日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第24回 変わらぬ人

 頼朝が巻狩りから、鎌倉に帰ってきます。

 源範頼迫田孝也)は、安達盛長(野添義弘)と話します。

「うかつでございました」安達盛長は柱に寄りかかります。「まさか生きておられたとは」

 愕然として、範頼がいいます。

「私が鎌倉殿の座を狙ったと疑われても仕方がない」

「蒲殿(範頼)にそのお気持ちがないことは、私はよく分かっております」

「おぬしが分かっていてもな」

「朝廷への使者を、急ぎ呼び戻しております」

「確かに。あの書状を見られては、さらに疑われてしまう」

 しかしその書状は、頼朝に届けられていたのです。

 義時(小栗旬)が書状を読んでいます。

「範頼が朝廷へ送ろうとしていたものだ」

 と、頼朝(大泉洋)が告げます。大江広元栗原英雄)がいいます。

「蒲殿は、ご自分が鎌倉殿になるおつもりだったようです」

 義時が声を出します。

「それは、恐らく、混乱を治めるため」

「範頼を連れて参れ」

 と、頼朝は義時に命じます。

 範頼は、起請文(きしょうもん)を書いて、頼朝に会います。

 頼朝は範頼の持ってきた起請文を読みます。

「そこに書いてあることが、すべてにございます」 

 と、範頼は述べます。頼朝がいいます。

「謀反ではないと申すのだな」頼朝は書状を見せます。「これを都に送ったわけは」

「あの時は、兄上が討たれたと思い込んでおりました。誰かが兄上の後を継ぎ、采配を振るうべきと考えました」

「なぜわしが生きて帰ってくると思わなかった」頼朝は範頼を見すえます。「死んで欲しいという思いが先に立ったのではないのか」

 範頼は懸命に訴えます。

「すべては鎌倉を守るため。これからも忠義の心を忘れず、兄上と鎌倉のためにこの身を捧げとうございます。このたびのこと」範頼はひれ伏します。「どうか、お許し下さい」

 しかし大江広元は、起請文に難癖をつけます。義時が口を挟みます。

「それは、言いがかりでございます」

 頼朝が問います。

「さあ、どう言い逃れする。わしを説き伏せてみよ、範頼」

 範頼は力なくいいます。

「もう、結構でございます」

 範頼は死罪を免れ、伊豆の修善寺に幽閉されることになります。

 後白河法皇が世を去り、王姫(南沙羅)が、帝(みかど)の妃(きさき)となる話は消えました。頼朝は都で力を伸ばす、一条家に王姫を嫁がせようとします。しかし王姫は木曽義仲の息子である義高が忘れられずにいます。

 王姫は和田義盛横田栄司)の家人となっている、巴御前秋元才加)相談します。巴は、人は生きている限り、前へ進まなければならない、と語ります。

 王姫は京に行って、帝の妃となることを決心します。

 頼朝は二度目の上洛をします。

 京に着いた王姫は、母の政子と共に、後白河法皇の愛妾であった丹後局鈴木京香)に会いに行きます。

「もう入内(じゅだい)が決まったような口ぶりですね」丹後局は、政子に近づきます。「頼朝卿はともかく、あなたはただの東夷子(あずまえびす)。その娘が、たやすく入内などできるとお思いか。どこに行き、誰に会うべきか、指南してくれとすがってくるかと思えば。厚かましいにも程がある」

 政子は冷静さを保ち、丹後局に頭を下げます。

「どうかお知恵を、お授け下さいませ」

「そなたの娘など、帝からすれば、あまたいるおなごの一人にすぎぬのじゃ。それを忘れるな」丹後局は座ります。「頼朝卿に伝えよ。武力を笠に着て、何事も押し通せるとは思われぬように、と」

 夜、頼朝と政子は話します。

「言わせておけ。今は敵に回したくない。こらえてくれ」

 と、横になった頼朝はいいます。政子が訴えます。

「王姫が心配です」

「わしも今日は嫌な目に遭った。唐(から)の国の匠(たくみ)に会うはずだったが、かなわなかった。わしが罪深く、御仏に見放されているからだそうだ」

「言わせておきましょ」

「都は好かん」 

 王姫は病に倒れ、入内の話は延期となります。鎌倉へ戻っても、王姫の容体は、悪化する一方でした。そのまま衰弱の一途をたどり、王姫は、20歳の生涯を閉じるのでした。

 頼朝は仏像を前にいいます。

「誰かがわしを、源氏を呪っておる。思い当たるのは、一人しかおらぬ。やはり、生かしておくべきではなかったか」

 範頼はのどかな生活を送っていました。野菜の収穫に喜びます。その姿を善児(梶原善)が見ています。範頼は善児に刺されて死ぬのでした。

 頼朝はこのところ、熟睡したことがありませんでした。天から生かされていたこの男は、気づいているのでした。自分の死が、間近に迫っていることを。