日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

飯島一次

『映画に溺れて』第372回 モダン・タイムス

第372回 モダン・タイムス 昭和四十七年十一月(1972)大阪 梅田 阪急プラザ劇場 赤狩りでハリウッドを逃れスイスで暮らすチャールズ・チャップリンに、一九七二年、アメリカのアカデミー賞名誉賞が贈られた。 その年、東宝系の映画館では「ビバ・チャッ…

『映画に溺れて』第371回 一度死んでみた

第371回 一度死んでみた 令和二年二月(2020)築地 松竹試写室 この世に生まれた以上、人は必ず一度は死ぬ運命である。生まれてすぐに亡くなる赤子もいれば、九十、百まで長生きし天寿を全うする老人もいる。死に方も病気、事故、犯罪、戦争など様々…

『映画に溺れて』第370回 アウトブレイク

第370回 アウトブレイク 平成七年九月(1995)池袋 文芸坐 未知の伝染病が広がって、人がばたばたと死んでいく。という映画はいくつかある。マイケル・クライトン原作の『アンドロメダ…』は宇宙から帰還したカプセルに付着していた病原体があっという…

『映画に溺れて』第367~369回 ジュディ 虹の彼方に、他

第367回 ジュディ 虹の彼方に 令和二年三月(2020)新宿歌舞伎町 TOHOシネマズ新宿 ハリウッドのMGMスタジオで十代の無名の少女ジュディはプロデューサーのルイス・B・メイヤーに言われる。この壁の向こうに何があるか、わかるかね? そこに…

『映画に溺れて』第366回 生きる

第366回 生きる 昭和五十四年四月(1979)池袋 テアトル池袋 毎日休まず一年三百六十五日、好きな映画のことを書き綴った『映画に溺れて』も、今後は少し減速し、ゆるりゆるりと風の向くまま気の向くまま、思いついたときに。 浜の真砂は尽きるとも世に…

『映画に溺れて』一年三百六十五本を終えて

『映画に溺れて』一年三百六十五本を終えて 平成三十一年の四月、日本歴史時代作家協会が発足。それにともなって、公式ホームページを開設するにあたり、なにか映画のこと書いてみませんかとのお話があった。 歴史時代小説の作家が中心の会なので、時代劇映…

『映画に溺れて』第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show

第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show 昭和四十七年九月(1972)大阪 難波 南街シネマ 一年三百六十五日、毎日一本好きな映画を書き続ける『映画に溺れて』もいよいよ今回が三百六十五日めとなった。だから『ラスト・ショー』である。 時代背…

『映画に溺れて』第364回 私のように美しい娘

第364回 私のように美しい娘 昭和五十年二月(1975)大阪 梅田 北野シネマ 学生時代、私のトリュフォー初体験がこれ。タイトルで内容が想像できない。中身もかなり変だったが、ベルナデット・ラフォン演じるあばずれの毒婦にぞくぞくした。 最初、書店の…

『映画に溺れて』第363回 ショーシャンクの空に

第363回 ショーシャンクの空に 平成七年十一月(1995)池袋 文芸坐 これは大好きな作品で、映画館で四回観ている。原作はスティーブン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』 泥酔したエリート銀行員アンディ・デュフレーンが銃を携え、妻の浮気現場で…

『映画に溺れて』第362回 スティング

第362回 スティング 昭和四十九年七月(1974)大阪 曽根崎 梅田グランド 詐欺師の映画というのは、主人公の詐欺師がカモを引っ掛けるトリックの面白さもあるが、実はもうひとつ、映画を観ている観客そのものも騙してしまう手口。わあ騙された、という快…

『映画に溺れて』第361回 壁女

第361回 壁女 平成二十三年九月(2011)西東京 保谷こもれびホール 西東京市で毎年開催されている西東京市民映画祭自主制作映画コンペティションの審査員を、第一回より何年か続けてやらせていただいた。全国から寄せられた短編作品の中から各賞を選ぶの…

『映画に溺れて』第360回 吹けよ春風

第360回 吹けよ春風 平成十一年四月(1999)京橋 フィムルセンター 三船敏郎といえば、剣豪や豪傑、凄腕の素浪人といった時代劇が多いが、その三船が主演のコメディタッチの現代劇。終戦からまだそんなに経っていない東京を舞台に、タクシーの運転手が見…

『映画に溺れて』第359回 鬼火

第359回 鬼火 平成十九年一月(2007)阿佐ヶ谷 ラピュタ阿佐ヶ谷 怪談でもホラーでもないのに、これが妙に怖いのだ。 終戦後の東京。 加東大介ふんする主人公はガスの集金人である。昔は銀行の自動引き落としなどないから、受け持ち地区を一軒一軒、集金…

『映画に溺れて』第358回 怖がる人々

第358回 怖がる人々 平成二十四年一月(2012)池袋 新文芸坐 和田誠が監督した恐怖短編五話のオムニバス映画。「箱の中」深夜に酔って帰宅したサラリーマンが、マンションのエレベーターで偶然に知らない女といっしょになる。と、エレベーターが故障で止…

『映画に溺れて』第357回 ひとひらの雪

第357回 ひとひらの雪 昭和六十一年十一月(1986)荻窪 荻窪劇場 昔、阿佐ヶ谷に住んでいたとき、隣町の荻窪にあった映画館、荻窪劇場で『ひとひらの雪』と『化身』の二本立が上映されていて、歩いて行ったことを思い出した。かつては歩いて行ける場所に…

