日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

飯島一次

『映画に溺れて』第490回 否定と肯定

第490回 否定と肯定 平成二十九年九月(2017)六本木 アスミックエース試写室 人は誰しも失敗する。それを反省することで同じ過ちを繰り返さずに前に進めるのだ。歴史もまた同じである。過ちをなかったことにはできない。 都合のいい事実だけを抜き出し…

『映画に溺れて』第489回 戦場のピアニスト

第489回 戦場のピアニスト 平成十五年三月(2003)渋谷 渋東シネタワー2 ナチスドイツによるユダヤ人の迫害、大虐殺の事実は繰り返し映画化されているし、繰り返し語り継がれるべき題材である。 さらに欲をいえば、シナリオが練られていて、演技がすば…

『映画に溺れて』488回 顔のないヒトラーたち

第488回 顔のないヒトラーたち 平成二十七年九月(2015)京橋 テアトル試写室 私が高校生の頃、『戦争を知らない子供たち』というヒット曲があった。戦後生まれの世代が若者となり、平和の中で生きている。北山修作詞のフォークソングは一種の反戦歌だっ…

『映画に溺れて』第487回 ボン・ヴォヤージュ

第487回 ボン・ヴォヤージュ 平成十七年四月(2005)飯田橋 ギンレイホール 第二次大戦時のパリ陥落を背景にしたイザベル・アジャーニ主演のコメディ。厳しい戦時下が題材ながら、エスプリたっぷりのおしゃれなウェルメイドプレイになっており、これぞフ…

『映画に溺れて』第486回 わが教え子、ヒトラー

第486回 わが教え子、ヒトラー 平成二十一年六月(2009)飯田橋 ギンレイホール 総統アドルフ・ヒトラーに演説の指導者がいたという事実を膨らませて、コメディ風に仕立てたのが『わが教え子、ヒトラー』である。 大戦末期、一九四四年の年末、ベルリン…

『映画に溺れて』第485回 ヒトラーの贋札

第485回 ヒトラーの贋札 平成二十年六月(2008)高田馬場 早稲田松竹 第二次大戦中のナチス・ドイツの犯罪は様々な映画で描かれており、とりわけユダヤ人に対する大虐殺はドキュメンタリー『夜と霧』をはじめ、スピルバーグの『シンドラーのリスト』やポ…

『映画に溺れて』第484回 ソハの地下水道

第484回 ソハの地下水道 平成二十四年八月(2012)京橋 テアトル試写室 第二次大戦中、ナチスドイツ占領下のポーランド。ユダヤ人たちはゲットーと呼ばれる居住区に閉じ込められ、外へは出られない。いずれ収容所へ送られ虐殺される運命なのだ。一部のユ…

『映画に溺れて』第483回 死刑執行人もまた死す

第483回 死刑執行人もまた死す 平成四年六月(1992)池袋 文芸坐 第二次大戦中の一九四三年にアメリカで作られた反ナチ映画。ドイツの支配下にあるチェコのプラハで「死刑執行人」の名で呼ばれる冷酷で残忍な総督ラインハルト・ハイドリヒが暗殺される。…

『映画に溺れて』第482回 イングロリアス・バスターズ 

第482回 イングロリアス・バスターズ 平成二十一年十二月(2009)新宿歌舞伎町 ミラノ2 パリがナチスに陥落された第二次大戦末期。米軍はレイン中尉をリーダーとするユダヤ系の精鋭部隊を極秘裏にフランス国内に送り込む。彼らの使命はひたすらナチスを…

『映画に溺れて』第481回 エリン・ブロコビッチ

第481回 エリン・ブロコビッチ 平成十二年七月(2000)伊勢佐木町 横浜オスカー 大企業の垂れ流す有毒物質で地域の住民に多数の健康被害が発生した実話である。ジュリア・ロバーツ演じる主人公のエリン・ブロコビッチも実名で実在する。が、深刻にはなら…

第480回 MINAMATA-ミナマタ-

第480回 MINAMATA-ミナマタ- 令和四年二月(2022)飯田橋 ギンレイホール ジョニー・デップといえば、ハサミ男シザーハンズ、カリブの海賊、不思議の国の帽子屋、女装のB級映画監督、インディアンのトント、夢のチョコレート工場主、といった…

『映画に溺れて』第479回 デジャヴ

第479回 デジャヴ 平成十九年三月(2007)有楽町 日劇1 謝肉祭で沸くニューオーリンズ。港の大型フェリーに乗り込む人たち。海軍の水兵とその家族が船客の大半を占めている。この楽し気な雰囲気が次になにかが起こりそうな不吉な予感につながって……。娯…

『映画に溺れて』第478回 イルマーレ

第478回 イルマーレ 平成十八年九月(2006)新宿歌舞伎町 ミラノ座 韓国映画のハリウッドリメイク。オリジナルが未見のため比較はできないが、どこから見てもハリウッド映画になっている。 別の年代に通じる郵便受けで別の年代の人物がやりとりするとい…

『映画に溺れて』第477回 NEXT-ネクスト-

第477回 NEXT-ネクスト- 平成二十年五月(2008)新宿歌舞伎町 新宿ジョイシネマ2 全身が黄金色に輝く新種の人類が誕生、超越した能力で人類にとって代わることを恐れた政府が抹殺しようとして裏をかかれる。というのがフィリップ・K・ディックの…

『映画に溺れて』第476回 フェイス/オフ

第476回 フェイス/オフ 平成十年六月(1998)三軒茶屋 三軒茶屋シネマ FBIの捜査官とテロリストが入れ替わる『王子と乞食』の現代版のようなストーリー。これが派手な追跡、銃撃、爆発シーンの連続で展開される。 生真面目な捜査官がジョン・トラボ…

