日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『映画に溺れて』第240回 聖なる泉の少女

第240回 聖なる泉の少女 令和元年七月(2019) 京橋 テアトル試写室 私が常日頃好む映画は、たいていはエンタテインメントである。コメディ、アクション、ミステリ、SF、ミュージカル、ファンタジー、ホラーなどなど。 だが、たまにはこういう静か…

『映画に溺れて』第239回 ショーン・オブ・ザ・デッド

第239回 ショーン・オブ・ザ・デッド 令和元年九月(2019)高円寺 ビアエンジン ビールを飲みながら映画を観る。それも生のクラフトビールで英国コメディなら、最高である。 高円寺にあるクラフトビール店ビアエンジンで上映会が行われた。一夜限りの…

『映画に溺れて』第238回 ステキな金縛り

第238回 ステキな金縛り 平成二十三年十月(2011)新所沢 レッツシネパーク オープニングのタイトル、往年のハリウッド作品を思わせる作りになっていて、思わずにやり。 裕福な女性が殺され、別れた夫が逮捕される。彼は犯行のあった時刻、山の旅館で…

書評『嵐を呼ぶ男!』

書名『嵐を呼ぶ男!』著者名 杉山大二郎発売 徳間書店発行年月日 2019年11月30日定価 本体2000円(税別) 嵐を呼ぶ男! (文芸書) 作者: 杉山大二郎 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2019/11/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 信長という風…

『映画に溺れて』第237回 記憶にございません!

第237回 記憶にございません! 令和元年八月(2019)日比谷 東宝試写室 ロッキード事件を詳しく知らなくても、あの当時流行語となった「記憶にございません」という言葉は今でも人々の記憶に残っている。政界を揺るがした汚職騒ぎで現職の内閣総理大…

甲板のラブシーン

大谷羊太郎: 「小説家になろう」に、シリーズでエッセイを載せてます。本日送稿したのは「甲板のラブシーン ~一夜で消えた夢だった~」この不器用な私が、美女と情熱的に抱擁している。それも映画会社の撮影機の前で。まさかあの夜、こんな事態になるとは…

『映画に溺れて』第236回 コリン・マッケンジー もうひとりのグリフィス

第236回 コリン・マッケンジー もうひとりのグリフィス 平成十一年十月(1999)東中野 BOX東中野 映画監督のピーター・ジャクスンがニュージーランドの生家近くの納屋で古いフィルムを発見した。修復してみると、これが映画史にわずか名前だけ残っ…

『映画に溺れて』第235回 非現実の王国で

第235回 非現実の王国で 平成二十年五月(2008)渋谷 ライズX 二〇〇三年、青山のワタリウム美術館でヘンリー・ダーガー展を見たときの衝撃は忘れられない。子供奴隷、少女戦士、南北戦争を思わせる戦い。残酷と幻想のおびただしい絵物語。 一九七〇…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第44回 ぼくたちの失敗

昭和37年(1962)。東京オリンピックを二年後に控えて行われた第四回アジア競技大会。開幕直前に、規定違反が発覚します。開催国インドネシアが、政治的に対立する、台湾とイスラエルに招待状を送っていなかったのです。これがスポーツ界にとどまらず、国際…

『映画に溺れて』第234回 ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

第234回 ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 平成十六年二月(2004)新宿歌舞伎町 ミラノ座 トールキンの『指輪物語』をピーター・ジャクソン監督が三部作に仕上げた。第一部は二〇〇二年に今はなき渋谷のパンテオンで、第二部は二〇〇三年にシネコン…

人生旅日記

人生旅日記・山の彼方[あなた]にあったもの ~ある幼な子の一日放浪記~(大谷羊太郎) - カクヨム

『映画に溺れて』第233回 トールキン

第233回 トールキン 令和元年六月(2019)六本木 20世紀フォックス試写室 うちの子供が幼い頃、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を、公開のたびに観に行った。けっこう怖い場面もあったが、子供たちは喜んでいた。映…

『映画に溺れて』第232回 キング・オブ・コメディ

第232回 キング・オブ・コメディ 平成三年十二月(1991)池袋 シネマセレサ ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』を観ていて、真っ先に連想したのがマーティン・スコセッシ監督の『キング・オブ・コメディ』だ。 ロバート・デ・ニーロ演じる売れな…

『映画に溺れて』第231回 ジョーカー

第231回 ジョーカー 令和元年十月(2019)有楽町 丸の内ピカデリードルビーシアター ティム・バートン監督の『バットマン』はただのヒーローアクションではなく、人間の暗黒面がリアリズムで描かれていた。路上強盗に両親を殺された大富豪の息子が、…

『映画に溺れて』第230回 大帝の剣

第230回 大帝の剣 平成十九年五月(2007)銀座 丸の内TOEI① 時間管理局を描いたSF小説『タイムパトロール』の作者ポール・アンダースン。この人の小説で大好きなもう一作が『天翔ける十字軍』である。中世のイングランドに舞い降りた宇宙人と騎…

『映画に溺れて』第229回 テルマエロマエ

第229回 テルマエロマエ 平成二十四年三月(2012)日比谷 東宝試写室 紀元二世紀の初め、ローマの大浴場を設計した建築家ルシウスは、依頼人から斬新さに欠けると文句をつけられ、悩んでいた。どうしたら画期的な浴場が作れるのか。悩んだ末に、浴場…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第43回 ヘルプ

