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『映画に溺れて』第437回 宇宙人ポール

第437回 宇宙人ポール

平成二十四年四月(2012)
飯田橋 ギンレイホール

 

 コミックやアニメやSFのマニアが集う祭典、コミコンがアメリカで開かれ、ふたりのSFオタクがイギリスからはるばる見物にやって来る。演じるのはエドガー・ライトのコメディでお馴染みのサイモン・ペッグニック・フロストのコンビ。
 会場にはスペースもののヒーローや宇宙人の扮装をしたマニアがいっぱい。SFグッズを買い込んだり、有名作家にサインをもらったり、わくわくしながらコミコンを楽しんだふたりは、その後、アメリカ国内のUFOスポット巡りに興じる。そして、出会うのだ。米軍の秘密基地から逃亡中の宇宙人ポールに。
 いかにもSF映画に出てきそうな型通りの宇宙人で、流暢な英語を話す。宇宙船が故障して、米軍の基地にずっと囚われていた。仲間が迎えに来ることになったので、そこまで車に乗せてくれ。これを追う軍の捜査官。
 英国人と宇宙人の道中に巻き込まれて加わるのが狂信的なキリスト教徒の若い女性。世界は神が創ったのだから、進化論も宇宙人も存在しないと主張する。
 ポールいわく、スピルバーグに映画のアイディアを助言したのは僕なんだ。『未知との遭遇』や『E.T.』など、SF映画へのオマージュがたっぷり。
 米軍秘密基地でポールを研究し虐待していたボスが『エイリアン』のシガニー・ウィーバーというのも楽しい。
 旅行中のふたりの英国人がアメリカで宇宙人に出会う設定は、ひょっとして、旅行中のふたりのアメリカ人がイギリスで狼人間に出会うあれとも関係あるのか。
 それはそうと、このとき、飯田橋ギンレイホールでは『宇宙人ポール』と『メン・イン・ブラック』が二本立てだった。同じ時期、早稲田松竹では『未知との遭遇』と『宇宙人ポール』、キネカ大森では『ホット・ファズ』と『宇宙人ポール』の二本立て。だから私は名画座が好きなのだ。

 

宇宙人ポール/Paul
2011 イギリス・アメリカ/公開2011
監督:グレッグ・モットーラ
出演:サイモン・ペッグニック・フロストジェイソン・ベイトマンクリステン・ウィグビル・ヘイダーブライス・ダナー、ジョー・ロー・トルグリオ、ジョン・キャロル・リンチシガニー・ウィーバーセス・ローゲン、ジェフリー・タンバー