『映画に溺れて』第475回 エネミー・オブ・アメリカ

第475回 エネミー・オブ・アメリカ 平成十一年四月(1999)渋谷 渋東シネタワー2 二十世紀末、コンピューターは市民生活の隅々にまで浸透し、電話やインターネットによる通信、各所の防犯監視カメラ、個人の銀行口座まで管理している。 国家保安局幹部…

『映画に溺れて』第474回 ブルー・ストリーク

第474回 ブルー・ストリーク 平成十二年四月(2000)新橋 新橋文化 宝石泥棒が意に反して有能な刑事になるというマーティン・ローレンス主演の犯罪コメディ。 仲間とともに厳重な警備を破って二千万ドルの巨大ダイヤモンドを盗み出したマイルズ、その直…

『映画に溺れて』第473回 ラッキーナンバー7

第473回 ラッキーナンバー7 平成十九年五月(2007)飯田橋 ギンレイホール 警察官役の多いブルース・ウィリスだが、殺し屋もまたよく似合う。『ジャッカルの日』のリメイク『ジャッカル』やコメディ『隣のヒットマン』はヒットした。 やはりウィリスが…

『映画に溺れて』第472回 第三の男

第472回 第三の男 平成二年三月(1990)三鷹 三鷹オスカー 見事な映画であり、あまりにも有名な作品である。 モノクロ映像の美しさ、巧みなストーリー展開、絵になるスターたち。そして、なによりも全編に流れるチターの名曲。この映画を観たことがない…

『映画に溺れて』第471回 偶然と想像

第471回 偶然と想像 令和三年十月(2021)渋谷 映画美学校試写室 洒落た短編小説を読むような面白さ。三つの短編によるオムニバスである。こんな偶然ありえない、と思うようなことがごく自然に納得できる形で起きてしまうのが映画の魔法なのだ。それは完…

『映画に溺れて』第470回 浜の朝日の嘘つきどもと

第470回 浜の朝日の嘘つきどもと 令和三年十二月(2021)飯田橋 ギンレイホール 私は映画が好きであり、映画は映画館で観たい。映画館が大好きなのだ。だが、近頃は家庭用の大型TVが普及し、DVDやネット配信も充実し、映画館へ全然行かない映画ファ…

『映画に溺れて』第469回 ベル・エポックでもう一度

第469回 ベル・エポックでもう一度 令和三年十二月(2021)飯田橋 ギンレイホール タイムトラベルサービス。客が好きな時代を選んで時間旅行。ただし、SFではなく、タイムマシンも仮想現実も出てこない。撮影所のセットと衣装や小道具を使い、無名俳優…

『映画に溺れて』第468回 ダークナイト

第468回 ダークナイト 平成二十年八月(2008)新宿 新宿ピカデリー 私の好きなバットマン俳優はティム・バートン監督の二作に出たマイケル・キートンである。バートンのグロテスクともいえるユーモア感覚に、とても善人には見えない面構えのキートンがぴ…

『映画に溺れて』第467回 シザーハンズ

第467回 シザーハンズ 平成二年十二月(1991)池袋 文芸坐 アメリカの郊外にある新興住宅地、カラフルな家々がまるでモデルハウスのように建ち並んでいる。そのすぐそばにそびえる小高い丘。丘の上の屋敷に住む発明家が人造人間を創造する。これはティム…

『映画に溺れて』第466回 マルコヴィッチの穴

第466回 マルコヴィッチの穴 平成十二年十月(2000)伊勢佐木町 横浜オスカー これぞ奇想天外という言葉がぴったりと当てはまる作品である。 なにしろ、実在のスター俳優、ジョン・マルコヴィッチの頭の中に入るトンネルが偶然に見つかり、マルコヴィッ…

『映画に溺れて』第465回 時計じかけのオレンジ

第465回 時計じかけのオレンジ 昭和四十七年九月(1972)大阪 難波 なんばロキシー 私のキューブリック初体験は『時計じかけのオレンジ』で、十八歳だった。主人公のアレックスは高校生の設定だからほぼ同世代である。 一九六〇年代末から七〇年代初めに…

『映画に溺れて』第464回 アンテベラム

第464回 アンテベラム 令和三年十一月(2021)日比谷 TOHOシネマズシャンテ 黒人女性を主人公としたふたつの世界の物語が描かれる。 アメリカ南部の農園で酷使される女奴隷のエデン。南部連合の旗が翻り、農場を支配するのは南軍の将軍とその配下の…

『映画に溺れて』第463回 騙し絵の牙

第463回 騙し絵の牙 令和三年三月(2021)新宿 新宿ピカデリー 出版不況と言われて久しい。本が売れて出版社も作家も町の書店も潤った時代は遠い昔のことだ。本が売れなくても雑誌が売れていればなんとかなっていたが、今はもう雑誌も売れない。この先、…

『映画に溺れて』第462回 最後の決闘裁判

第462回 最後の決闘裁判 令和三年十月(2021)立川 TOHOシネマズ立川立飛 ミステリアスな実録中世騎士物語である。 十四世紀末のフランス、ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは留守中、屋敷で妻のマルグリットをかつての友ジャック・ル・…

『映画に溺れて』第461回 クーリエ 最高機密の運び屋

第461回 クーリエ 最高機密の運び屋 令和三年十月(2021)日比谷 TOHOシネマズ日比谷 イアン・フレミング原作の007シリーズがショーン・コネリー主演で映画化されたのが一九六二年、日本公開時のタイトルが『007は殺しの番号』だった。 米ソが…