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『映画に溺れて』第220回 ニューシネマパラダイス

第220回 ニューシネマパラダイス

平成三年三月(1991)
東村山 東村山市中央公民館

 映画を題材にした映画には名作が多い。中でも『ニューシネマパラダイス』は映画史上に残る名作であると思う。
 ローマに住む著名な映画監督、故郷シシリアの母からの電話で少年時代に親しくしていたアルフレードの死を知らされる。そして回想。
 アルフレードは村の映画館の映写技師。映画館は教会の経営で、司祭は公開に先立って事前にフィルムをチェックし、キスシーンなど倫理上好ましくない場面をカット。教会の手伝いをする少年トトは映画好きで、アルフレードと大の仲良し。少年のトトというあだ名はイタリアの有名なコメディアン、トトからきている。トト主演の喜劇映画を見ようと満員の客が入れないでいると、アルフレードはガラス窓を反射させて、外の家の白い壁に映画を映す。外の人たちも映画が観られるように。その時、フィルムに火がついて映画館は焼け落ち、アルフレードは失明する。昔のフィルムは過熱するとすぐに燃えたのだ。
 新しい映画館ヌーボ・チネマ・パラディソ(ニューシネマパラダイス)が開館し、まだ小学生のトトが映写技師として雇われる。やがて高校生となったトトは転校生のエレナと恋に落ちるが、エレナの両親は反対し、彼女は行き先も告げずに引っ越して行く。絶望したトトにアルフレードは村を出て、都会に行くよう勧める。
 ローマで成功し、有名な映画監督となって、三十年振りにアルフレードの葬式で村に戻ったトト。TVやビデオに押されて数年前に閉館したヌーボ・チネマ・パラディソが、駐車場になるため、ちょうど取り壊されるのにも立ち会う。
 アルフレードの未亡人から遺品のフィルムを受け取ったトトはローマに帰り、映写室でそれを見る。画面に映し出されるフィルムは。
 ラストシーン、流れるエンニオ・モリコーネの主題曲に胸しめつけられた。

ニューシネマパラダイス/Nuovo cinema paradiso
1989 イタリア・フランス/公開1989
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ、マリオ・レオナルディ、アニェーゼ・ナーノ、ブリジット・フォッセイ