日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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飯島一次

『映画に溺れて』第363回 ショーシャンクの空に

第363回 ショーシャンクの空に 平成七年十一月(1995)池袋 文芸坐 これは大好きな作品で、映画館で四回観ている。原作はスティーブン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』 泥酔したエリート銀行員アンディ・デュフレーンが銃を携え、妻の浮気現場で…

『映画に溺れて』第362回 スティング

第362回 スティング 昭和四十九年七月(1974)大阪 曽根崎 梅田グランド 詐欺師の映画というのは、主人公の詐欺師がカモを引っ掛けるトリックの面白さもあるが、実はもうひとつ、映画を観ている観客そのものも騙してしまう手口。わあ騙された、という快…

『映画に溺れて』第361回 壁女

第361回 壁女 平成二十三年九月(2011)西東京 保谷こもれびホール 西東京市で毎年開催されている西東京市民映画祭自主制作映画コンペティションの審査員を、第一回より何年か続けてやらせていただいた。全国から寄せられた短編作品の中から各賞を選ぶの…

『映画に溺れて』第360回 吹けよ春風

第360回 吹けよ春風 平成十一年四月(1999)京橋 フィムルセンター 三船敏郎といえば、剣豪や豪傑、凄腕の素浪人といった時代劇が多いが、その三船が主演のコメディタッチの現代劇。終戦からまだそんなに経っていない東京を舞台に、タクシーの運転手が見…

『映画に溺れて』第359回 鬼火

第359回 鬼火 平成十九年一月(2007)阿佐ヶ谷 ラピュタ阿佐ヶ谷 怪談でもホラーでもないのに、これが妙に怖いのだ。 終戦後の東京。 加東大介ふんする主人公はガスの集金人である。昔は銀行の自動引き落としなどないから、受け持ち地区を一軒一軒、集金…

『映画に溺れて』第358回 怖がる人々

第358回 怖がる人々 平成二十四年一月(2012)池袋 新文芸坐 和田誠が監督した恐怖短編五話のオムニバス映画。「箱の中」深夜に酔って帰宅したサラリーマンが、マンションのエレベーターで偶然に知らない女といっしょになる。と、エレベーターが故障で止…

『映画に溺れて』第357回 ひとひらの雪

第357回 ひとひらの雪 昭和六十一年十一月(1986)荻窪 荻窪劇場 昔、阿佐ヶ谷に住んでいたとき、隣町の荻窪にあった映画館、荻窪劇場で『ひとひらの雪』と『化身』の二本立が上映されていて、歩いて行ったことを思い出した。かつては歩いて行ける場所に…

『映画に溺れて』第356回 今度は愛妻家

第3356回 今度は愛妻家 平成二十二年一月(2010)渋谷 渋谷TOEI② ときどき、思いがけないどんでん返しのある映画があって、うれしくなるが、内容を語ることができない。推理小説の犯人をばらすのと同様に反則だから。 中には意外な結末ですよという…

『映画に溺れて』第355回 ファントマ電光石火

第355回 ファントマ電光石火 昭和四十七年七月(1972)大阪 中之島 SABホール 変装の名手の怪盗といえば、フランスではアルセーヌ・ルパン、日本では怪人二十面相が有名だが、もうひとり怪盗ファントマの活躍するフランス映画のシリーズがあり、私は…

『映画に溺れて』第354回 キル・ビル

第354回 キル・ビル 平成十六年三月(2004)飯田橋 ギンレイホール 私が所属している日本映画ペンクラブでアンケートがあった。好きな映画スター海外編。男優、女優、それぞれ三人を書いて提出する。私が選んだ女優はニコール・キッドマン、シャーリーズ…

『映画に溺れて』第353回 好きと言えなくて

第353回 好きと言えなくて 平成八年七月(1996)日比谷 シャンテシネ3 『シラノ・ド・ベルジュラック』を観て、思い出したのがこのラブコメディ『好きと言えなくて』 アビーはラジオのペット相談室のパーソナリティ。番組を通じてカメラマンのブライア…

第352回 モリエール 恋こそ喜劇

第352回 モリエール 恋こそ喜劇 平成二十二年十月(2010)飯田橋 ギンレイホール モリエールは演劇史上、シェイクスピアと並ぶ名高い劇作家である。が、私は昔、その戯曲を読んだとき、まるで吉本新喜劇のようだと思った。この映画でモリエールが演じる…

『映画に溺れて』第351回 シラノ・ド・ベルジュラック

第351回 シラノ・ド・ベルジュラック 令和二年二月(2020)築地 松竹試写室 ニューヨークは遠い。ブロードウェイの名舞台を観劇しようと思えば、旅費や滞在費、費やす時間がどれほどかかることか。そこでブロードウェイシネマである。 今回の作品は二〇…

『映画に溺れて』第350回 夜霧よ今夜も有難う

第350回 夜霧よ今夜も有難う 平成十三年一月(2001)浅草 浅草新劇場 名作『カサブランカ』のパロディで一番好きなのはウディ・アレンの『ボギー俺も男だ』だが、実は日本でも和製『カサブランカ』が作れている。石原裕次郎の歌う『夜霧よ今夜も有難う』…

『映画に溺れて』第349回 バーブワイヤー/ブロンド美女戦記

第349回 バーブワイヤー/ブロンド美女戦記 平成九年二月(1997)池袋 文芸坐 アメリカ合衆国が軍事独裁化した近未来。ただひとつ自由のはびこる悪の都市があった。まるで『ニューヨーク1997』のマンハッタンとそっくりな設定。 この悪の町で酒場を開…

