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『映画に溺れて』第221回 アンドロメダ…

第221回 アンドロメダ

昭和四十六年九月(1971)
大阪 道頓堀 松竹座

 マイケル・クライトン出世作アンドロメダ病原体』は日本でもベストセラーとなった。映画は思ったよりもショッキングな出だしで、宇宙から帰還したカプセルがアメリカの田舎町に落下する。その直後、町の住民は死滅。
 何が起こったのか。一帯は軍によって封鎖され、国中から専門の科学者たちが呼び集められ、対策チームが結成される。
 どうやら町の者がカプセルを興味本位で勝手にこじ開けたため、そこから未知の微生物が漏れ出したのが原因のようだ。
 死者たちは肉体が乾燥したような状態で亡くなっている。防護服を着た兵士が町に乗り込み、死人の手に障ると、ぼろぼろと崩れる場面にはぞっとした。ところが、全滅したはずの町で生存者がふたり見つかる。ひとりはアルコール依存症の老人、ひとりは生後間もない赤ん坊。ふたりの共通点はなにか。
 感染が広がれば、世界はあっという間に滅亡する。軍は拡大を防ぐために汚染地区を核で爆破する決定を下す。タイムリミットまでに病原体の対処方法が解明できるのか。最後は手に汗握る見せ場となるのだ。
 宇宙からの恐怖といえば、タコや昆虫や化け物のような宇宙生物が襲来するか、人間そっくりに変身した宇宙人に征服されるか、たいていそういう話が多いのだが、未知の病原体というのは、よほど真実味があって面白かった。
 マイケル・クライトンはこの後もベストセラーを書き続け、作品は次々と映画化されていく。

アンドロメダ…/The Andromeda Strain
1971 アメリカ/公開1971
監督:ロバート・ワイズ 原作:マイケル・クライトン
出演:アーサー・ヒル、デビッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド、ポーラ・ケリー、ジョージ・ミッチェル