れ、ひそかに金を貯めて銃を手に…

『映画に溺れて』第327回 マカロニ・ウエスタン800発の銃弾

第327回 マカロニ・ウエスタン800発の銃弾 平成十八年四月(2006)新橋 新橋文化 一九六〇年代、イタリアで量産された西部劇マカロニウエスタン。その撮影の多くはスペインで行われた。アンダルシア地方のアルメリアでは、かつてハリウッド大作なども…

『映画に溺れて』第326回 続・荒野の用心棒

第326回 続・荒野の用心棒 令和元年十二月(2019)渋谷 映画美学校試写室 セルジオ・レオーネと並ぶマカロニウエスタンの名手、セルジオ・コルブッチ監督作品。日本タイトルは『続・荒野の用心棒』だが、クリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』の続…

『映画におぼれて』第325回 ウエスタン/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト

第325回 ウエスタン/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト 令和元年八月(2019)渋谷 ユーロライブ イタリアでクリント・イーストウッド主演の西部劇を三本撮り、世界で大ヒットさせたセルジオ・レオーネ監督は、マカロニウエスタンの名手と…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第六回 三好長慶襲撃計画

天文十七年(1548年)、秋。 都で随一の権勢を誇っていた細川晴元(国広富之)と、その家臣の三好長慶(山路和宏)が、京の覇権をめぐり、一触即発の緊張状態にありました。都では主君を家臣か討つ下克上が横行していました。 三好長慶は松永久秀(吉田鋼太郎)の陣…

『映画に溺れて』第324回 夕陽のガンマン

第324回 夕陽のガンマン 平成二十一年七月(2009)京橋 フィルムセンター 「ぴあフィルムフェスティバル」のイーストウッド特集で鑑賞。『夕陽のガンマン』は昔、TVの洋画劇場で一度観ただけだった。 荒野を馬で行く男が、かなりのロングで映り、やが…

『映画に溺れて』第323回 真昼の決闘

第323回 真昼の決闘 平成二十四年八月(2012)渋谷 シネマヴェーラ 西部劇は正義のヒーローによる勧善懲悪の物語である。ジョン・ウェインのような強い主人公が弱きを助け、強きをくじく。そして平和を取り戻した人々は彼に感謝する。 実をいうと、私は…

『映画に溺れて』第322回 大いなる西部

平成二十五年五月(2013)池袋 新文芸坐 池袋新文芸坐でのクラシック特集で鑑賞。 西部劇の古典の一本ではあるが、早撃ちガンマンの決闘などはなく、人間ドラマになっている。最初の荒くれ男たちの馬の曲乗り、いきなり目を瞠った。 西部の町に駅馬車か…

『映画に溺れて』第321回 シェーン

平成二十四年十一月(2012)日比谷 TOHOシネマズみゆき座 私は基本的には映画館(試写室も含む)でしか映画を観ないので、なかなか昔の名作にはありつけない。だからTOHOシネマズの午前十時の映画祭は大変ありがたく、そのうちの一本が『シェー…

『映画に溺れて』第320回 長いお別れ

第320回 長いお別れ 令和元年十一月(2019)飯田橋 ギンレイホール 少年も、青年も、中年も、いつしか時の流れとともに、頭髪は薄くなり、腹部はせり出し、眼鏡なしでは本も読めず、固いものを食べれば奥歯が痛む。血圧は高くなり、歩行の速度は遅くなり…

『映画に溺れて』第319回 セッソマット

第319回 セッソマット 平成十八年七月(2006)新橋 新橋文化 以前、新橋文化の二本立てで観た一本がこれだったのだ。まったくなんの期待も予備知識もなかったので、驚いた。一九七三年の作品で、ジャンカルロ・ジャンニーニとラウラ・アントネッリが主演…

『映画に溺れて』第318回 ボッカチオ‘70

第318回 ボッカチオ‘70 平成十年五月(1998)千石 三百人劇場 四人の監督によるセックスコメディのオムニバス。 第一話『レンツォとルチアーナ』庶民の男女が会社で仕事を続けるために結婚を隠すが、やがてばれて解雇。それでもたくましく生きていく。…

『映画に溺れて』第317回 カンタベリー物語

第317回 カンタベリー物語 昭和四十八年三月(1973)大阪 難波 南街スカラ座 パゾリーニの『デカメロン』は相当に話題になったようで、類似作がたくさん出た。私が観た『ブラック・デカメロン』はアフリカが舞台の黒人版だったが、原作はボッカチオでは…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第五回 伊平次を探せ

天文十七年(1548年)、秋。美濃の稲葉山城では、斎藤道三(この時は利政)(本木雅弘)が、明智十兵光秀(長谷川博己)から鉄砲の説明を受けていました。光秀の指導もと、鉄砲を撃ってみてその威力に驚く道三。「これを将軍家は手に入れておるのか」 と、う…

『映画に溺れて』第316回 デカメロン

第316回 デカメロン 昭和四十七年五月(1972)大阪 千日前 東宝敷島 私が初めて観たピエル・パオロ・パゾリーニ監督の作品は『デカメロン』だった。ボッカチオ原作のセックスコメディである。 まだ十代の私はパゾリーニの作品が気に入って、その後、『カ…

