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『映画に溺れて』第391回 フランケンウィニー

第391回 フランケンウィニー

平成六年十二月(1994)
日比谷 日比谷映画

 

 ティム・バートンフランケンシュタインが好きなのだと思う。ごく初期の短編が『フランケンウィニー』であり、これは後にストップモーションアニメの長編としてリメイクされた。
 オリジナル版の短編が日本で上映されたのは製作から十年後の一九九四年、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』との併映であった。
 主人公は現代のアメリカの小学生ヴィクター。ヴィクターの愛犬スパーキーが交通事故で死んでしまう。
 悲しみにくれるヴィクターは、理科の授業で先生が蛙の死体に電気を流すとぴくっと痙攣するのを見て、あることを思いつく。
 ヴィクターの家の屋根裏部屋はまるでユニバーサル映画の『フランケンシュタイン』のセットを思わせる。屋根裏部屋の実験室で死んだスパーキーに雷の電流を流すと、犬は生き返り、近所でいたずらをはじめる。
 隣人たちが抗議に集まり、スパーキーは遊園地の水車小屋に逃げ込み、ヴィクターもそれを追いかける。隣人の不注意で水車小屋に火がつき、火に巻かれたヴィクターをスパーキーが助け、それがもとで再び命を失う。
 スパーキーがヴィクターを助けるのを目撃し感動した人々が、今度はスパーキーを再び生き返らせるため、自動車を並べてバッテリーの電力を流すことに。
 モノクロで全編がユニバーサル『フランケンシュタイン』の再現。少年ヴィクターの姓はフランケンシュタインであった。
 ティム・バートンはその後、ジョニー・デップ主演で手がハサミの人造人間『シザーハンズ』を作る。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』にも人造人間造りのマッドサイエンティストが登場する。そして『フランケンウィニー』のリメイク。よほど好きなんだろう。フランケンシュタインが。

 

フランケンウィニー/Frankenweenie
1984 アメリカ/公開1994
監督:ティム・バートン
出演:バレット・オリバー、シェリー・デュバル、ダニエル・スターン、ポール・バーテル