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大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第4回 小便小僧

 今週も軽くツッコんでいこうと思います。
 東京高等師範学校でのマラソン大会が行われました。6里(24キロ)にも及ぶ長距離走でした。ところが競技開始直前、金栗四三は小便がしたくなるのです。急いで立ちションをする四三。しかしその間にスタートの合図は撃ち鳴らされてしまいました。
 出遅れた四三は道がわかりません。子どもに教えてもらう始末です。四三は皆に追いつきました。そして次々に、走る学生たちを抜かしていくのです。
 四三のわらじは壊れてしまいます。四三は裸足で走ります。最下位でスタートした四三は、三位にまで順位を上げていました。
 結局四三の順位は三位でした。憧れの嘉納治五郎から、銅メダルを授かります。
「走ることが楽しくて仕方がありません」
 と故郷の家族に手紙を出すのです。
 しかし故郷からの手紙は厳しいものでした。兄はいいます。
「お前は何か思い違いをしておるぞ。学生の本分を忘れ、かけっこにうつつを抜かすとは」
 母もいいます。
「六里の道を走るとはなんと無謀なことを。無理せず、歩く程度にしなさい」
 体の弱いお前を東京へ行かせたのは勉強をさせるためだ。かけっこに熱中しろといった覚えはないぞ。と、兄は書いてきています。
 ほめて欲しかった四三はがっかりしました。もう手紙は出さない、と誓うのでした。
 そして四三は勝つための方策を考えるのでした。
一、 排便ばする。
二、 わらじは好かん。
三、 スタミナ
 四三は徒歩部に入部します。徒歩部とは、いまでいう陸上部です。四三は本格的にマラソンに取り組むことになります。
 放課後は、豚鍋を食し、スタミナを補充します。一の排便と、三のスタミナを克服した四三にとって、二の履き物問題は悩みの種でした。四三は足袋(たび)の店に入ってみます。足袋を足に合わせる四三。その表情に灯りがともります。山本未來のナレーション。
「四三と播磨屋。長い長い付き合いの、これが始まりでした」
 嘉納治五郎は記者会見を開いていました。
「オリンピックに参加すべき代表選手を選抜するための大運動会を開催することになった」
 場面は師範学校の四三らに移ります。治五郎の記者会見の新聞記事を読んでいました。マラソンの二五マイルの距離を舎監の永井道明にたずねる四三。永井は「十里(40キロ)だ」と答えます。驚く四三。永井は
「死人が出るぞ」
 といいます。ナレーション。
「二五マイル。40キロ。四三にとって、それは未知の領域でした」
「やれるか」
 と自分に問う四三。
「いや、やるんだ」
 と決意を固めます。
 今までの練習法では無理だ。と、考える四三。四三は一冊の本を見つけます。そこには「水抜き」「油抜き」の走法が書かれていました。とにかく汗をかき、体内の水分をできるだけ体外へ出し、体を軽くすること。
 四三はそれを実践します。お茶も飲みません。味噌汁は具だけつまんで、あとは捨てます。そして厚着をして走ります。
 場面は天狗倶楽部の三島弥彦の所に移ります。弥彦は銀行家の兄に部屋に呼び出されます。オリンピック予選会に出るなと釘を刺される弥彦。弥彦は兄に持ちかけます。
「これからスポーツの時代が来るのです。スポーツには金がいる。富める国でなければスポーツは普及しません。将来、スポーツが国の力を測る物差しになるかもしれません。銀行家なら出資すべきではないでしょうか」
 兄の弥太郎はにべもありません。
「日本の経済が冷え込む今、欧米人のまねなんぞして、娯楽スポーツにふけるときではない」
 嘉納治五郎はオリンピック予選会の会場を建設する現場に来ていました。嘉納は双眼鏡をのぞいていた弥彦に話しかけます。僕は出ませんよ。弥彦はいいます。嘉納は驚きます。天狗倶楽部は出場ではなく、運営側に回ることになりました。弥彦は兄に融資を断られたことを嘉納に伝えます。驚きのあまりか倒れる嘉納。病院に入院することになります。嘉納は助教授の可児にいいます。
「日本のスポーツが世界に打って出る好機などと、大風呂敷を広げてみんなを巻き込んでしまったが、実はもうずいぶん前にあきらめていた。いだてんなどいない」
 場面は四三。脂抜きは八日目に入ります。四三は風呂場で倒れてしまいます。自らの意思で水を飲む四三。山本未來のナレーション。
「この経験から四三が学んだことそれは『自然に従え』でした。脂抜きの苦しさは、人間の生理的欲求に逆らうものだ。食いたいから食う。走りたいから走る。欲求通りに運ぶのが自然」
 そしてオリンピックの予選会が開始されようとします。四三はその頃、道に迷っていました。