日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

頼迅庵の新書専門書レビュー12

『江戸の小判ゲーム』(山室恭子、講談社現代新書) 江戸の小判ゲーム (講談社現代新書) 作者:山室 恭子 発売日: 2013/02/15 メディア: 新書 本書の奥付を見ると、2013年2月20日第1刷発行となっています。 発行後しばらくして買ったのですが、積ん読ままにな…

『映画に溺れて』第371回 一度死んでみた

第371回 一度死んでみた 令和二年二月(2020)築地 松竹試写室 この世に生まれた以上、人は必ず一度は死ぬ運命である。生まれてすぐに亡くなる赤子もいれば、九十、百まで長生きし天寿を全うする老人もいる。死に方も病気、事故、犯罪、戦争など様々…

書評『明治零年』

書名『明治零年』著者 加納則章発売 H&I発行年月日 2020年4月24日定価 各 本体1800円(税別) 明治零年 サムライたちの天命 作者:加納則章 発売日: 2020/05/16 メディア: 単行本 激動の幕末の諸藩。北陸の大藩である加賀藩も例外ではなく、尊王と…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十五回 道三、わが父に非(あら)ず

天文二十三年(1554年)。斎藤利政(本木雅弘)は仏門に入り、道三と号し、家督を嫡男(ちゃくなん)の高政(伊藤英明)に譲りました。道三は家臣や国衆たちの前で話します。「今朝、わしは、見ての通り頭を丸め、仏門に入り、世俗の塵(ちり)を払うた。つ…

『映画に溺れて』第370回 アウトブレイク

第370回 アウトブレイク 平成七年九月(1995)池袋 文芸坐 未知の伝染病が広がって、人がばたばたと死んでいく。という映画はいくつかある。マイケル・クライトン原作の『アンドロメダ…』は宇宙から帰還したカプセルに付着していた病原体があっという…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十四回 聖徳寺の会見

天文二十二年(1553年)二月。斎藤道三(この時は利政)(本木雅弘)は織田信長(染谷将太)のやってくるのを盗み見ていました。信長の顔を知っている明智光秀十兵衛(長谷川博己)に、彼がやってきたら自分の肩を叩くように命じます。三百の鉄砲を持った兵…

『映画に溺れて』第367~369回 ジュディ 虹の彼方に、他

第367回 ジュディ 虹の彼方に 令和二年三月(2020)新宿歌舞伎町 TOHOシネマズ新宿 ハリウッドのMGMスタジオで十代の無名の少女ジュディはプロデューサーのルイス・B・メイヤーに言われる。この壁の向こうに何があるか、わかるかね? そこに…

『映画に溺れて』第366回 生きる

第366回 生きる 昭和五十四年四月(1979)池袋 テアトル池袋 毎日休まず一年三百六十五日、好きな映画のことを書き綴った『映画に溺れて』も、今後は少し減速し、ゆるりゆるりと風の向くまま気の向くまま、思いついたときに。 浜の真砂は尽きるとも世に…

頼迅庵の新書専門書レビュー11

『なぜ武士は生まれたのか』(本郷和人、文春文庫) さかのぼり日本史 なぜ武士は生まれたのか (文春文庫) 作者:和人, 本郷 発売日: 2019/12/05 メディア: 文庫 本書はNHK放送で人気の「さかのぼり日本史」の四回分(2011年12月6日、13日、20日、27日)を文…

書評『大一揆』

署名「大一揆」著者 平谷(ひらや)美樹(よしき)発売 株式会社KADOKAWA発行年月日 2020年3月28日定価 本体1800円(税別) 大一揆 作者:平谷 美樹 発売日: 2020/03/28 メディア: 単行本 嘉永6年(1853)の三閉伊(さんへい)一揆(いっき)(いわゆる仙台越…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十三回 帰蝶のはかりごと

天文二十一年(1552年)。明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、思い悩んでいました。土岐頼芸と一戦交えると宣言した斎藤道三(この時は利政)(本木雅弘)。その息子、斎藤高政(伊藤英明)は光秀にいっていました。「わしは土岐様を守る。父上と戦う」 そして…

テスト

テスト

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十二回 十兵衛の嫁

天文二十年(1551)。近江から帰った明智十兵衛光秀(長谷川博己)は、気の晴れない様子で、薪を割っていました。苦しい立場に立つ、将軍足利義輝(向井理)の言葉を思い出していたのです。「この世に、誰も見たことのない麒麟という生き物がいる。わしは、…

『映画に溺れて』一年三百六十五本を終えて

『映画に溺れて』一年三百六十五本を終えて 平成三十一年の四月、日本歴史時代作家協会が発足。それにともなって、公式ホームページを開設するにあたり、なにか映画のこと書いてみませんかとのお話があった。 歴史時代小説の作家が中心の会なので、時代劇映…

『映画に溺れて』第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show

第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show 昭和四十七年九月(1972)大阪 難波 南街シネマ 一年三百六十五日、毎日一本好きな映画を書き続ける『映画に溺れて』もいよいよ今回が三百六十五日めとなった。だから『ラスト・ショー』である。 時代背…

『映画に溺れて』第364回 私のように美しい娘

第364回 私のように美しい娘 昭和五十年二月(1975)大阪 梅田 北野シネマ 学生時代、私のトリュフォー初体験がこれ。タイトルで内容が想像できない。中身もかなり変だったが、ベルナデット・ラフォン演じるあばずれの毒婦にぞくぞくした。 最初、書店の…

『映画に溺れて』第363回 ショーシャンクの空に

第363回 ショーシャンクの空に 平成七年十一月(1995)池袋 文芸坐 これは大好きな作品で、映画館で四回観ている。原作はスティーブン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』 泥酔したエリート銀行員アンディ・デュフレーンが銃を携え、妻の浮気現場で…

『映画に溺れて』第362回 スティング

第362回 スティング 昭和四十九年七月(1974)大阪 曽根崎 梅田グランド 詐欺師の映画というのは、主人公の詐欺師がカモを引っ掛けるトリックの面白さもあるが、実はもうひとつ、映画を観ている観客そのものも騙してしまう手口。わあ騙された、という快…

明治一五一年 第11回

明治一五一年 第11回 森川雅美 途切れる記憶の内側を過ぎていくのは誰の瞳かといくつもの軽くなる足音たち多くの人がまた亡くなりましたが踏み締めるままに哀しみの破片なのだと越えていく掌の浅い窪みへあれは境界に触れる足でした散在する傷口の内側からの…

『映画に溺れて』第361回 壁女

第361回 壁女 平成二十三年九月(2011)西東京 保谷こもれびホール 西東京市で毎年開催されている西東京市民映画祭自主制作映画コンペティションの審査員を、第一回より何年か続けてやらせていただいた。全国から寄せられた短編作品の中から各賞を選ぶの…