『映画に溺れて』第51回 シャザム！

第５１回　シャザム！

平成三十一年四月（２０１９）
新宿歌舞伎町　ＴＯＨＯシネマズ新宿

　アメリカンコミック原作のヒーローにはいろいろある。遠い惑星から来たスーパーマン、蜘蛛に噛まれたスパイダーマン、大富豪のバットマン、機械スーツのアイアンマン、科学実験で変身のハルク、神話世界のワンダーウーマンやマイティ・ソウなどなど。今回は十四歳の子供がヒーローになって世界を救うという楽しいコメディ。
　幼い頃、遊園地で母とはぐれて迷子になったビリー。その後、養家を転々としながら、母を探して家出をくりかえしているが、警察に保護され、最後に連れて行かれたのが五人の少年少女を世話している親切な里親夫婦。
　孤児のひとり、同世代の足の不自由なフレディが学校でいじめられているのを助けた直後、ビリーはいきなり世界を守護する魔術師の神殿に呼ばれて、その六つの力ＳＨＡＺＡＭ（ソロモン、ヘラクレス、アトラス、ゼウス、アキレス、マーキュリーのそれぞれの特質）を受け継ぎ、スーパーヒーローに変身する。
　中身は十四歳の少年だが、外見はヒーローコスチュームのがっしりした大人。こんな恥ずかしい格好で町を歩くとみんなが振り返る。夜にそっと養家に戻ってヒーローマニアのフレディに秘密を打ち明ける。
　シャザムと唱えるだけでヒーローになったり子供に戻ったりすることがわかり、フレディの協力で、次々とパワーを開発するも、根が子供なので、やることがとんちんかん。
　一方、少年時代に神殿に呼ばれながら、ヒーローに選ばれなかったのがサデウス。長年独自の研究を続け、中年男になった今、神殿の秘密を探り出し、とうとう封じられた悪のパワーを身につける。
　町中を巻き込んでの善と悪との戦い。悪のサデウスには七つの大罪を象徴する悪鬼がとりついており、パワーを充分に発揮できないビリーは窮地に。それを助けるのが、なんと……。痛快なラスト。スーパーヒーローものはいつでも娯楽映画の王道だ。

シャザム！／Shazam!
２０１９　アメリカ／公開２０１９
監督：デビッド・F・サンドバーグ
出演：ザカリー・リーバイ、アッシャー・エンジェル、マーク・ストロング、ジャック・ディラン・グレイザー