『映画に溺れて』第356回 今度は愛妻家

第3356回 今度は愛妻家 平成二十二年一月(2010)渋谷 渋谷TOEI② ときどき、思いがけないどんでん返しのある映画があって、うれしくなるが、内容を語ることができない。推理小説の犯人をばらすのと同様に反則だから。 中には意外な結末ですよという…

『映画に溺れて』第355回 ファントマ電光石火

第355回 ファントマ電光石火 昭和四十七年七月(1972)大阪 中之島 SABホール 変装の名手の怪盗といえば、フランスではアルセーヌ・ルパン、日本では怪人二十面相が有名だが、もうひとり怪盗ファントマの活躍するフランス映画のシリーズがあり、私は…

『映画に溺れて』第354回 キル・ビル

第354回 キル・ビル 平成十六年三月(2004)飯田橋 ギンレイホール 私が所属している日本映画ペンクラブでアンケートがあった。好きな映画スター海外編。男優、女優、それぞれ三人を書いて提出する。私が選んだ女優はニコール・キッドマン、シャーリーズ…

『映画に溺れて』第353回 好きと言えなくて

第353回 好きと言えなくて 平成八年七月(1996)日比谷 シャンテシネ3 『シラノ・ド・ベルジュラック』を観て、思い出したのがこのラブコメディ『好きと言えなくて』 アビーはラジオのペット相談室のパーソナリティ。番組を通じてカメラマンのブライア…

第352回 モリエール 恋こそ喜劇

第352回 モリエール 恋こそ喜劇 平成二十二年十月(2010)飯田橋 ギンレイホール モリエールは演劇史上、シェイクスピアと並ぶ名高い劇作家である。が、私は昔、その戯曲を読んだとき、まるで吉本新喜劇のようだと思った。この映画でモリエールが演じる…

『映画に溺れて』第351回 シラノ・ド・ベルジュラック

第351回 シラノ・ド・ベルジュラック 令和二年二月(2020)築地 松竹試写室 ニューヨークは遠い。ブロードウェイの名舞台を観劇しようと思えば、旅費や滞在費、費やす時間がどれほどかかることか。そこでブロードウェイシネマである。 今回の作品は二〇…

『映画に溺れて』第350回 夜霧よ今夜も有難う

第350回 夜霧よ今夜も有難う 平成十三年一月(2001)浅草 浅草新劇場 名作『カサブランカ』のパロディで一番好きなのはウディ・アレンの『ボギー俺も男だ』だが、実は日本でも和製『カサブランカ』が作れている。石原裕次郎の歌う『夜霧よ今夜も有難う』…

『映画に溺れて』第349回 バーブワイヤー/ブロンド美女戦記

第349回 バーブワイヤー/ブロンド美女戦記 平成九年二月(1997)池袋 文芸坐 アメリカ合衆国が軍事独裁化した近未来。ただひとつ自由のはびこる悪の都市があった。まるで『ニューヨーク1997』のマンハッタンとそっくりな設定。 この悪の町で酒場を開…

『映画に溺れて』第348回 ブレードランナー

第348回 ブレードランナー 昭和六十三年八月(1988)三鷹 三鷹オスカー 環境破壊の進んだ未来。人間そっくりに作られた労働用のアンドロイドがレプリカント。アンドロイドには人間よりも強い体力が与えられているが、寿命がプログラムされているので長生…

『映画に溺れて』第347回 20世紀少年

第347回 20世紀少年 平成二十一年八月(2009)三軒茶屋 三軒茶屋シネマ 三軒茶屋には以前、映画館がいくつもあった。『20世紀少年』と『20世紀少年第2章』を二本立て通しで観たのも、この町だった。 小学生の子供たちが遊びで描いたディストピア…

『映画に溺れて』第346回 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲

第346回 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲 平成十三年四月(2001)有楽町 日劇東宝 クレヨンしんちゃんを初めて観たのはこの映画からである。二十一世紀の最初の年に作られた『嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲』はシリーズ中でも…

『映画に溺れて』第345回 ニューヨーク1997

第345回 ニューヨーク1997 昭和五十六年六月(1981)大阪 難波 南街文化 一九七〇年代のニューヨークは治安が最悪、犯罪率がうなぎ上りとなる。この事実を踏まえた一九八一年製作の近未来SFが『ニューヨーク1997』である。 一九九〇年代、犯罪…

『映画に溺れて』第344回 ソイレントグリーン

第344回 ソイレントグリーン 昭和四十八年十一月(1973)大阪 堂島 大毎地下 悲惨な二十一世紀である。時代設定は二〇二二年。国家は機能しなくなり、利益優先の企業が世界を支配している。 水も食料も不足し、本物の肉や野菜は高価すぎて庶民の口には入…

『映画に溺れて』第343回 TIME/タイム

第343回 TIME/タイム 平成二十三年十二月(2011)六本木 20世紀フォックス試写室 ユートピアの反対がディストピア。経済破綻と貧富の格差、環境破壊や核戦争による荒廃、人類増加による食料危機、コンピュータによる人間の管理、悲惨な未来を描いたS…

『映画に溺れて』第342回 13 ザメッティ

第342回 13 ザメッティ 平成十九年九月(2007)新橋 新橋文化 予備知識なく映画を観ると、残念なこともあるが、得することもある。『13 ザメッティ』が当たりだった。 フランスのどこか小さな町。移民の貧しい青年が雇われて民家の屋根を修理してい…