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『映画に溺れて』第435回 カウボーイ&エイリアン

第435回 カウボーイ&エイリアン

平成二十三年十一月(2011)
新宿 新宿ピカデリー

 

 開拓時代のアメリカ西部。カウボーイ、ガンマン、保安官、酒場の女、インディアン、荒野の追跡。その型通りの西部劇に、宇宙人襲来のパニックSFを混ぜたらどうなるか。
 荒野に倒れている謎の男。そこを馬で通りかかる三人組のならず者。男は絡まれるが、逆に三人を倒し、服と馬を奪って町まで行く。
 寂れた町の酒場にぶらりと現れる男。酔って暴れている若者は、町を牛耳るボスの不良息子。お決まりのいざこざがあり、保安官が出てきて、よそ者の男と不良息子を留置し、裁判所へ送ろうというときに、ボスが手下を引き連れて帰って来る。
 と、ここまではごく普通の西部劇そのもの。
 そこへ突如、空から飛行物体が現れる。
 凶悪な異星人と十九世紀の西部人がどうやって戦うのか。
 荒野の追跡もまた、西部劇通り。この手の映画はアイディアは面白くても、アイディア倒れでストーリーはスカスカ、細部は手抜き、配役は三流という超B級ものに陥ること多いのだが、配役だけは一流である。
 主演の謎の男が007のダニエル・クレイグ。町のボスがレイダースのハリソン・フォード。この二大スターの他にも私の好きなサム・ロックウェルが酒場の主人。『ショーシャンクの空に』の鬼看守だったクランシー・ブラウンが牧師。『マリアの恋人』のキース・キャラダインが保安官。『リトル・ミス・サンシャイン』のポール・ダノ少年が不良息子。ボスの片腕のインディアン青年に『ウィンド・トーカーズ』のアダム・ビーチ。監督のジョン・ファヴロウは『アイアンマン』では監督兼ハッピー・ホーガン役も務めた才人である。
 これだけそろっていれば、内容はB級であっても立派な西部劇として見応えはある。
 そういえば、日本の時代劇にも剣豪が宇宙人と戦う『大帝の剣』があった。

 

カウボーイ&エイリアン/Cowboys & Aliens
2011 アメリカ/公開2011
監督:ジョン・ファヴロウ
出演:ダニエル・クレイグハリソン・フォードオリヴィア・ワイルドサム・ロックウェル、ノア・リンガー、ポール・ダノクランシー・ブラウンアナ・デ・ラ・レゲラキース・キャラダイン、アダム・ビーチ