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『映画に溺れて』第214回 ザ・プレイヤー

第214回 ザ・プレイヤー

平成七年七月(1995)
高田馬場 早稲田松竹

 

 ハリウッドの映画界を舞台にした虚実ないまぜの出世競争劇。ティム・ロビンスふんするシナリオ担当重役グリフィンが謎の人物から絵葉書で脅迫される。
「あとで連絡すると言ったくせに、どうして約束を守らなかったんだ。殺してやる」
 持ち込まれてボツになった無数の脚本、面会して社交辞令で「あとで連絡する」と言ったものの、そのままになった相手は無数にいる。脅迫者の名前はジョー・ギリス。『サンセット大通り』でウィリアム・ホールデンが演じた脚本家の名前を使っているのだ。面会記録からひとりの売れない脚本家に見当をつけ、居場所を突き止め、映画館で出会って、口論になり、結局はずみで殺してしまう。
 ところが、その後も脅迫の絵葉書が舞い込むので、人違いだとわかり、警察につけねらわれたり、殺した脚本家の恋人と仲良くなったりという話。
 もうひとつは他社から引き抜かれて来る遣り手の新重役に地位を奪われないかとびくびく。新重役を罠にかけて、うまく乗せ、絶対にヒットしそうにない重くて暗い人種問題をあつかった悲劇『人身保護令状』を作らせる。
 一年後、『人身保護令状』が大スターを使い、ハリウッドらしい娯楽アクション映画になって大ヒット。そしてグリフィンはその功績で今は社長になっており、自分が殺した脚本家の恋人と結婚して、近々子供も生まれるという。ハリウッド映画がハッピーエンドなら、作っている映画人もハッピーエンド。
 ジャック・レモンアンジェリカ・ヒューストンニック・ノルティ、ジョエル・グレイ、マルコム・マクダウェル、シェール、ハリー・ベラフォンテなど実際の俳優や監督が自分自身の役で大勢出ている。

 

ザ・プレイヤー/The Player
1992 アメリカ/公開1993
監督:ロバート・アルトマン
出演:ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォードピーター・ギャラガーヴィンセント・ドノフリオシドニー・ポラック