『映画に溺れて』第315回 王女メディア

第315回 王女メディア 昭和四十九年五月(1974)大阪 中之島 SABホール 小学生の時に観た『アルゴ探検隊の大冒険』はイアソンとメディアが結ばれハッピーエンドだったが、その後のふたりは決して幸福ではなかった。 イアソンは幼時、半人半馬ケンタウ…

『映画に溺れて』第314回 マイ・フェア・レディ

第314回 マイ・フェア・レディ 昭和四十九年十一月(1974)大阪 堂島 大毎地下 音声学の教授が、友人の退役大佐と賭けをする。きついロンドン下町訛りの花売り娘に、音声学の手ほどきで上流婦人のような話し方をさせることができるかどうか。 十九世紀末…

『映画に溺れて』第313回 驟雨

第313回 驟雨 平成四年十一月(1992)早稲田 ACTミニシアター 若いころ、演劇の勉強をしていた関係で、古い戯曲をずいぶん読んだ。 演劇の権威ある賞に岸田戯曲賞があり、劇作家岸田國士の名を冠している。國士の長女が詩人の岸田衿子、次女が女優の…

『映画に溺れて』第312回 熱海殺人事件

第312回 熱海殺人事件 昭和六十一年六月(1986)大阪 梅田 三番街シネマ1 私がつかこうへいの舞台を初めて観たのは一九七五年の初夏、タイトルは『ストリッパー物語』だった。たしかポスターに小沢昭一撮影の写真が使われていたように記憶する。出演は…

『映画に溺れて』第311回 上海バンスキング

第311回 上海バンスキング 昭和五十九年十一月(1984)錦糸町 キンゲキ 今では映画ばかり観ているが、私は若い頃、演劇が好きだった。いろんなジャンルを観たが、一九七〇年代は小劇場ブームといわれるほど、無数の小劇団が活躍していた。その中でも特に…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第四回 尾張潜入指令

文久十七年(1548)、春。街道一の弓取りといわれた駿河の今川義元(片岡愛之助)が軍を動かしました。目的は三河の制圧と、尾張への進出でした。織田信秀(高橋克典)の軍は、三河の小豆坂でそれを迎え討ちます。両軍は譲らず、決着がつきませんでした。こ…

『映画に溺れて』第310回 フィラデルフィア・エクスペリメント2

第310回 フィラデルフィア・エクスペリメント2 平成六年十月(1994)池袋 シネマセレサ 低予算、B級映画である。前作『フィラデルフィア・エクスペリメント』も低予算だったが、アイディアをいろいろ出して面白く作っていた。が、この2は超B級。 第…

『映画に溺れて』第309回 キャバレー

第309回 キャバレー 昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 南街シネマ 第二次大戦前夜のベルリンに、作家志望のイギリス青年がやって来て、ライザ・ミネリ扮する歌手サリー・ボウルズと知り合い、恋仲になる。が、彼女は男に縛られない自由な女で、他の男…

『映画に溺れて』第308回 ナチ収容所の素敵な生活

第308回 ナチ収容所の素敵な生活 平成十四年一月(2002)東中野 BOX東中野 BOX東中野で『夜と霧』を観たとき、二本立てのもう一本がこれだった。 ヒトラーはユダヤ人大量虐殺の事実を隠蔽するため、収容所ではユダヤ人たちは快適に暮らしていると…

書評『六莫迦記』--これが本所の穀潰し

書名『六莫迦記(ろくばかき)――これが本所(ほんじょ)の穀潰(ごくつぶ)し』著者 新美 健発売 早川書房発行年月日 2020年1月15日定価 ¥660E 六莫迦記 これが本所の穀潰し (ハヤカワ文庫JA) 作者:新美 健 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2020/01…

『映画に溺れて』第307回 夜と霧

第307回 夜と霧 平成十四年一月(2002)東中野 BOX東中野 これぞ究極のドキュメンタリー。ホロコーストの古典的記録映画である。 第二次大戦中、ナチスドイツはユダヤ人を効率的に抹殺するため、占領下の東欧各地に強制収容所を作った。 その建設に利…

『映画に溺れて』第306回 アイアン・スカイ

第306回 アイアン・スカイ 平成二十四年十月(2012)府中 TOHOシネマズ府中 近未来、アメリカは女性が大統領。次の選挙にそなえ、人気取りに黒人飛行士ジェームズ・ワシントンを月に送り月面から選挙公報、と思いきや、ジェームズの目に入ったのは月…

『映画に溺れて』第305回 アドルフの画集

第305回 アドルフの画集 平成十六年六月(2004)飯田橋 ギンレイホール 『鉤十字の帝王』というSF物語。作者は一九二〇年頃にオーストリアからアメリカへ移住し、イラストレーターとして成功した後、SF小説家となった人物。内容は宇宙の冒険活劇で、…

『映画に溺れて』第304回 ミケランジェロの暗号

第304回 ミケランジェロの暗号 平成二十三年十月(2011)日比谷 シャンテシネ3 ナチス占領下のウィーンを舞台にした上質の娯楽サスペンス。 一九三〇年代末期、ウィーンで画廊を経営する裕福なユダヤ人。この画商一族に伝わるのがミケランジェロの幻の…