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『映画に溺れて』第276回 フォレスト・ガンプ

第276回 フォレスト・ガンプ

平成七年三月(1995)
渋谷 渋東シネタワー2

 この映画がヒットしたとき、TVのニュースでアカデミー賞の話題が出て、身障者が自活するシリアスな映画として取り上げていたのには驚いた。落語の与太郎がまったく偶然にとんとん拍子に出世してしまうジョークたっぷりのホラ話なのに。
 知的障害の男性がバスを待っている。ベンチに人が来る。彼はその人に向かって自分の生涯をしゃべり出す。「人生はチョコレートのようなものだ」
 フォレスト・ガンプは友人たちに馬鹿にされるが、母は知的障害を認めた上で厳しくしつける。背中が曲がっているという理由で矯正ギブスをつけられる。
 ガンプはいつもいじめられて、逃げるためにひたすら走る。ギブスのおかげで足腰が鍛えられてスピードが速くなり、有名大学にフットボールの選手としてスカウトされる。学生時代は勉強などせず、ただフットボールのみ。無事卒業。母は泣いて喜ぶ。
 卒業後は軍隊へ。知的障害のガンプにとって、何も考えず命令通りに動いていればいい軍隊は居心地よかった。ベトナムへ送られ、戦場でひたすら走るしか能のないガンプが、敵襲に会った戦友たちをひとりひとり抱えて運よく安全な場所に運び、勲章をもらう。軍の病院で覚えた卓球。反射神経と集中力は異常なほど優れていたので卓球選手として中国を訪問する。
 戦死した戦友の遺志を継ぎ、除隊後、エビ漁を始めるが、偶然の嵐のおかげでガンプの船だけが大漁となり、そこから成功し、果物会社だと思ってたまたま投資した「アップル」が大企業となったので、億万長者にのし上がった。歴代大統領やビートルズジョン・レノンなど有名人とも出会って握手。
 バス停留所でこの話を聞いていた中年男が、あんたがあの大企業のボスだって、とんでもないホラだと笑って去って行く。ガンプの持つ雑誌の表紙にはちゃんと彼が写っているのだが。

 

フォレスト・ガンプ/Forrest Gump
1994 アメリカ/公開1995
監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクスサリー・フィールドロビン・ライトゲイリー・シニーズ、ミケルティ・ウィリアムソン