日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第28回 篤太夫と八百万(やおよろず)の神

明治二年(1869)の夏。全国の藩が、領地と領民とを天皇に返還する「版籍奉還」が行われ、篤太夫(吉沢亮)のいる駿府藩は、静岡藩となりました。慶喜(草彅剛)は謹慎(きんしん)を解かれ、一年半ぶりに自由を得ることになりました。 篤太夫は東京に呼び出…

『映画に溺れて』第449回 フリー・ガイ

第449回 フリー・ガイ 令和三年八月(2021) 立川 シネマシティ2 フリーシティの銀行員ガイの一日は判で押したように規則正しい。朝、ベッドで目覚め、飼っている金魚に挨拶し、青いシャツに着替えて、出勤前にいつものコーヒーショップでいつものコー…

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第26回 篤太夫、駿府で励む

明治元年も暮れになります。篤太夫(吉沢亮)は駿府藩庁にいました。 「渋沢篤太夫に、駿府藩の、勘定組頭を申しつける」 といったのは、駿府藩中老の大久保一翁(いちおう)(木場勝己)でした。 「いえ、お受けできません」 と、篤太夫は断り、理由を語り…

『映画に溺れて』第448回 レッド・ドラゴン

第448回 レッド・ドラゴン 平成十五年三月(2003) 所沢 シネセゾン所沢 『羊たちの沈黙』がヒットし、続編の『ハンニバル』が作られ、そして『レッド・ドラゴン』である。これは続編というより『羊たちの沈黙』以前の物語となっている。 FBI捜査官グ…

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第26回 篤太夫、再会する

篤太夫(吉沢亮)は、桑畑を抜けて、故郷の血洗島に帰ってきます。辻に長七郎(満島真之介)が座っていました。 「出迎えに来てくれたのか」 と、篤太夫はたずねます。長七郎は笑い声をたて、いいます。 「どうした、その頭は」 篤太夫も、髪の毛をさわりな…

『映画に溺れて』第447回 羊たちの沈黙

第447回 羊たちの沈黙 平成三年十一月(1991)池袋 文芸坐 不気味な映画だった。おぞましい場面があるからぞっとするのではない。映像と音楽と俳優たちの演技で不気味な雰囲気を醸し出していた。 ジョディ・フォスターふんするFBI実習生クラリスがラ…

『映画に溺れて』第446回 キャラクター

第446回 キャラクター 令和三年六月(2021) 六本木 TOHOシネマズ六本木ヒルズ ホラー漫画を愛する青年がいる。山城圭吾は長年、著名な漫画家のアシスタントをしながら、なんとか独立して一本立ちしようと新人賞に応募し続けている。いつもいい線ま…

書評『果ての海』

書名『果ての海』 著者 花房観音発売 新潮社発行年月日 2021年8月30日定価 ¥1750E 果ての海 作者:花房観音 新潮社 Amazon 花房観音の最新作『果ての海』は舞台を日本海側のわびしい町、主人公は京都文化圏を故郷とするという、花房作品のエキス…

『映画に溺れて』第445回 プロミシング・ヤング・ウーマン

第445回 プロミシング・ヤング・ウーマン 令和三年七月(2021)立川 キノシネマ立川 凄惨な復讐劇でありながら、どことなくユーモラスで、方向が変わればラブコメディになっていたかもしれないと思わせる奇妙な味わいである。 カサンドラ・トーマス、通…

頼迅庵の新書専門書レビュー13

頼迅庵の新書専門書レビュー13 『地図で考える中世 ―交通と社会―』(榎原雅治、吉川弘文館) 地図で考える中世: 交通と社会 作者:榎原 雅治 吉川弘文館 Amazon 歴史・時代小説を書くためには、その時代の景色や生活を理解する必要があります。日本の中世を舞…

『映画に溺れて』第444回 夏への扉 キミのいる未来へ

第444回 夏への扉 キミのいる未来へ 令和三年六月(2021) 新宿 新宿ピカデリー ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』は一九五〇年代に書かれた時間SFで、人工冬眠とタイムマシンが題材となっており、今でもファンが多い。 原作では一九七〇年と三…

『映画に溺れて』第443回 バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2

第443回 バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 平成元年七月(1989)吉祥寺 吉祥寺スカラ座 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』第一作はストーリーも完璧で、個性的な脇役に恵まれた。天才科学者でありながら常識はずれで、どこか抜けているブラウン博…