日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

『映画に溺れて』第527回 シャーロック・ホームズ 殺しのドレス

第527回 シャーロック・ホームズ 殺しのドレス 平成二十四年十二月(2012)渋谷 シネマヴェーラ 『殺しのドレス』といえば、ブライアン・デ・パルマがヒッチコックを意識して作ったホラー映画を思い出す。Dressed to Killというのは男を悩殺する女性の服…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第41回 義盛、お前に罪はない

和田義盛(よしもり)(横田栄司)が館に帰ってみると、一族の者たちが皆、武装しています。すでに第一陣は、大江広元の館を襲っているとのことでした。和田はうめくようにいいます。 「鎌倉殿に約束をしたのだ。決して、いくさは起こさぬと」 息子の一人がいい…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第40回 罠と罠

京の後鳥羽上皇(尾上松也)は、内裏(だいり)の修復を、鎌倉にやらせることを思いつきます。 和田義盛(横田栄司)の館(やかた)に御家人たちが集まっています。自分たちが内裏を修復することが不満なのです。和田は皆にいいます。 「上皇様が鎌倉殿にお命じにな…

『映画に溺れて』第526回 シャーロック・ホームズ 闇夜の恐怖

第526回 シャーロック・ホームズ 闇夜の恐怖 平成二十六年一月(2014)渋谷 シネマヴェーラ 第二次大戦が終了しても、ベイジル・ラスボーンはしばらくホームズを演じていた。『闇夜の恐怖』は戦後に作られた作品で、走行中の列車内で起きた事件をホーム…

NPO法人『都草』の件

会員・久宗圭一さんからのお便りです。 私はNPO法人 京都の観光・文化を考える会 『都草』の理事を務めております。 私が担っております役割の一つに、京都の魅力を都草なりの新たな視点で切り取り映像化して広く紹介するという事業(映像制作プロジェクト)…

『映画に溺れて』第525回 シャーロック・ホームズ 恐怖の館

第525回 シャーロック・ホームズ 恐怖の館 平成二十八年十一月(2016)曳舟 すみだ生涯学習センター ベイジル・ラスボーン主演のホームズ映画は20世紀フォックスの最初の二本だけが原作と同時代のヴィクトリア朝になっているが、ユニバーサルの十二本…

『映画に溺れて』第524回 シャーロック・ホームズ 緋色の爪

第524回 シャーロック・ホームズ 緋色の爪 平成二十四年八月(2012)渋谷 シネマヴェーラ アーサー・コナン・ドイルのホームズ物語は大ベストセラーとなり、ウィリアム・ジレットの舞台劇をはじめ、映画となりTVとなり、数多くの俳優がシャーロック・…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第39回 穏やかな一日

時政が鎌倉を追われたあと、天然痘を患(わずら)っていた源実朝(さねとも)(柿澤勇人)が、政務に復帰します。 「ご心配をおかけしました」 と、実朝は北条義時(よしとき)(小栗旬)と政子(小池栄子)にいいます。 「もう大丈夫なのですか」 と、政子…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第38回 時を継ぐ者

北条時政(坂東彌十郎)が、源実朝(さねとも)(柿澤勇人)にいいます。 「鎌倉殿(実朝)の起請文(きしょうもん)がねえと、じいは死ななくちゃならねえんです」 和田義盛(横田栄司)が、無理矢理、二人のいる部屋に入っていきます。刀を抜いている時政…

『映画に溺れて』第523回 シャーロック・ホームズ シークレット・ウェポン

第523回 シャーロック・ホームズ シークレット・ウェポン 平成二十七年十一月(2015)曳舟 すみだ生涯学習センター ベイジル・ラスボーンといえば、シャーロック・ホームズである。 南アフリカ生まれの英国人で、ロンドンで俳優修業、アメリカに渡ってブ…

『映画に溺れて』第522回 ヤング・シャーロック ピラミッドの謎

第522回 ヤング・シャーロック ピラミッドの謎 昭和六十一年三月(1986)新宿 新宿ピカデリー イアン・マッケラン主演『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』は老後のシャーロック・ホームズを描いているが、それとは逆に、まだ世に出る前の少年ホームズが活…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第37回 オンベレブンビンバ

書庫で、義時(小栗旬)たちが、訴訟について話し合っていました。そこへ北条時政(坂東彌十郎)がやって来ます。 「なぜわしを評議に呼ばん」 義時が答えます。 「私が呼ばなくて良いと申しました」 「訴訟は鎌倉殿に代わって、執権(しっけん)のわしが裁…

書評『武蔵 残日の剣』

書名『武蔵 残日の剣』 著者 稲葉 稔発売 角川書店発行年月日 2022年8月26日定価 ¥2000E 武蔵 残日の剣 作者:稲葉 稔 KADOKAWA Amazon 六十余回戦って負けたことがない「古今無双の武芸者・剣豪」といわれる武蔵。武蔵は全国各地を転々としてお…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第36回 武士の鑑(かがみ)

三浦義村(山本耕史)が、北条時政(坂東彌十郎)にいいます。たい 「畠山追討の、御下文(おんくだしぶみ)、拝見しました」 時政はうなずきます。 「これよりすべての御家人に送る」 「驚きました。なにゆえ畠山が鎌倉殿に反旗を」 「よう分からん。しかし…

『映画に溺れて』第521回 赤頭巾ちゃん気をつけて

第521回 赤頭巾ちゃん気をつけて 昭和四十七年十月(1972)大阪 梅田 北野シネマ 一九六九年の芥川賞受賞作、庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』がベストセラーになったのは私が高校生のころで、薫君シリーズは『白鳥の歌なんか聞こえない』『ぼくの大…

