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『映画に溺れて』第70回 輪舞

第70回 輪舞

平成七年五月(1995)
銀座 シャンゼリゼ

 

 ロジェ・ヴァディムの作品は六十年代のものが多いので、なかなか映画館で観る機会がない。シャンゼリゼは銀座の東映の地下の劇場で、後に丸の内TOEI②と名を変えた。
『輪舞』は映画より先に銀座セゾン劇場で木村光一演出の舞台を観ている。セックスコメディとでもいおうか。そのセゾン劇場も今はもうない。
 映画版はロジェ・ヴァディムなので美女が次々と現れてうれしい。アルツール・シュニッツラーの原作戯曲をフランスの劇作家ジャン・アヌイがシナリオ化したものらしい。
 マリー・デュボアの人の好さそうな娼婦が軽薄で冷淡な兵隊クロード・ジローと関係する。
 この不誠実な不良兵士が宿舎を抜け出して町のダンスホールで御屋敷奉公の女中アンナ・カリーナと出会い空き家の庭で関係する。
 アンナ・カリーナは御屋敷の坊ちゃんジャン=クロード・ブリアリに主人夫婦の留守中、食堂で誘惑される。
 ブリアリはアパートを借りて、良家の奥方ジェーン・フォンダを誘って密会する。
 フォンダは家で夫モーリス・ロネと同衾する。
 ロネは道で出会った少女カトリーヌ・スパークを誘惑する。
 スパークは劇作家ベルナール・ノエルに口説かれ、劇作家はかつての恋人であった大女優フランシーヌ・ベルジェと再び関係する。
 大女優はファンの伯爵ジャン・ソレルと関係し、伯爵は町で酔っぱらって、娼婦マリー・デュボアの部屋で目を覚ます。
 このセックスの輪が閉じられるというアイディアだけの話なのだが、会話が洒落ているので見ていて楽しい。

 

輪舞/La Ronde
1964 フランス・イタリア/公開1964
監督:ロジェ・ヴァディム
出演:マリー・デュボア、アンナ・カリーナジェーン・フォンダ、カトリーヌ・スパーク、ジャン=クロード・ブリアリモーリス・ロネ