『映画に溺れて』第348回 ブレードランナー

第348回 ブレードランナー 昭和六十三年八月(1988)三鷹 三鷹オスカー 環境破壊の進んだ未来。人間そっくりに作られた労働用のアンドロイドがレプリカント。アンドロイドには人間よりも強い体力が与えられているが、寿命がプログラムされているので長生…

『映画に溺れて』第347回 20世紀少年

第347回 20世紀少年 平成二十一年八月(2009)三軒茶屋 三軒茶屋シネマ 三軒茶屋には以前、映画館がいくつもあった。『20世紀少年』と『20世紀少年第2章』を二本立て通しで観たのも、この町だった。 小学生の子供たちが遊びで描いたディストピア…

『映画に溺れて』第346回 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲

第346回 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲 平成十三年四月(2001)有楽町 日劇東宝 クレヨンしんちゃんを初めて観たのはこの映画からである。二十一世紀の最初の年に作られた『嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲』はシリーズ中でも…

『映画に溺れて』第345回 ニューヨーク1997

第345回 ニューヨーク1997 昭和五十六年六月(1981)大阪 難波 南街文化 一九七〇年代のニューヨークは治安が最悪、犯罪率がうなぎ上りとなる。この事実を踏まえた一九八一年製作の近未来SFが『ニューヨーク1997』である。 一九九〇年代、犯罪…

『映画に溺れて』第344回 ソイレントグリーン

第344回 ソイレントグリーン 昭和四十八年十一月(1973)大阪 堂島 大毎地下 悲惨な二十一世紀である。時代設定は二〇二二年。国家は機能しなくなり、利益優先の企業が世界を支配している。 水も食料も不足し、本物の肉や野菜は高価すぎて庶民の口には入…

『映画に溺れて』第343回 TIME/タイム

第343回 TIME/タイム 平成二十三年十二月(2011)六本木 20世紀フォックス試写室 ユートピアの反対がディストピア。経済破綻と貧富の格差、環境破壊や核戦争による荒廃、人類増加による食料危機、コンピュータによる人間の管理、悲惨な未来を描いたS…

『映画に溺れて』第342回 13 ザメッティ

第342回 13 ザメッティ 平成十九年九月(2007)新橋 新橋文化 予備知識なく映画を観ると、残念なこともあるが、得することもある。『13 ザメッティ』が当たりだった。 フランスのどこか小さな町。移民の貧しい青年が雇われて民家の屋根を修理してい…

『映画に溺れて』第341回 カイジ ファイナルゲーム

第341回 カイジ ファイナルゲーム 令和二年一月(2020)新所沢 レッツシネパーク 暗い未来である。東京オリンピックのお祭り騒ぎが終わると、日本を大不況が襲う。物価は上昇し、町には失業者やホームレスが溢れる。貧富の格差は極度に広がり、ごく一部…

『映画に溺れて』第340回 幽霊繁盛記

第340回 幽霊繁盛記 平成二十二年六月(2010)神保町 神保町シアター フランキー堺といえば、川島雄三監督『幕末太陽伝』での居残り佐平次があまりに有名であるが、他に大学出の落語家を演じた『羽織の大将』などもあり、本人も桂文楽に師事していたほど…

『映画に溺れて』第339回 しゃべれどもしゃべれども

第339回 しゃべれどもしゃべれども 平成十九年六月(2007)池袋 シネリーブル池袋1 この映画は二度観ている。最初、池袋のシネリーブルで観て、そのあと、佐藤多佳子の原作小説を読み、もう一度、今度は飯田橋ギンレイホールで観たのだ。 私は映画と原…

『映画に溺れて』第338回 落語娘

第338回 落語娘 平成二十年九月(2008)新宿歌舞伎町 ミラノ3 呪いの落語。演じる落語家が次々に変死しているという事実。このだれもやらない落語に隠された魔力とは。ちょっと怪談仕立ての寄席話。 香須美は子どもの頃から落語が好きで、高校、大学と…

『映画に溺れて』第337回 ロング・キス・グッドナイト

第337回 ロング・キス・グッドナイト 平成九年七月(1997)高田馬場 早稲田松竹 アクション版『心の旅路』である、と私は思う。平凡な主婦という設定のジーナ・デイビス。長身で派手で目立つデイビス、見た目はあまり平凡とも思えないが。 サマンサは八…

『映画に溺れて』第336回 心の旅路

第336回 心の旅路 平成六年四月(1994)銀座 銀座文化 一階がシネスイッチ銀座、二階が銀座文化劇場、二階ではいつも懐かしの名画を上映していた。しかも初公開時のパンフレットの復刻版まで販売されていて、タイムマシンで過去の映画館に来たような気分…

『映画に溺れて』第335回 陰獣

第335回 陰獣 平成七年六月(1995)池袋 文芸坐2 昭和初期の雰囲気が漂う東京で、探偵小説家が自ら探偵役となって事件に迫る。原作は江戸川乱歩である。 寒川光一郎は売り出し中の探偵小説家。これがふとしたことで財界の大物、小山田六郎の夫人静子と…

『映画に溺れて』第334回 ヤング≒アダルト

第334回 ヤング≒アダルト 平成二十四年八月(2012)飯田橋 ギンレイホール ヤングアダルトというのは、子供と大人の中間、ティーンエイジャー向きの小説。そのヤングアダルトを執筆している三十七歳の女性メイビス。 かつては田舎町の学園の女王として輝…