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大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第7回 おかしな二人

 今週も軽くツッコんでいこうと思います。
 嘉納治五郎役所広司)の口車に乗せられ、自費でオリンピックに行くことになった金栗四三
 一方、嘉納は参加をしぶる三島弥彦生田斗真)を口説いていました。
「君のような日本の未来をしょって立つ若者に、先進諸国のスポーツ文化を見てもらいたい。これは遊びじゃない。視察だ」
 オリンピックへ出発まで3ヶ月と迫りました。四三には手紙が来ません。四三は兄の実次(中村獅童)に金の無心の手紙を書いていたのでした。兄が自分の走ることをよく思っていないことを思い出す四三。さらに四三の家は貧しいのです。暗澹たる気分になります。
 弥彦の参加は、銀行家である兄の弥太郎が承知しません。
 金があるのに行けない弥彦、行けるのに金がない四三。
 弥彦は兄の説得のために、自宅の庭を走って見せます。
 四三のもとについに兄から手紙が来ます。それは良い意味で四三の予想を裏切るものでした。兄は手紙で切り出します。
「四三よ。あっぱれ。よくやってくれたぞ」
 実は四三のことが新聞に書かれたため、兄は近所で良い顔になっていたのです。金のことは心配するな、必ず俺がなんとかする、と兄は書いてきています。たとえ田畑を売ってでも、必ず外国へ行かせてやる。
 四三と弥彦は嘉納のもとで、オリンピックのエントリーシートにサインします。大きくうなずく嘉納。二人を励まします。
「勝てとはいわん。精一杯、戦ってきてくれたまえ」
 二人は欧米のスポーツ文化にくわしい大森兵蔵竹野内豊)の妻、大森安仁子(シャーロット・ケイト・フォックス)から、英会話や、西洋式の礼儀作法、食事のマナーを習うことになりました。場所は弥彦が自宅を使ってくれと申し出てくれました。
 熊本では四三の兄、実次が、医者の春野に頭を下げていました。金の工面を頼んだのでいたのです。そんな金はないと断る春野。そこへ娘のスヤ(綾瀬はるか)が現れます。庄屋の池辺はどうだろうかと提案します。スヤに連れられて池辺に会う実次。
 弥彦の家でテーブルマナーの講習が開始されます。苦戦する四三。
 兄から何の音沙汰もないまま、四三はオリンピック出発まで1ヶ月を迎えます。
 弥彦の家で、弥彦と四三は話し合います。弥彦は家族に応援される四三をうらやましがります。
「祝福されて、激励されて走る方が、心強いだろう」
「ばってん、我が子に関心のなか親がおるでしょうかね」
 と、素朴な感想を言う四三。弥彦は複雑な表情を見せます。
「期待に応えんでいいから気楽だがね」
 と言い捨てる弥彦。
 練習を重ねる四三ですが、金のないために自分は走れないかもしれない、と思い始めていました。
 見かねた学校の仲間たちが、四三のために募金活動などを始めていました。
 市電から赤ゲット(田舎者の象徴)をまとった男が降りてきます。新聞記事の写真と四三を見比べながら男が叫びます。
「ああー、いだてんのお出ましたい」
 男は兄の実次でした。驚く四三。
「なして東京におるとね」
「金千八百円、持ってきたばい」
 と叫ぶ実次。
「何も言うな」
 と実次は四三を抱きしめるのでした。