日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第二十回 家康への文

永禄三年〈1560年〉。駿府。駒(門脇文)は商人から、近々大きないくさがあるとの話を聞きます。「また、いくさですか」 と、駒はつぶやきます。 越前では、浪人の明智光秀十兵衛(長谷川博己)が寺で、子供たちに教えていました。授業を終えて家に帰ると、光秀…

『映画に溺れて』第372回 モダン・タイムス

第372回 モダン・タイムス 昭和四十七年十一月(1972)大阪 梅田 阪急プラザ劇場 赤狩りでハリウッドを逃れスイスで暮らすチャールズ・チャップリンに、一九七二年、アメリカのアカデミー賞名誉賞が贈られた。 その年、東宝系の映画館では「ビバ・チャッ…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十九回 信長を暗殺せよ

結果的に弟の信勝を殺すことになった織田信長(染谷将太)は、母の土田御前(壇れい)からひどくなじられます。信長は妻の帰蝶(川口春奈)にこぼします。「わしは父も、弟も、母も失った」 永禄元年(1558)。斎藤道三の死から二年がたちました。この年、近…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十八回 越前へ

弘治二年(1556年)。斎藤道三(本木雅弘)とその嫡男である斎藤高政(伊藤英明)によるいくさが行われました。明智光秀十兵衛(長谷川博己)は叔父の明智光安(西村まさ彦)と共に、道三方についていました。 いくさは道三の敗北に終わります。明智の城に戻ってきた光…

書評『大江戸けったい長屋ーぬけ弁天の菊之助』

書名『大江戸けったい長屋――ぬけ弁天の菊之助』著者 沖田正午発売 二見書房発行年月日 2020年5月25日定価 ¥658E 大江戸けったい長屋 ぬけ弁天の菊之助 (二見時代小説文庫) 作者:沖田 正午 発売日: 2020/04/27 メディア: 文庫 舞台の「けったい長…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十七回 長良川の対決

弘治二年(1556年)春。斎藤道三(本木雅弘)は大桑城を出、南の鶴山に向かいました。嫡男の高政(伊藤英明)と戦うためでした。 明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、叔父の光安(西村まさ彦)に合流し、道三方について戦うつもりでした。 尾張の清洲城では、…

書評『武士の流儀(三)』

書名『武士の流儀(三)』著者 稲葉念発売 文藝春秋発行年月日 2020年4月10日 定価 ¥680E 武士の流儀(三) (文春文庫) 作者:稔, 稲葉 発売日: 2020/04/08 メディア: 文庫 江戸の人々の人情の機微、息遣いまで聞こえてくる余韻。「優しさ」は生半可な優しさで…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十六回 大きな国

弘治元年(1555年)、秋。斎藤道三(本木雅弘)は二人の息子を失いました。殺害したのは嫡男(ちゃくなん)の高政(伊藤英明)でした。道三は直ちに稲葉山城を出て、美濃の北にある大桑城に向かいました。国を二分するいくさの前触れでした。 明智荘では、明…

明治一五一年 第12回

明治一五一年 第12回 いくつかの背骨を拾うためつづく並木はいくつかの不明の内にまだ洗われていく人たちの歩く道筋の彼方明治元年の帰らないには深深とした逃げいく足が平坦にならされ静かになる風向きに弱まる土に重なりつづく痛みだ明治二十八年の帰らな…