日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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森川雅美

明治一五一年 第8回

明治一五一年 第8回 無数の記憶が意識の内側を流れていくその静かな水辺であるならとは今も生きている記憶ですから問われるために剥がれいく訪れとしての意味にならぬ声の気配が明治元年のひたすら北上する消える前の揺らぎとともに紡がれいく度もぶつかり…

明治一五一年 第7回

明治一五一年 第7回 森川雅美 私たち放たれいく世界は澄んだ水だからどこからか足音が進んでいき幾つもの傷は開く横側からの人たちの眼は見えなく様ざまな場所に残される泥濘に迷いつつ哀しみも東西南北から雪崩れこみ糾われ暗くなる日日の営みが滲んでいく…

明治一五一年 第6回

明治一五一年 第6回 はじまりの足どりは長州やら薩摩やらはたまた水戸か土佐かなどとはや呟くいく人もの無念の生首が地面に転がり結びえない言の葉たちが無残に花開くさらに誰かの背から誰かの背へと結ぶ己か本分の忠節を守り義は山岳よりも重く死は鴻毛よ…

明治一五一年 第5回

明治一五一年 第5回 森川 雅美 波が立っている延々と繰り返し波が立っているアメリカ東部ノーフォークから出港した黒船の甲板に立つ一人の水夫が闇に光る灯りを見詰め琉球の文書が波間に沈んでいき伸ばす手もなくより遠い海上に歪みいく風の行方を聞きなが…

明治一五一年 第4回

明治一五一年4 森川雅美 見えない影を追っている見えない影の意識を追っているやがて視界を失う私たちの眼だから懐かしい声が聞こえいつまでも消えない掌の温みがゆっくり体に満ちていき失われた数知れぬ魂たちが静かに訴えかけてくるのです密かな佇みを注…

明治一五一年 第3回

明治一五一年 第3回 森川雅美 ゆっくり下りていく 誰もいない静かな水辺だから 語られる諸諸の破片と して見えなくなる足首より ぶらさがる外れの漂う訪れの まま留まり淀みいく いく人もの人たちが小さく 響きあう隘路の外れへ 過ぎいくちぐはぐな言の葉 …

森川雅美の詩作

明治一五一年 第2回 牡丹雪が降る天上の彼方の初めの一滴として牡丹雪が降る人たちの歩いた後を包むように星のない空に手を伸ばせば今日の日は終わり残像が無数に連なっては闇の奥に紛れていくそれはまだ拾えない遠い記憶のかけらだから願いも叶わぬまま消…

森川雅美の詩

明治一五一年 にぎるままの掌の内側陽射しが温もっていきぼくたちは青白い炎として燃える空はどこまでもただすみ渡っていたと記録には記されるよろめくままに踏みだし山道を登っていく降りつもる百数十年の雪のふかく残る人の足跡にほら小さな声はこだまし白…