日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

菊池仁

2021年新刊書評年末号

2021年新刊書評年末号 風呼ぶ狐 西南戦争の潜入警察官 (文藝春秋企画出版) 作者:天堂 晋助 文藝春秋企画出版部 Amazon 天堂晋助『風呼ぶ狐 西南戦争の潜入警察官』が抜群の面白さである。 作者にとっては久しぶりの長編小説の刊行である。そう言えば作者とは…

極私的ランキング文庫書下ろしシリーズ編

文庫書下ろしシリーズ編 シリーズもののベストテンは基準が難しいこともあり、選考のコンセプトを変えることにした。 2020年のシリーズものの動向は、ベテランの長寿シリーズが安定した刊行ペースと売れ行きを示しており、大きな変化は起きていない。そこで…

極私的・偏愛的ベストテン2020年度版

極私的・偏愛的ベストテン2020年度版 新型コロナウイルスが猛威を振るっている。危機管理能力が極端に欠如している現政権は、猛威の後追いをしているだけで決断できずに事態をいたずらに悪化させているばかりだ。それもそうだ。棒読み首相のオリジナル発言で…

『ひねもすのたり新刊書評』2020年8月号

ひねもすのたり新刊書評 2020年八月号 新型コロナウイルスの脅威の中で、もともと羅針盤を持てない政治は、右往左往し、経済は深刻な打撃を受けつつある。人間が営々と築き上げてきたものの脆弱さが際立つばかりの今日この頃である。それでもすごいと思うの…

2019年極私的・偏愛的ベスト本 単行本編

各紙誌の年末風物詩でもある2019年時代小説ベストテンが出揃った。リストアップされた作品を見ると昨年の充実ぶりが伝わってくる。ここ三年、出版不況が嘘みたいな豊作続きである。 理由の第一は、上位を独占した川越宗一『熱源』(文藝春秋)、大島真寿美『渦…

ひねもすのたり新刊レビュー

2019年注目文庫書下ろしシリーズ本ベスト 昨年の五月以来、連載が滞ってしまった。 と言う事で一挙に注目シリーズを掲げておく。 残念なお知らせが三つある。 藤原緋沙子の人気シリーズ「切り絵図屋清七」(文春文庫)が第六巻『冬の虹』で幕を下ろした。 切り…

ひねもすのたり新刊書評五月号 文庫書下ろしシリーズ編

ひねもすのたり新刊書評五月号 文庫書下ろしシリーズ編 今回は注目の新シリーズを中心に紹介する。まずベテランの新シリーズから。 沖田正午『大仕掛け悪党狩り 如何様大名』(二見時代小説文庫)が楽しめる。シリーズもので重要なのは、読後の爽快感である。…

ひねもすのたり新刊書評 五月号 単行本編

ひねもすのたり新刊書評 五月号 単行本編 2019.05.05菊池仁 記 諸般の事情もあってのたり新刊書評、ホンモノののたりとなってしまった。深く反省しています。と言う事でスピードを上げていきます。 梶よう子がいい。最近の作者の活躍には目を見張るものがあ…

2018年 文庫書下ろしシリーズもの編

2018年 文庫書下ろしシリーズもの編 2018.12.14 菊池仁 記 初めに ​ 百貨店の業界誌記者を30年ほどやった。たまたま入った会社が業界紙で、新しく流通雑誌を出版するのでその要員で募集していたのである。雑誌の刊行を仕掛けたのが椎名 誠さんで、面接で気に…

2018年時代小説を読み解く・単行本編

2018年の時代小説を読み解く 単行本編 2019.01.10 菊池仁 記 2018年の時代小説は近年にない豊作であった。特に、単行本は刊行点数も伸び、力作が揃った。16年17年と注目作が刊行され、期待はしていたのだがそれを上回る活況を呈した。うれしい限りである。 …

書評『髪結百花』

書評『髪結百花』 ​ 書評の仕事をしていて名利に尽きるなと思う時がある。新人がデビュー二作目でとんでもない飛翔力で文句のつけようもない傑作を発表した時だ。「おうやったじゃん。こういう作品を書いてもらいたかったのよ」と一人悦に入ってしばし読後の…

シリーズもの見参!

シリーズもの見参! ​ ひねもすのたり新刊レビュー vol.2 2018.12.14 菊池仁 記 本屋の店頭で文庫本コーナーを除くとシリーズものが所狭しと置かれている.。ベテランの作家による長大なものから、新しい書き手による第一巻目など様々である。このコーナーで…

ひねもすのたり新刊レビュー

ひねもすのたり新刊レビュー vol.1 2018.12.12 菊池仁 記 ​ まず、連載を始めるにあたって時代小説について考えていることを記しておく。「青春と読書」12月号に松井今朝子のインタビュー記事が掲載されている。最新作『芙蓉の干城』について語ったもので、…