『映画に溺れて』第520回 NOPE ノープ

第520回 NOPE ノープ 令和四年九月(2022)府中 TOHOシネマズ府中 UFOを信じるか、信じないか。という議論はそもそもおかしいと思う。UFOとは未確認飛行物体の略語であり、なんだかよくわからないものが空を飛んでいるだけなのだ。それは…

書評『宮澤賢治 百年の謎解き』

書名『宮澤賢治 百年の謎解き』 著者 澤口たまみ発売 T&K Quarto BOOK発行年月日 2022年8月1日定価 2420円(税込) 宮澤賢治 百年の謎解き 作者:澤口たまみ Independently published Amazon 1933年(昭和8年)9月21日、37歳で夭折した宮…

第11回日本歴史時代作家協会賞 授賞式&記念トークショー&サイン会のお知らせ

授賞記念トークショー&サイン会 きたる10月8日(土)、第11回日本歴史時代作家協会賞 授賞式&記念トークショー&サイン会を行います。 詳細ならびにお申し込みは下記リンクより八重洲ブックセンターのサイトへどうぞ。 www.yaesu-book.co.jp

新会員・鳴海風さん新刊

新会員・鳴海風さんの新刊です。今月2冊が店頭に並んでおります。 以下、著者コメント: こんにちは。 今月2冊、新刊を出しました。 厚かましいですが、PRをさせてください。 1冊は、執筆に5年かけた小説です。幕末の会津若松が舞台です。天文暦学がふ…

『映画に溺れて』第519回 スワンソング

第519回 スワンソング 令和四年六月(2022)京橋 テアトル試写室 ウド・キアといえば、一九七〇年代、『悪魔のはらわた』のフランケンシュタイン博士と『処女の生血』のドラキュラ伯爵が強烈に印象に残っている。アンディ・ウォーホル監修、ポール・モリ…

『映画に溺れて』第518回 チャイナタウン

第518回 チャイナタウン 昭和六十三年六月(1988)荻窪 荻窪オデヲン座 アメリカ映画で時代劇といえば西部劇だが、戦前の禁酒法と大恐慌の時代を描いた作品も一種の時代劇のような気がする。 当時、パルプマガジンで活躍したダシール・ハメットやレイモ…

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー14

頼迅庵の新書・専門書ブックレビュー14 『秀吉を討て 薩摩・明・家康の密約』(松尾千歳、新潮新書) 慶長5年(1600)に起きた関ヶ原の戦いで、石田三成を中心とする西軍は、徳川家康に率いられた東軍に敗れた。 その関ヶ原で、目前の合戦には参加せず、ほぼ…

『映画に溺れて』第517回 アンタッチャブル

第517回 アンタッチャブル 昭和六十二年十月(1987)新宿歌舞伎町 新宿プラザ 私のブライアン・デ・パルマ初体験は一九七五年公開の『ファントム・オブ・パラダイス』で、これはわが生涯に観た映画の中でも上位に入る。その後、『キャリー』『悪魔のシス…

『映画に溺れて』第516回 ラストマン・スタンディング

第516回 ラストマン・スタンディング 平成九年二月(1997)日比谷 日比谷映画 派手な暴力描写で名高いウォルター・ヒル監督が黒澤明の『用心棒』をほぼそっくりそのまま、禁酒法時代のテキサスに置き換えてリメイクしたのが『ラストマン・スタンディング…

『映画に溺れて』第515回 用心棒

第515回 用心棒 昭和五十三年十一月(1978)大阪 阿倍野 アポログリーン 私は三船敏郎が大好きだ。三船といえば黒澤明、『七人の侍』は映画として文句なしに最高である。が、異彩を放つキャラクターといえば『用心棒』の浪人だろう。 すさんだ宿場町にふ…

書名『トオサンの桜  台湾日本語世代からの遺言

書名『トオサンの桜 台湾日本語世代からの遺言』 著者 平野久美子 発売 潮書房光人新社 発行年月日 2022年6月23日 定価 ¥840E トオサンの桜 台湾日本語世代からの遺言 (産経NF文庫) 作者:平野 久美子 潮書房光人新社 Amazon 日本語のすでに滅びし国に住み…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第35回 苦い盃(さかずき)

鎌倉殿である源実朝(さねとも)(柿澤勇人)は、北条政子(小池栄子)がこっそりと置いておくように命じた、和歌の写しを見つけます。実朝は母の政子に会いに行きます。実朝が一番好きだといった歌は、父の頼朝(よりとも)が書いたものでした。政子は実朝…

第514回 荒野の七人 真昼の決闘

第514回 荒野の七人 真昼の決闘 昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 南街劇場 西部の荒野を馬上のガンマンが駆けて行く。背景に流れるのは『荒野の七人』のオリジナルテーマ曲。『荒野の七人 真昼の決闘』の最初のシーン、邦題は大胆にも有名な西部劇の…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第34回 理想の結婚

北条泰時(坂口健太郎)は、父の義時(小栗旬)から、小さな観音像を渡されます。それは頼朝が髪の毛の中に入れて、大事に持っていたものでした。北条政子から形見分けとして、義時に与えられたものです。 「私は、あのお方(頼朝)の、お子とお孫を殺(あや…

書評『やわ肌くらべ』

書名『やわ肌くらべ』 著者 奥山景布子 発売 中央公論新社発行年月日 令和4年7月10日定価 ¥1700E やわ肌くらべ 作者:奥山景布子 中央公論新社 Amazon 平安鎌倉から幕末明治までの多岐にわたる時代を背景に、史実と丹念に向き合い史実の奥に潜む物語を…