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『映画に溺れて』第140回 バタフライエフェクト

第140回 バタフライエフェクト

平成十七年九月(2005)
飯田橋 ギンレイホール

 

 時間SFにもいろいろあるが、子供の頃の日記を見つめ、あの時こうすればよかったと強く願うことで、過去が変わり、その後の人生も変化して別の現在になっているというユニークな設定が『バタフライエフェクト』だ。
 主人公は二十歳の心理学を学ぶ学生。少年時代から記憶障害があり、極端に忌まわしい出来事に直面すると記憶がとぎれてしまう。精神科医に日記を書くことをすすめられ、七歳からそれが続いている。
 たまたまある記憶が甦り、それを確認するために故郷の町へ戻ると、そこでウェイトレスをしている幼なじみに出会い、思い出したくない過去を思い出させたため、その夜、彼女は自殺してしまう。
 彼女の死を知らされ、彼は後悔する。古い日記を見つめながら、子供のとき、あんな忌まわしいことがなければよかったのに。そう思った瞬間、彼は幼い頃の過去に戻って、その出来事を未然に阻止する。
 ふと気がつくと、現在。彼女は故郷のウェイトレスではなく、彼と同じ町で過ごす女子学生。過去が変わったために、彼と彼女は今、幸福な恋人同士となっている。
 だが、今度は彼女の兄が犯罪者となり不幸な人生を送っている。刑務所から出てきた彼女の兄と口論になり、彼ははずみで殺してしまう。そこで古い日記を再び開き、彼女の兄が不幸になった原因の事件を取り除く。
 現在に戻ると、さらに最悪の事態に。何が狂ったのか。また日記を取り出し、過去へ。何度めかの現在。彼は少年時代の事故のせいでずっと精神病院にいる。彼が医者に話す過去への旅はすべて異常者の妄想だったのか。そもそも日記など存在しないと医者は言うのだが。
 時間SFの世界、様々なアイディアがあって、ほんとに奥が深い。

 

バタフライエフェクト/The Butterfly Effect
2003 アメリカ/2005
監督エリック・ブレス、J・マッキー・グラバー
出演アシュトン・カッチャーエイミー・スマート、エリック・ストルツ