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『映画に溺れて』第124回 薄桜記

第124回 薄桜記

平成五年十一月(2003)
池袋 新文芸坐

 

 大映の若手、市川雷蔵勝新太郎の共演。共に二十代後半、雷蔵ばかりか勝新までが、白塗りの二枚目として売り出していた頃で、主役の丹下典膳が市川雷蔵堀部安兵衛勝新太郎である。
 元禄十五年十二月、吉良邸討ち入りに向かう赤穂浪士堀部安兵衛は雪を踏みしめながら回想する。
 かつて高田馬場の決闘に駆けつける途中、直参旗本の丹下典膳に出会う。この偶然が二人の運命を絡ませ狂わせていくのだ。
 安兵衛は上杉家の家臣長尾竜之進の妹千春に思いを寄せていたが、千春は典膳に嫁ぐ。失意の安兵衛は上杉家からの仕官の口を断り、高田馬場で縁のできた堀部弥兵衛の養子となる。
 武門の対立から五人の刺客に襲われる安兵衛に、通り合わせた典膳が助太刀し、刺客に手傷を負わせる。この五人の男がそれを恨み、典膳が公用で留守の間、屋敷に押し入り妻の千春を凌辱する。
 典膳は五人を討つため千春を離縁するが、千春の兄から片腕を切り落とされ、浪人となる。片腕の丹下典膳が後に丹下左膳になるのかと思ったら、そうはならない。
 その頃、江戸城では赤穂藩浅野内匠頭高家筆頭吉良上野介に斬りかかっていた。
 一年後、片腕の剣客として典膳は吉良家の用心棒となり、赤穂浪士の安兵衛といずれ対決することを決意。
 妻を犯した五人組を安兵衛の加勢で倒すも、再会した妻とともに命を落とす。
 原作は五味康佑、脚本は伊藤大輔
 その後、市川雷蔵眠狂四郎勝新太郎座頭市が当たり役となり、共に大映の大看板となって、それぞれの道を歩むのである。

 

薄桜記
1959
監督:森一生
出演:市川雷蔵勝新太郎、真城千都世、三田登喜子