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『映画に溺れて』第42回 白雪姫と道化者

第42回 白雪姫と道化者

昭和三十九年(1964)
大阪 八尾 八尾小学校講堂

 

 これも学校の上映会で観た。小学校五年生のときである。
 グリム童話の白雪姫の世界に七人の小人ではなく、三ばか大将というお笑いトリオが融合する
 私が小学生のころは、TVでアメリカのコメディが溢れていて、夕方の食事時間には『ミスター・エド』『ちびっこギャング』『じゃじゃ馬百万長者』などなど飽きずに観ていた。
『三ばか大将』もそんな番組のひとつで、間抜けな三人組が活躍するスラップスティックコメディだった。
 だから、小学校の上映会で『白雪姫と道化者』が上映されて、心底びっくりした。七人の小人が出てこなくて、その代わりに成り行きで白雪姫を助けることになるのがインチキ行商人の三人組。童話の登場人物なので中世ヨーロッパ風の衣装だが、独特のヘアスタイルとギャグ、わあ、三ばか大将だあ。お笑い好きの私にはうれしい驚きだった。
 邪悪な魔術に通じた継母の女王が白雪姫を殺そうとして悪事を企むが、この魔女を最後、間抜けな三人組が偶然にも倒してしまうあたり今でもよく覚えている。
 古典的な名作にコメディアンがコメディアンのまま登場して笑いを振りまくのは、『雲の上団五郎一座』などでも使う手である。
 私がパロディ好きになったのは、おそらくはこの頃からかもしれない。
 あとで知ったのだが、モー、ラリー、カーリーの『三ばか大将』、TVではほとんど戦前の短編映画を放送していて、六十年代の白雪姫の映画ではカーリーはすでに故人であり、別のコメディアンが加わっていたとのこと。

 

白雪姫と道化者/Snow White and The Three Stooges
1961 アメリカ/公開1962
監督:ウォルター・ラング
出演: キャロル・ヘイス、三ばか大将、エドソン・ストロール