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『映画に溺れて』第194回 サロゲート

第194回 サロゲート

平成二十二年二月(2010)
新宿 新宿ピカデリー

 

 テクノロジーの進歩した近未来、身障者用に人工の腕や足が開発される。脳からの信号で、実際の手足と同じように動かせるマシーン。それが進歩すると、今度は全身に活用。やがて戦争用に人間が遠隔操作する兵士ロボットが開発され、それが一般用に普及する。
 町を歩いているのは、みな分身のマシーンたち。本人は家にいながら、ベッドに横たわり、外のマシーンを自分の肉体同様に動かしている。マシーンの目で見、マシーンの耳で聴き、マシーンの口でしゃべり、マシーンの手で触り、マシーンの足で走る。機械の肉体が事故にあって壊れても、家にいる本人は平気なのだ。絶対に安全な理想社会。しかも分身ロボットはみな一様に本人を美化してデフォルメされた美男美女ばかり。
 ところが、ここで殺人事件が起きて、FBIの捜査官が乗り出してくる。現場で活躍する捜査官もみな分身ロボットである。
 事件の裏にはロボットを捨てて、人間らしく生きようというスローガンを掲げた人権団体が動いていて、ロボットを開発した企業とFBIとの癒着も影を落とす。
 マシーンの分身を壊され、謹慎処分となった捜査官、今度は生身の本人が町に出て捜査を続けようとするが、これが禿げ頭でしょぼくれた中年男。素顔のブルース・ウィリス
 何年も家から出ないで寝たまま分身を操作していただけだった。美男美女が闊歩する町中で、よろよろと歩くのもおぼつかない様子。はたして事件を解決できるのか。
 ジャンルとしてはSFとミステリとがうまく融合されており、俳優たちのロボット演技も凝っている。

 

サロゲート/Surrogates
2009 アメリカ/公開2010・1・22
監督:ジョナサン・モストウ
出演:ブルース・ウィリスラダ・ミッチェル、ロザムント・パイク