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『映画に溺れて』第278回 永遠に美しく

第278回 永遠に美しく

平成四年十二月(1992)
渋谷 渋東シネタワー1

 いつまでも若く美しくありたいと願うのは女性ならば当然であろう。だがしかし、不老不死には落とし穴が。メリル・ストリープの女優とゴールディ・ホーンの女流作家がブルース・ウィリスを取り合うという異色コメディである。
 もはや若くない落ち目の二流女優マデリーンがミュージカルの主役を演じている。男のダンサーたちが主演女優をもちあげる内容に辟易して、途中でどんどん席を立って出ていく客たち。それでも最後まで残って感激のあまり喝采を送るのが、女流作家ヘレンの婚約者で整形外科医のアーネスト。
 ヘレンは何度もボーイフレンドをマデリーンに横取りされているので、今回は婚約者の愛情をテストするため、敢えて彼女に紹介した次第。それを聞いたアーネスト、あんな女は嫌いだから心配ないと請け合う。その次の場面がマデリーンとアーネストの結婚式。それを陰で悔しそうに眺めるヘレン。
 七年後。ヘレンは失意のあまり、ノイローゼの肥満女になっている。CGではなく特殊メイクで本物の体重百キロに見える。
 また七年後。アーネストとマデリーン夫妻の仲は冷めきっている。マデリーンは体のたるんだ中年女優。そこへヘレンから出版記念パーティの招待状が届く。出かけてみると、ヘレンは痩せていて、五十才だというのに若く美しい。マデリーンは焦る。いつか美容院で貰ったインチキ名刺をたよりに若返りの秘術を商売にしている謎の女を訪ねる。そこで飲まされたのが。
 不老不死の落とし穴。永遠に死なないということは、肉体がぼろぼろに腐っても生き続けるということなのだ。
 当時四十七歳のホーンと四十三歳のストリープより、三十七歳のウィリスが一番老けて見えるのもすごい。

 

永遠に美しく/Death Becomes Her
1992 アメリカ/公開1992
監督:ロバート・ゼメキス
出演:メリル・ストリープブルース・ウィリスゴールディ・ホーンイザベラ・ロッセリーニ