日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第21回 仏の眼差し

義時(小栗旬)は、夕暮れの鎌倉の街を見ていました。そこへ土肥実平(阿南健治)がやって来ます。 「どうした」 と、聞く土肥に 「九郎殿のことを、考えておりました」 と、義時は打ち明けます。 「わしもじゃ。平家とのいくさの間、ずっと共にいたもんでな…

『映画に溺れて』第492回 第十七捕虜収容所

第492回 第十七捕虜収容所 令和元年八月(2019)渋谷 シネマヴェーラ 戦争映画ではあるが、戦闘場面はなく、ビリー・ワイルダー監督らしいコメディ調で描かれた捕虜収容所のクリスマスストーリーになっている。 第二次大戦末期、ドイツ国内のドナウ川の…

『映画に溺れて』第491回 シンドラーのリスト

第491回 シンドラーのリスト 平成六年三月(1994)渋谷 渋東シネタワー2 相次いで娯楽作品を世に出しヒットさせたスティーヴン・スピルバーグが作った『シンドラーのリスト』は執念の一作といえるだろう。ハリウッドの映画人にはユダヤ系が多く、スピル…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第20回 帰って来た義経

文治三年(1187)。義経は、平泉にたどり着いていました。藤原秀衡(ふじわらのひでひら)(田中泯)が義経(菅田将暉)にいいます。 「よう戻って来たな。それにしても、悔やまれる。お前を送り出したとき、もし、わしが兵を挙げておれば。天下を目指すには…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第19回 果たせぬ凱旋

頼朝(大泉洋)から鎌倉入りを拒否された義経(菅田将暉)は、京に戻っていました。義経は妻の里(三浦透子)を相手に酒を飲みます。里は自分まで帰れないことに文句をいいます。 「離縁して下さい」と、里はいいます。「あの静(しずか)(石橋静香)という…

『映画に溺れて』第490回 否定と肯定

第490回 否定と肯定 平成二十九年九月(2017)六本木 アスミックエース試写室 人は誰しも失敗する。それを反省することで同じ過ちを繰り返さずに前に進めるのだ。歴史もまた同じである。過ちをなかったことにはできない。 都合のいい事実だけを抜き出し…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第18回 壇ノ浦で舞った男

一ノ谷で破れた平家は、四国の屋島に逃げました。 範頼軍は九州に渡り、筑前に攻め込みます。平家は逃げ道を断たれます。 義経は海を渡り、平家軍に奇襲をかけます。不意を突かれた平家は、屋島を捨て、長門(ながと)の彦島に落ち延びていきます。 鎌倉では…

『映画に溺れて』第489回 戦場のピアニスト

第489回 戦場のピアニスト 平成十五年三月(2003)渋谷 渋東シネタワー2 ナチスドイツによるユダヤ人の迫害、大虐殺の事実は繰り返し映画化されているし、繰り返し語り継がれるべき題材である。 さらに欲をいえば、シナリオが練られていて、演技がすば…

第三回「江戸歴史散歩」開催のお知らせ

新型コロナパンデミックを経験して3年目に突入しますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? どんなに気をつけていても罹患するときには罹患する。100年ぶりに感染症が世界を席巻する今回の感染症の恐ろしさです。しかしこれは人類が何度も経験し、生き残り…

『映画に溺れて』488回 顔のないヒトラーたち

第488回 顔のないヒトラーたち 平成二十七年九月(2015)京橋 テアトル試写室 私が高校生の頃、『戦争を知らない子供たち』というヒット曲があった。戦後生まれの世代が若者となり、平和の中で生きている。北山修作詞のフォークソングは一種の反戦歌だっ…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第17回 助命と宿命

源義経(菅田将暉)は、後白河法皇(西田敏行)に呼ばれ、一ノ谷の合戦についてほめられます。 鎌倉では、頼朝が側近たちに話しています。 「義仲を討った今、片付けておかねばならぬことがある。一つは、甲斐の武田信義(八嶋智人)。奴に、誰が源氏の棟梁…