日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第28回 走れ大地を

 田畑政治阿部サダヲ)の発案にて、日米水上競技(水泳)大会が開催されます。場所は東京の神宮プール。一万三千人を収容できるスタンド席は超満員。そして日本チームはアメリカに圧勝してしまうのです。
 しかし田畑はこの結果に満足しません。本番のオリンピックでは日本は危ないと言うのです。
 田畑はアメリカチームの監督に話しかけられていました。ロスでは絶対に負けないと。
 田畑は大日本体育協会に呼ばれていました。理事にならないかと持ちかけられます。即座に断る田畑。嘉納治五郎役所広司)は田畑を東京市長の永田秀治郎(イッセー尾形)のもとに連れて行きます。そこで田畑は、東京にオリンピックを呼ぶ計画があることを知るのです。永田は言います。
「(関東大震災から)立ち直った日本をね、私はね、世界に見せたいんだ」
 嘉納はこたえます。
「そこだよ、永田さん。世界中の人がこの東京にやって来て、人種も思想も越えてスポーツで技を競いあうんだ」
 永田は言葉を継ぎます。
「彼らはね、日本のね、文化、精神に触れてね、それをね、(自分の国に)持ち帰るんだ」
 しかし、その頃、情勢は動き出していました。満州事変が勃発したのです。
 田畑は同じく朝日新聞に勤める河野一郎桐谷健太)に、飲みに誘われます。バーにて河野は言います。
「中国との紛争が長引けば、日本は国際社会で孤立する。オリンピックどころの騒ぎじゃなくなるぞ」
 河野は記者を辞めようと思っていることを田畑に打ち明けます。代議士になることを決意していました。河野は言います。
「新聞はもう駄目だ。言論の自由はいずれ軍に奪われる。俺は政治で日本を変える」
 河野に刺激されて、田畑は政界の大物、高橋是清萩原健一)のもとを訪ねます。そこで満州問題が解決できなかった若槻内閣が総辞職すること。犬養毅塩見三省)が次の総理になることを教えられます。田畑はスクープをものにしたのです。
 新聞に記事が載ると、田畑は社で賞賛されます。そして河野が社を出ていこうとしていました。河野に別れを告げようと呼び止める田畑。新聞は俺にまかせろ、と田畑は豪語します。それを聞いて苦笑する河野。お前はスポーツでもやってろ、と言います。
「スポーツが盛んなうちは、国は大丈夫だ。俺は政治をやる。お前はこの国のスポーツを頼む」
 そう言い残して、河野は去って行くのです。
 昭和七年三月。ついに関東軍満州を占領し、満州国独立を宣言します。しかし政府は満州国を承認しようとしません。軍部の不満は高まっていきます。
 田畑は記者として犬養を訪ねていました。今、アメリカでは反日運動が盛んだからな、用心したまえ。田畑はロス・オリンピックについて犬養にそう忠告されます。犬養は言います。
満州問題を一日も早く平和的に解決しなくてはならん。そもそも私は、満州国建国を認めるつもりはないのだ」驚く田畑にかまわず犬養は続けます。「ああでもせんと関東軍が世の中をひっくり返せんと考えたんだろうが、愚かだ。いかなる場合も、武力に訴えてはならん。人間どうし、向き合って、話せばわかり合えるんだよ」うなずく田畑を見て、犬養はさらに続けます。「スポーツはいいな。戦争は、勝つ方も負ける方も、つらく苦しい。だがスポーツは、勝っても負けてもすがすがしいものだ」
 そして昭和七年五月十五日。犬養の屋敷に、ピストルを構えた軍人たちが突入してくるのです。犬養は軍人たちを応接室に招き入れ、話し合おうとします。
「話を聞こう」
 と、語りかけます。
「問答無用」
 と、軍人たちはピストルを発砲します。
 クーデターの知らせを聞いて、さすがの田畑もプールで一人落ち込みます。犬養と話した情景が浮かんできます。
 ロス・オリンピックに参加する水泳選手の壮行会が行われます。嘉納治五郎が皆に呼びかけます。
「こんな時だからこそ、諸君は、スポーツ大国へと成長した日本の姿を、世界に見せなければいけない。国際社会で孤立しつつある日本を背負って、懸命に戦ってくれ」
 日本選手団が船に乗り込むことになります。元気に人々に手を振る田畑たち。船はロサンゼルスに向けて出航していきます。