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『映画に溺れて』 第136回 リバース

第136回 リバース

平成十一年一月(1999)
新橋 新橋文化

 

 時間逆行SF。低予算ながらアイデアが面白く、よく出来ている。
 テキサスの砂漠にある閉鎖寸前の高速化研究所。そこで最後の実験が行われ、ついに成功する。
 一方、砂漠を行く女刑事が事故で路上の看板に衝突。通り掛かった夫婦に乗せてもらう。これががさつなテキサス男。途中立ち寄ったスタンドで、妻の浮気を知り、車を走らせながら、突然怒り狂い、銃を取り出し妻を射殺してしまう。
 びっくりした女刑事は研究所へ逃げ込み、誤って逆行装置が働き、二十分間過去へ遡る。これが二十分だけというのがうまい。
 気がつくと、またテキサス男の車の中、これから何が起こるかわかるので、テキサス男の妻殺しを阻止しようと努める。ところが、今度はスピード違反を咎めた保安官が殺され、やはり妻も殺され、トラックの運転手も殺され、スタンドでの銃撃戦となって、命からがら研究所へ逃げ込み、今度は研究員と二人で過去へ逆行する。
 また、同じテキサス男の車の中、さらにもっとひどい状況になって、前回では通りすがりだった親子や、保安官、トラック運転手など次々と巻き込んで、逆行を繰り返す度に状況がどんどん悪くなる。このエスカレートぶりが楽しめるのだ。
 とうとうテキサス男までが研究所に乗り込み、時間逆行の秘密を知って。
 過去を修正しようとして、遡るたびに悲惨さがエスカレートしてしまうのが面白い。こんな佳作がなかなか人に知られずに、消えていくのはもったいない。
 ジョン・ベルーシの弟のジェームズ、なかなかの怪演であった。

 

リバース/Retroactive
1997 アメリカ/公開1998
監督:ルイス・モーノウ
出演:ジェームズ・ベルーシ、カイリー・トラヴィス、シャノン・ウィリー