日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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飯島一次

『映画に溺れて』第563回 バイオレント・ナイト

第563回 バイオレント・ナイト 令和五年二月(2023)新宿歌舞伎町 TOHOシネマズ新宿 クリスマスストーリーといえば、アルバート・フィニー主演のミュージカル『クリスマスキャロル』や、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生』など、文句な…

『映画に溺れて』第562回 秋日和

第562回 秋日和 平成元年五月(1989)下高井戸 下高井戸シネマ 小津安二郎監督の『秋日和』は『晩春』の焼き直しだが、私はこちらのほうが好きである。もちろん、『晩春』も決して悪くはない。親子の関係から言うと、『晩春』の笠智衆と原節子のほうが情…

『映画に溺れて』第561回 お嬢さん乾杯!

第561回 お嬢さん乾杯! 平成元年五月(1989)銀座 並木座 木下恵介監督といえば、『二十四の瞳』や『野菊の如き君なりき』や『喜びも悲しみも幾歳月』などの悲劇や社会派作品が有名で、観客を泣かせるイメージが強い。私は木下監督の可哀そうな映画は何…

『映画に溺れて』第560回 東京おにぎり娘

第560回 東京おにぎり娘 平成二十二年年八月(2010)神保町 神保町シアター 若尾文子の出演する映画は一九五〇年代から一九六〇年代がほとんどで、私が映画をたくさん観始めた一九七〇年代以降には主演作はほとんどない。ただ一九七五年にフジTVで放送…

『映画に溺れて』第559回 結婚のすべて

第559回 結婚のすべて 平成十一年九月(1999)京橋 フィルムセンター大ホール 岡本喜八の才能は光り輝いていた。というか、これこそ私好みの上質のコメディなのだ。なかなか日本映画には珍しい。 まず太陽族映画の撮影場面から始まり、性風俗の乱れを嘆…

『映画に溺れて』第558回 月給泥棒

第558回 月給泥棒 平成二年十二月(1990)池袋 文芸坐2 宝田明主演の『月給泥棒』は東宝の典型的なサラリーマンサクセスストーリーであり、『ニッポン無責任時代』より公開は半年ほど後になるが、ほぼ同様のコメディである。監督は私の大好きな喜劇の名…

『映画に溺れて』第557回 ニッポン無責任時代

第557回 ニッポン無責任時代 平成五年八月(1993)早稲田 ACTミニシアター 一九六〇年代、小学生の私がもっとも好きなスターはクレージーキャッツの植木等だった。当時、青島幸男作詞の「スーダラ節」が大ヒットし、植木等主演の『ニッポン無責任時代…

『映画に溺れて』第556回 八十日間世界一周

第556回 八十日間世界一周 昭和四十三年八月(1968)大阪 上六 上六映劇 子供の頃、映画館へは祖母か父に連れられて行っていたが、中学三年生になって、友人たちだけで『猿の惑星』を観た。それから二か月後、生まれて初めてたったひとりでどきどきしな…

『映画に溺れて』第555回 フレンチ・コネクション

第555回 フレンチ・コネクション 昭和四十七年四月(1972)京都 三条河原町 東宝行楽 ジーン・ハックマンは名優だが、昔はあまり好きではなかった。一番最初に観たのが一九七一年公開の西部劇『さらば荒野』で、粗野で下品で横暴な差別主義者の田舎の金…

『映画に溺れて』第554回 ダーティハリー3

第554回 ダーティハリー3 平成二年三月(1990)池袋 文芸坐 『ダーティハリー2』と『ダーティハリー3』は池袋文芸坐のクリント・イーストウッド特集の二本立てで観た。当時の文芸坐は文芸坐、文芸地下、ルピリエと三館あり、新作を少し遅れて二本立て…

『映画に溺れて』第553回 ダーティハリー2

第553回 ダーティハリー2 平成二年三月(1990)池袋 文芸坐 クリント・イーストウッドがサンフランシスコの凄腕暴力刑事ハリー・キャラハンを演じるダーティハリーは人気があり、シリーズ化された。 第二作『ダーティハリー2』の冒頭ではギャングのボ…

『映画に溺れて』第552回 異動辞令は音楽隊!

第552回 異動辞令は音楽隊! 令和四年八月(2022)立川 TOHOシネマズ立川立飛 阿部寛主演の異色刑事ものである。地方都市で独り暮らしの老人を狙った悪質で残忍な連続強盗事件が発生する。役場から老人に向けて犯罪防止の電話がかかる。家庭内に大金…

『映画に溺れて』第551回 カレンダーガール

第551回 カレンダーガール 平成六年九月(1994)高田馬場 早稲田松竹 英国ヨークシャー州の町で、白血病医療に寄付するため、婦人会に属する中年や初老の女性たちが自らモデルとなりヌードカレンダーを作って販売した事実を映画化した『カレンダー・ガー…

『映画に溺れて』第550回 ベティ・ペイジ

第550回 ベティ・ペイジ 平成二十年四月(2008)飯田橋 ギンレイホール マリリン・モンローはスターとして売り出す前、ヌードモデルをしており、映画『ノーマ・ジーンとマリリン』に、そのあたりのことが描かれている。 一九五〇年代は、さほど性が開放…

『映画に溺れて』第549回 クイズ・ショウ

第549回 クイズ・ショウ 平成七年四月(1995)日比谷 みゆき座 私が子供の頃、家にはTVが一台しかなく、夕食時などは家族そろって、つけっぱなしのTV番組を見ていた。その頃、多かったのが各種のクイズ番組だった。偉そうな司会者が解答者の席に並ん…