昭和37年(1962)。東京の景色が劇的に変わり始めます。環状線に囲まれ、首都高や新幹線の高架が頭上を通過する。すべてが突貫工事で行われていました。二年後のオリンピックに間にあわせようと必死です。しかし国民の盛り上がりは今ひとつでした。 そこで田…

『映画に溺れて』第228回 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式

第228回 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 平成十九年六月(2007)池袋 サンシャイン劇場 平成十九年、日本の経済は破綻し、国家そのものが破産寸前。これを打破する解決策は政府首脳にも打ち出せなかった。 そんなとき、新型洗濯機を開発中の…

『映画に溺れて』第227回 バンデットQ

第227回 バンデットQ 昭和五十八年三月(1983)新宿 新宿ロマン モンティパイソンの六番目の男。当時TVシリーズでいつも変なアニメーションを作っていた唯一アメリカ人のテリー・ギリアムはその後、監督として活躍している。ギリアムで好きな映画…

『映画に溺れて』第226回 タイムライン

第226回 タイムライン 平成十六年一月(2004)有楽町 日劇1 マイケル・クライトンの原作が早川書房からハードカバー上下二冊で出たとき、あまりの面白さにむさぼるように読んだ。映画化を待ち望んでいたが、やはりあれだけの原作を二時間の映画にま…

『映画に溺れて』第225回 コンゴ

第225回 コンゴ 平成八年一月(1996)池袋 文芸坐 マイケル・クライトンの小説『失われた黄金都市』もまた、映画化よりも翻訳を先に読んだ。アメリカの通信衛星企業がレーザー光線に使うためのダイヤモンドをアフリカのコンゴで調査中、先行の調査隊…

『映画に溺れて』第224回 13ウォーリアーズ

第224回 13ウォーリアーズ 平成十二年二月(2000)有楽町 ニュー東宝シネマ1 マイケル・クライトンの『北人伝説』は早川書房から翻訳が出されたとき、すぐに読んだ。とても好きな小説だが、なかなか映画化はされなかった。そして、ようやく公開さ…

『映画に溺れて』第223回 ジュラシックパーク

第223回 ジュラシックパーク 平成五年七月(1993)日比谷 日比谷映画 コンピュータグラフィックスの進歩はすごい。初めて『ジュラシックパーク』を観たときはほんとに驚いた。様々な種類の恐竜たちが動き回っているのだ。ハリーハウゼンのときのコマ…

『映画に溺れて』第222回 ウエストワールド

第222回 ウエストワールド 昭和四十九年一月(1974)大阪 梅田 OS劇場 当時、日本にはまだディズニーランドはなかったが、この映画はディズニーランドを思わせる遊園地を題材にしている。 近未来、ロボット工学が進歩して、人間そっくりのロボット…

『映画に溺れて』第221回 アンドロメダ…

第221回 アンドロメダ… 昭和四十六年九月(1971)大阪 道頓堀 松竹座 マイケル・クライトンの出世作『アンドロメダ病原体』は日本でもベストセラーとなった。映画は思ったよりもショッキングな出だしで、宇宙から帰還したカプセルがアメリカの田舎町…

大河ドラマウォッチ「いだてん 東京オリムピック噺」 第42回 東京流れ者

高度経済成長期の日本。暮らしぶりもずいぶんと変わってきます。冷蔵庫、テレビ、洗濯機などが家庭に普及していきます。しかし良いことばかりではありません。特に車の渋滞が問題化していました。 昭和36年(1961)です。タクシー運転手の森西栄一(角田晃広…

『映画に溺れて』第220回 ニューシネマパラダイス

第220回 ニューシネマパラダイス 平成三年三月(1991)東村山 東村山市中央公民館 映画を題材にした映画には名作が多い。中でも『ニューシネマパラダイス』は映画史上に残る名作であると思う。 ローマに住む著名な映画監督、故郷シシリアの母からの電…

『映画に溺れて』第219回 クライム&ダイヤモンド

第219回 クライム&ダイヤモンド 平成十五年一月(2003)新橋 新橋文化 映画マニアの殺し屋が主人公という趣向を凝らした犯罪コメディ。 がらがらのさびれた映画館で一心にスクリーンを見つめる毒舌ジム。上映されているのは『ティファニーで朝食を』…

『映画に溺れて』第218回 田園に死す

第218回 田園に死す 昭和五十二年八月(1977)大阪 堂島 毎日ホール 人相が悪く粗暴で下品な悪役よりも、私は知的で上品な悪役が好きだ。『十三人の刺客』で悪大名を演じた菅貫太郎は、だから大好きな俳優のひとり。悪大名、悪旗本など映画やTVの時…

『映画に溺れて』第217回 シモーヌ

第217回 シモーヌ 平成十六年一月(2004)飯田橋 ギンレイホール 舞台はハリウッド、アル・パチーノふんする売れない映画監督タランスキーはわがまま女優にふりまわされて、なかなか作品が完成せず、とうとう元妻のプロデューサーから契約を打ち切ら…