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『映画に溺れて』第415回 スパイダーマン

第415回 スパイダーマン

平成十四年五月(2002)
渋谷 渋東シネタワー2

 

 ヒーローコミックが低予算のTVシリーズとなり、やがてスターを起用した大作映画に生まれ変わるのは、今はなきクリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』あたりからか。
 そして、ティム・バートン監督の大人向き『バットマン』が出て、次がサム・ライミ監督の青春映画風『スパイダーマン』である。
 主人公のピーター・パーカーは地味でぱっとしない高校生で、隣に住む同級生のMJワトソンに密かに恋心を抱いているが、彼女には見向きもされない。
 理科の課外授業で大学の研究室を見学した際、容器から抜け出した遺伝子操作のスーパースパイダーに噛まれ、その夜から特殊能力の持ち主となるのだ。
 並外れた身体能力と手から飛び出す蜘蛛の糸を操り、ビルの谷間を跳び回る。そして、悪人退治のスーパーヒーローに。
 同じ頃、友人ハリーの父親で軍事産業に従事するオズボーン博士が軍の要請で自ら筋力強化剤の実験台となり、特殊能力を身につける。が。同時に心の中の邪悪さも増強される。
 内気な高校生がヒーローとなり、やり手の科学者が怪物になる。善のスパイダーマンと悪のグリーンゴブリンの対決。
 博士役のウィレム・デフォーは、筋力強化剤の力を借りずとも、もともと悪役そのものの顔。だから、ジキルとハイドのように二つに別れた自分の人格で苦しむ場面は多少白々しくもある。
 それにしても、大学の研究室でピーターを噛んだ蜘蛛はどこへ逃げたのだろう。この蜘蛛に噛まれたら、みんなスパイダーマンになってしまうのだろうか。おそらく続編は、この蜘蛛に噛まれた不良少年が悪のスパイダーマンとなってピーターの前に立ちふさがるのでは、と思ったが、そうはならなかった。
 サム・ライミ監督のスパイダーマンは三作続き、その後、アメイジングスパイダーマンが二作、さらに若返ってアベンジャーズにつながる。

 

スパイダーマン/Spider-Man
2002 アメリカ/公開2002
監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイアウィレム・デフォーキルスティン・ダンストジェームズ・フランコクリフ・ロバートソンローズマリー・ハリスJ・K・シモンズ