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『映画に溺れて』第58回 ブレイド

第58回 ブレイド

平成十一年十一月(1999)
新橋 新橋文化

 

 マーヴェルコミックの変種ヒーローが吸血鬼退治のブレイドである。
 妊娠中の母親が吸血鬼に襲われ、吸血鬼と人間の両方の性質を持って生まれたため、生きるには人間の生血が必要だが、にんにくを恐れず、日の光も平気で、その代わり人間と同じように年を取る。
 このブレイドが吸血鬼ハンターのウィスラーと共に吸血鬼を退治する物語。
 長年生き続けている純血種の吸血鬼ドラゴネッティは人と争わず、地下でひっそりと暮らすことで人類と吸血鬼との共存の道を目指している。
 が、吸血鬼に噛まれて吸血鬼になったフロストは闇から這い出し、昼間の世界をも征服しようと企む。コンピュータで古代の秘密文書を解読し、純血吸血鬼の崇める悪の神マグラを呼び出し、自分が吸血鬼の王になろうとする。
 マグラ復活の儀式にはいけにえの血が必要で、フロストと対決するために神殿をつきとめたブレイドも純血種とともに血を奪われる。
 吸血鬼が題材だが、オカルト色はほとんどなく、派手なアクションが中心のヒーロー映画となっている。
 フロストがブレイドの撃った銃弾を避ける場面で、弾が体をかすめる描写は、この後の『マトリックス』でも使われている。
 長老のドラゴネッティ役のウド・キアは『処女の生血』のドラキュラ以来、吸血鬼映画にはしょっちゅう出演している。よほど吸血鬼が気に入っているのだろう。

ブレイド/Blade
1999 アメリカ/公開1999
監督:スティーブン・ノリントン
出演:ウェズリー・スナイプス、スティーブン・ドーフ、クリス・クリストファーソン、ウンブッシュ・ライト、ドナル・ローグ、ウド・キア