大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第5回 雨ニモマケズ
今週も軽くツッコんでいこうと思います。
明治44年、オリンピックの参加選手を決めるための予選会が行われました。
しばらくおとなしく審判をしていた天狗倶楽部の三島弥彦でしたが、途中耐えられなくなり競技に参加してしまいます。そして百メートル、四百メートル、八百メートルの競技で優勝してしまうのです。
金栗四三ら、東京高等師範学校(東京高師)の面々は、道に迷った末、競技途中に予選会にたどり着きます。しかしマラソン競技が始まるのには間に合いました。
いよいよマラソンが始まります。競技が始まるに際し、東京高師の教授、舎監(寄宿舎の監督)でもある永井道明が注意を呼びかけます。
「決して無理はするな。体に変調が起きた場合、無理せずその場で救護班を待て。歩いてもいい。休んでもいい。生きて帰ってくれたまえ」
スタートの合図が撃ち鳴らされました。激しい雨が降り始めます。四三は最下位でスタジアムを出て行きます。十里、二五マイルという長距離に、皆、初めて挑みます。
東京高師の面々は、序盤はわざとゆっくりしたペースで進みます。雨が上がり、日差しが差し始めました。次々に落伍者が出始めます。四三は着実に順位を上げていきます。
四三はついにスパートをかけ始めます。
スタジアムで待つ嘉納治五郎の元に、伝令が伝えてきます。トップが折り返し地点を回り、現在落伍者は八名。
折り返し地点にいたり、四三は四位につけていました。二位の選手はふらふらになっています。四三は三位に上がります。もしかしたら勝てるかもしれない、との思いが四三の胸を横切ります。
ふらふらになっていた二位の選手を四三は抜きます。雨風が再び四三を襲います。あと四里。
これまで最高六里しか走ったことがなかった四三にとって、ここから先は未知の領域でした。四三の履く足袋(たび)も壊れてきます。
奇妙なことが起こります。トップの選手が立ち止まると、二位の四三をにらみつけてきたのです。四三も思わず立ち止まります。その間十秒。レースは再び開始されます。
スタジアムで待つ嘉納の元に、落伍者が十三名になったと伝えられます。そして嘉納はスタジアムに入ってくる、ひとりの姿をとらえるのです。嘉納は思わず叫びます。
「いだてんだ」
ゼッケンを調べると、その人物が金栗四三であることがわかります。タイムを見ると、四三が世界記録を更新していました。嘉納は思わず飛び出していきます。ゴールを切る四三を抱きとめます。
四三は思い出の中にいました。体の弱い四三は嘉納治五郎に抱っこしてもらうべく、父と出かけたのです。嘉納に抱っこしてもらうことは叶いませんでしたが、父は帰ってきて、四三が抱っこしてもらったと家族に嘘をつきます。長じて東京にいく直前、それが嘘であったことを兄に打ち明ける四三。兄はいいます。
「抱っこばしてもらいに、東京に行くとか」
そして今の四三。嘉納に抱っこしてもらう夢が、こんな形で叶ったのです。
すぐさま四三が世界記録を破った記事が号外で人々にくばられました。人々は四三の乗る市電に押し寄せ、歓声を浴びせました。
部屋に帰った四三はノートを取り出します。
「勝つために」
と表紙に書き記します。今日の勝因を自分なりに分析しようというのです。排便、食事、服装などを考察していきます。そして課題が浮かび上がってきました。足袋が破れて最後には裸足で走ることになったのです。破れない足袋をつくろうと決意します。
四三は足袋を買った店、播磨屋を訪れます。自分のつくった足袋をほめてくれるものと勘違いした播磨屋は上機嫌。しかし四三が足袋の欠点を上げ連ねていくと激怒してしまいます。
一方、美濃部孝蔵、後の今亭志ん生もドラマチックな体験をしていました。一日、代理で人力車夫を引き受けたところ、憧れの橘屋円喬を乗せることになったのです。円喬を家まで送り届けると、孝蔵は土下座します。
「弟子にして下さい」
と頼み込むのです。円喬は、それなら明日もまた同じ道を乗せてくれ、といいます。すっかり弟子になったつもりではりきる孝蔵でした。