日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

『映画に溺れて』第419回 Mr.インクレディブル

第419回 Mr.インクレディブル

平成十七年一月(2005)
新宿 新宿ピカデリー

 

 スーパーヒーロー同士が結婚し、生まれた子供たちにも特殊能力があるというのは『スカイ・ハイ』と同じ趣向だが、公開の時期はこちらの『Mr.インクレディブル』が少し早い。そして、アニメーションならではの面白さである。
 かつて、スーパーヒーローたちが人々を犯罪や災害から守っていたが、その活躍があまりに派手すぎて、公共物が破壊されたり、一般市民が巻き込まれて被害に遇ったりすることで、政府はヒーロー活動を禁じる法案を通過させる。
 十五年後、怪力のMr.インクレディブルことロバート・パーは保険会社の社員、伸縮自在のイラスティガールことヘレンはその妻で専業主婦、透明になる能力を持つ高校生の娘ヴァイオレット、猛スピードで走る小学生の息子ダッシュ、そして能力不明の赤ちゃん、みなスーパーパワーを決して発揮せず、平凡な一家としてささやかに暮らしている。
 だが、スーパーヒーローが一般市民として生活することは生易しいことではない。不満が募る中、ロバートはとうとう横柄なパワハラ上司に怒りをぶつけ、会社をクビになる。が、妻のヘレンにそのことを言い出せず、会社に行くふり。
 そんな彼に謎の組織から依頼がくる。孤島の研究所で開発中のロボットが制御不能で暴れているのを取り押さえてほしいと。
 妻に内緒でMr.インクレディブルとなり、孤島に向かうロバート。待ち受けているのは様々な発明で大富豪となったマッドサイエンティストのシンドローム。スーパーヒーローに憧れながらも特殊能力を持たず、スーパーヒーローたちを憎んでいた。
 夫の浮気を疑い、彼が会社をクビになったことを知ったヘレンもまたイラスティガールとなって孤島に向かう。ふたりの子供も密かに同行し、やがてそれぞれのスーパーパワーを合わせて悪に立ち向かう。ホームドラマとヒーローの組み合わせの妙。
『Mr.インクレディブル』の続編『インクレディブル・ファミリー』は第一作から十四年後に作られたが、前回の三か月後の設定になっているので年齢など変化なし。

 

Mr.インクレディブル/The Incredibles
2004 アメリカ/公開2004
監督:ブラッド・バード
アニメーション(声)クレイグ・T・ネルソンホリー・ハンター、スペンサー・フォックス、サラ・ボーウェル、サミュエル・L・ジャクソンジェイソン・リー