『映画に溺れて』第548回 十二人の怒れる男

第548回 十二人の怒れる男 平成八年九月(1996)有楽町 シネラセット 『十二人の怒れる男』は最初、レジナルド・ローズの脚本によるTVドラマとして一九五〇年代半ばにアメリカで放送された。 それが話題作となり、シドニー・ルメット監督、ヘンリー・…

『映画に溺れて』第547回 遊びの時間は終らない

第547回 遊びの時間は終らない 平成四年四月(1992)池袋 文芸坐 本木雅弘はかつてシブがき隊に属するアイドルだったが、その後ベテラン俳優として『おくりびと』などで風格ある演技を見せるようになった。 私が最初に観た本木の映画が『遊びの時間は終…

『映画に溺れて』第546回 狼たちの午後

第546回 狼たちの午後 昭和五十五年七月(1980)大塚 大塚名画座 間抜けな銀行強盗を描いた実録もの。監督が『十二人の怒れる男』のシドニー・ルメット、主演が『ゴッドファーザー』のアル・パチーノ。一九七〇年代の半ばに作られたので、アメリカン・ニ…

『映画に溺れて』第545回 暴力脱獄

第545回 暴力脱獄 令和五年一月(2023)立川 キノシネマ立川 私がポール・ニューマンを初めて観たのは一九七〇年代、『明日に向って撃て』が一番最初で、その次が『スティング』だった。どちらの役柄も美男でタフでダンディで、しかもユーモアがあり、ポ…

『映画に溺れて』第544回 ローマの休日

第544回 ローマの休日 昭和四十八年九月(1973)京都 祇園 祇園会館 オードリー・ヘプバーンといえば、長身で清純派、世界的な映画スターとして有名だが、一九二九年、ベルギー生まれでオランダ育ちである。父は放浪の英国人、母はオランダ貴族、英国籍…

『映画に溺れて』第543回 或る夜の出来事

第543回 或る夜の出来事 昭和五十六年十一月(1981)新宿 新宿ビレッジ2 私が一番大好きなクリスマス映画といえば、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』である。キャプラ監督はコメディの名匠として一九二〇年代から六〇年代まで数多くの…

『映画に溺れて』第542回 草原の輝き

第542回 草原の輝き 昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 なんばロキシー アメリカン・ニューシネマ『俺たちに明日はない』とほぼ同じ大恐慌と禁酒法の時代を描きながら、犯罪ともミステリとも無縁の恋愛映画が『草原の輝き』である。主演はナタリー・ウ…

『映画に溺れて』第541回 俺たちに明日はない

第541回 俺たちに明日はない 昭和四十八年十二月(1973)大阪 戎橋 戎橋劇場 アメリカの禁酒法時代は大恐慌とほぼ重なるが、実在した強盗一味を題材にしたのが『俺たちに明日はない』である。 一九六〇年代末に次々と作られたアメリカン・ニューシネマの…

『映画に溺れて』第540回 レディ・イヴ

第540回 レディ・イヴ 平成六年五月(1994)銀座 テアトル西友 大恐慌と禁酒法時代の後、ナチスによる軍事侵略が始まり、第二次大戦に発展する。ちょうどその頃のアメリカ映画は日本ではなかなか公開されなかったが、コメディの大家プレストン・スタージ…

『映画に溺れて』第539回 怪物團 フリークス

第539回 怪物團 フリークス 昭和五十五年九月(1980)大阪 靭公園 科学技術センターホール 『ナイトメア・アリー』を観ていて、真っ先に連想したのがカーニバルの見世物を題材にしたトッド・ブラウニングの異色ホラー映画『フリークス』である。 作られ…

『映画に溺れて』第538回 ナイトメア・アリー

第538回 ナイトメア・アリー 令和四年三月(2022)立川 TOHOシネマズ立川立飛 ナチスがポーランドに侵攻した一九三九年、アメリカでは大恐慌の影響で失業者が溢れ、禁酒法のせいで酒にも不自由していた。 無職の浮浪者スタンはたまたまカーニバルに…

『映画に溺れて』第537回 フリントストーン モダン石器時代

第537回 フリントストーン モダン石器時代 平成七年七月(1995)池袋 文芸坐 ラクエル・ウェルチ主演の『恐竜100万年』は一九六〇年代半ば、映画館で見逃し、一九七〇年にTV放送でようやく観られた。その後、同じ英国ハマーフィルムの『恐竜時代』…

『映画に溺れて』第536回 ロボコップ

第536回 ロボコップ 昭和六十三年八月(1988)三鷹 三鷹オスカー 一九七〇年代以降、アメリカでの凶悪犯罪は増加をたどる。 近未来、犯罪増加にともない、警察の民営化が進められる。この映画が公開された八〇年代後半、日本でも国鉄や郵便局が民営化さ…

『映画に溺れて』第535回 A.I.

第535回 A.I. 平成十三年七月(2001)新宿歌舞伎町 ミラノ座 『シックス・センス』で脚光を浴びた子役のハーレイ・ジョエル・オスモントが主演の未来SF。人を愛し、人間になりたいと願うロボットの物語。 難病で不治の息子を凍結入院させている夫婦…

『映画に溺れて』第534回 アイ、ロボット

第534回 アイ、ロボット 平成十六年十月(2004)渋谷 渋東シネタワー2 アイザック・アシモフの『われはロボット』を原作としたSFミステリーであり、ロボット三原則が謎解きの手がかりとなる。ロボット三原則とは、簡単に言えば、一、ロボットは人間に…