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『映画に溺れて』第139回 オーロラの彼方へ

第139回 オーロラの彼方へ

平成十二年十一月(2000)
銀座 ガスホール

 

 タイムマシンで過去や未来へ行く話。タイムマシンを使わなくても、魔法や念力や異次元の扉や、その他の方法で別の時間へタイムスリップする話は多い。が、タイムスリップすることなく、過去を変えてしまうのが『オーロラの彼方へ』である。
 主人公は一九九九年のニューヨークの刑事、オーロラが上空に立ち込めたある日、彼は三十年前に父が使っていたアマチュア無線の装置を物置で見つけ、スイッチを入れる。すると、応答する無線マニアの声。なんとそれは死んだはずの父。
 一方、一九六九年のニューヨーク。夜空をオーロラが覆った日、ひとりの消防士が趣味のアマチュア無線機から不思議な声が届いたのに驚く。声の主は三十年後の息子と名乗る。つまり、オーロラの夜、その無線機は三十年の時を隔てて、父と息子を交信させたのだ。
 三十年前のその日、消防士の父は火事の現場で殉職した。息子は父に忠告する。危険を避けるようにと。その交信によって、過去が変わり、現代に影響を与える。
 息子の忠告のおかげで父は殉職せず、のちに肺癌で死亡。すると、本来現代まで生きているはずの母が、どういうわけか三十年前の殺人事件に巻き込まれて犠牲になっていた。
 彼はまた過去の父と交信し、煙草を止めるように忠告。そして母がいつ被害にあったかを調べ、父に母を守るように指示する。と、また現代が変化していて・・・・・・。
 空中を飛び交う電波。不思議なオーロラによって、時空が歪み、電波が時間の壁を越えてしまうというアイディア。
 ふたつの時代を交互に見せて、なかなか凝った展開である。

 

オーロラの彼方へ/Frequency
2000 アメリカ/公開2000
監督:グレゴリー・ホブリット
出演:デニス・クエイド、ジム・ガヴィーゼル、ショーン・ドイル、エリザベス・ミッチェルアンドレ・ブラウアー、ノア・エメリッヒ