『映画に溺れて』第205回 非女子図鑑

第２０５回 非女子図鑑

平成二十三年七月（２０１１）
新宿　Ｋ‘ｓシネマ

　六つの短編、オープニングを入れて七人の監督の競作である。非女子とは、女らしくない女性というような意味だろうか。
　占い好きで毎日神社でおみくじを引く女子高校生、彼女はおみくじの言葉通り一日を送る。足立梨花主演の「占いタマエ」
　格闘技にあけくれ自分の体を鍛えることが日課のみっちゃんが、試食無料の焼きそば店を見つけて試食を繰り返し、店員との戦いをくりひろげる山崎真実主演の「魁!!みっちゃん」
　いつもノーブラの遺跡発掘調査員が若手男性調査員の衣類の中にブラがあるのを発見し、発掘現場に埋めると……。月船さらら主演の「Ｂ（ビー）」
　任侠映画のオーディションにひとり女がまぎれていて、これが女優なのにどうして男の、それもヤクザの役を演じたいのか。男になりたい女。それを品川徹ふんする監督がやけに気に入ってしまい、周囲があたふたするという片桐はいり主演「男の証明」
　温泉好きで混浴にこだわる女性を描いた江口のりこ主演「混浴ヘブン」
　私が一番大笑いしたのが塚本連平監督、仲里依紗主演の「死ねない女」
　失恋したＯＬが自殺しようとして、ふと自分の部屋を見回し、あまりの汚さに、このまま死んで刑事が入ってくると何を言われるだろうかと想像する。そこで死ぬ前に部屋を片付けて掃除する。洋服もおしゃれなものを買ってきて着がえる。美容院にも行く。だらしない女からかっこよく死のうとして美女に変身していく。現場でさんざん自殺者を愚弄し嘲笑する想像上の刑事が佐藤二朗。
　オムニバスコメディの佳作である。

非女子図鑑
２００９
監督：清水崇、豊島圭介、山口雄大、深川栄洋、川野浩司、オースミユーカ、塚本連平
出演：鳥居みゆき、足立梨花、山崎真実、月船さらら、片桐はいり、江口のりこ、仲里依紗