日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

書評『女スパイ鄭蘋茹の死』

書名『女スパイ鄭蘋茹の死』 著者 橘かがり発売 徳間書店発行年月日 2023年3月15日定価 ¥720E 女スパイ鄭蘋茹の死 (徳間文庫) 作者:橘かがり 徳間書店 Amazon 不幸な時代、日中のはざまで生きた女性として李香蘭、川島芳子が著名だが、日本占領…

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー20

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー20 「近藤富蔵と近藤富蔵 寛政改革の光と影」(谷本晃久、山川出版社(日本史リブレット058)) 近藤重蔵と近藤富蔵―寛政改革の光と影 (日本史リブレット) 作者:谷本 晃久 山川出版社 Amazon 本書は近藤富蔵とその子近藤…

『映画に溺れて』第563回 バイオレント・ナイト

第563回 バイオレント・ナイト 令和五年二月(2023)新宿歌舞伎町 TOHOシネマズ新宿 クリスマスストーリーといえば、アルバート・フィニー主演のミュージカル『クリスマスキャロル』や、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生』など、文句な…

『映画に溺れて』第562回 秋日和

第562回 秋日和 平成元年五月(1989)下高井戸 下高井戸シネマ 小津安二郎監督の『秋日和』は『晩春』の焼き直しだが、私はこちらのほうが好きである。もちろん、『晩春』も決して悪くはない。親子の関係から言うと、『晩春』の笠智衆と原節子のほうが情…

『映画に溺れて』第561回 お嬢さん乾杯!

第561回 お嬢さん乾杯! 平成元年五月(1989)銀座 並木座 木下恵介監督といえば、『二十四の瞳』や『野菊の如き君なりき』や『喜びも悲しみも幾歳月』などの悲劇や社会派作品が有名で、観客を泣かせるイメージが強い。私は木下監督の可哀そうな映画は何…

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー19

「禅僧たちの生涯 唐代の禅」(小川隆、春秋社) 禅僧たちの生涯: 唐代の禅 作者:小川 隆 春秋社 Amazon タイトルを見て歴史の新書、専門書のレビューになぜ宗教書が? と驚かれた方もいらっしゃることと思いますが、本書は副題に「唐代の禅」とあるように、…

書評『熱河に駆ける蹄痕 小説小日向白朗』

書 名 『熱河に駆ける蹄痕 小説小日向白朗』 著 者 織江耕太郎発行所 春陽堂書店発行年月日 2022年8月31日定 価 ¥1800E 小説 小日向白朗 熱河に駆ける蹄痕 作者:織江耕太郎 春陽堂書店 Amazon 大陸浪人で馬賊の大頭目となり、赤い夕陽の満州を…

『映画に溺れて』第560回 東京おにぎり娘

第560回 東京おにぎり娘 平成二十二年年八月(2010)神保町 神保町シアター 若尾文子の出演する映画は一九五〇年代から一九六〇年代がほとんどで、私が映画をたくさん観始めた一九七〇年代以降には主演作はほとんどない。ただ一九七五年にフジTVで放送…

『映画に溺れて』第559回 結婚のすべて

第559回 結婚のすべて 平成十一年九月(1999)京橋 フィルムセンター大ホール 岡本喜八の才能は光り輝いていた。というか、これこそ私好みの上質のコメディなのだ。なかなか日本映画には珍しい。 まず太陽族映画の撮影場面から始まり、性風俗の乱れを嘆…

『映画に溺れて』第558回 月給泥棒

第558回 月給泥棒 平成二年十二月(1990)池袋 文芸坐2 宝田明主演の『月給泥棒』は東宝の典型的なサラリーマンサクセスストーリーであり、『ニッポン無責任時代』より公開は半年ほど後になるが、ほぼ同様のコメディである。監督は私の大好きな喜劇の名…

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー18

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー18 「江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩『江戸日記』」 (久住裕一郎、インターナショナル新書) 江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩「江戸日記」 (インターナショナル新書) 作者:久住 祐一郎 集英社インターナショナル Amazon 寛…

『映画に溺れて』第557回 ニッポン無責任時代

第557回 ニッポン無責任時代 平成五年八月(1993)早稲田 ACTミニシアター 一九六〇年代、小学生の私がもっとも好きなスターはクレージーキャッツの植木等だった。当時、青島幸男作詞の「スーダラ節」が大ヒットし、植木等主演の『ニッポン無責任時代…