日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

飯島一次

『映画に溺れて』第533回 ロボジー

第533回 ロボジー 平成二十三年十二月(2011)日比谷 東宝試写室 かつてのSFの世界に頻繁に登場するのがロボットで、現実には工業用ロボットが実現化しているが、『鉄腕アトム』や『AI』のような人間の形をして二本足で歩くロボットは二十一世紀にな…

『映画に溺れて』第532回 下妻物語

第532回 下妻物語 平成十六年十二月(2004)飯田橋 ギンレイホール 嶽本野ばらの原作小説が面白く、中島哲也監督の映画がさらに面白かったのが『下妻物語』である。 茨城県下妻に住む十七歳の少女桃子。三時間かけて東京の代官山ベイビーにひらひらのお…

『映画に溺れて』第531回 アヒルと鴨のコインロッカー

第531回 アヒルと鴨のコインロッカー 平成二十三年一月(2011)恵比寿 恵比寿ガーデンシネマ 非常によくできた小説をわくわくしながら読み終わり、その後、映画化作品を観て、がっかりすることがある。小説はあんなに面白かったのに、どうしてこんなつま…

『映画に溺れて』第530回 未来惑星ザルドス

第530回 未来惑星ザルドス 昭和四十九年十月(1974)大阪 梅田 OS劇場 『未来惑星ザルドス』を観たのは学生時代、大阪の梅田にあったOS劇場で、ここはシネラマを売り物にした巨大スクリーンの大劇場だった。 いきなり空を飛ぶ荒々しい石の顔。未来を…

『映画に溺れて』第529回 脱出

第529回 脱出 昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 なんば大劇場 ジョン・ブアマンの初体験は十代の終わりに観た『脱出』で、最初から最後まで緊張感の絶えない映画だった。 ダム建設が始まり、水没予定の山奥の渓流に都会から四人の男がやってくる。こん…

『映画に溺れて』第528回 アメリカの夜

第528回 アメリカの夜 昭和四十九年十二月(1974)大阪 北新地 梅田東映ホール フランス版の『キャメラを止めるな!』を見ていて、連想したのがフランソワ・トリュフォー監督の『アメリカの夜』である。特殊レンズを使って昼間に夜の場面を撮影する手法…

『映画に溺れて』第527回 シャーロック・ホームズ 殺しのドレス

第527回 シャーロック・ホームズ 殺しのドレス 平成二十四年十二月(2012)渋谷 シネマヴェーラ 『殺しのドレス』といえば、ブライアン・デ・パルマがヒッチコックを意識して作ったホラー映画を思い出す。Dressed to Killというのは男を悩殺する女性の服…

『映画に溺れて』第526回 シャーロック・ホームズ 闇夜の恐怖

第526回 シャーロック・ホームズ 闇夜の恐怖 平成二十六年一月(2014)渋谷 シネマヴェーラ 第二次大戦が終了しても、ベイジル・ラスボーンはしばらくホームズを演じていた。『闇夜の恐怖』は戦後に作られた作品で、走行中の列車内で起きた事件をホーム…

『映画に溺れて』第525回 シャーロック・ホームズ 恐怖の館

第525回 シャーロック・ホームズ 恐怖の館 平成二十八年十一月(2016)曳舟 すみだ生涯学習センター ベイジル・ラスボーン主演のホームズ映画は20世紀フォックスの最初の二本だけが原作と同時代のヴィクトリア朝になっているが、ユニバーサルの十二本…

『映画に溺れて』第524回 シャーロック・ホームズ 緋色の爪

第524回 シャーロック・ホームズ 緋色の爪 平成二十四年八月(2012)渋谷 シネマヴェーラ アーサー・コナン・ドイルのホームズ物語は大ベストセラーとなり、ウィリアム・ジレットの舞台劇をはじめ、映画となりTVとなり、数多くの俳優がシャーロック・…

『映画に溺れて』第523回 シャーロック・ホームズ シークレット・ウェポン

第523回 シャーロック・ホームズ シークレット・ウェポン 平成二十七年十一月(2015)曳舟 すみだ生涯学習センター ベイジル・ラスボーンといえば、シャーロック・ホームズである。 南アフリカ生まれの英国人で、ロンドンで俳優修業、アメリカに渡ってブ…

『映画に溺れて』第522回 ヤング・シャーロック ピラミッドの謎

第522回 ヤング・シャーロック ピラミッドの謎 昭和六十一年三月(1986)新宿 新宿ピカデリー イアン・マッケラン主演『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』は老後のシャーロック・ホームズを描いているが、それとは逆に、まだ世に出る前の少年ホームズが活…

『映画に溺れて』第521回 赤頭巾ちゃん気をつけて

第521回 赤頭巾ちゃん気をつけて 昭和四十七年十月(1972)大阪 梅田 北野シネマ 一九六九年の芥川賞受賞作、庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』がベストセラーになったのは私が高校生のころで、薫君シリーズは『白鳥の歌なんか聞こえない』『ぼくの大…

『映画に溺れて』第520回 NOPE ノープ

第520回 NOPE ノープ 令和四年九月(2022)府中 TOHOシネマズ府中 UFOを信じるか、信じないか。という議論はそもそもおかしいと思う。UFOとは未確認飛行物体の略語であり、なんだかよくわからないものが空を飛んでいるだけなのだ。それは…

『映画に溺れて』第519回 スワンソング

第519回 スワンソング 令和四年六月(2022)京橋 テアトル試写室 ウド・キアといえば、一九七〇年代、『悪魔のはらわた』のフランケンシュタイン博士と『処女の生血』のドラキュラ伯爵が強烈に印象に残っている。アンディ・ウォーホル監修、ポール・モリ…

『映画に溺れて』第518回 チャイナタウン

第518回 チャイナタウン 昭和六十三年六月(1988)荻窪 荻窪オデヲン座 アメリカ映画で時代劇といえば西部劇だが、戦前の禁酒法と大恐慌の時代を描いた作品も一種の時代劇のような気がする。 当時、パルプマガジンで活躍したダシール・ハメットやレイモ…

『映画に溺れて』第517回 アンタッチャブル

第517回 アンタッチャブル 昭和六十二年十月(1987)新宿歌舞伎町 新宿プラザ 私のブライアン・デ・パルマ初体験は一九七五年公開の『ファントム・オブ・パラダイス』で、これはわが生涯に観た映画の中でも上位に入る。その後、『キャリー』『悪魔のシス…

『映画に溺れて』第516回 ラストマン・スタンディング

第516回 ラストマン・スタンディング 平成九年二月(1997)日比谷 日比谷映画 派手な暴力描写で名高いウォルター・ヒル監督が黒澤明の『用心棒』をほぼそっくりそのまま、禁酒法時代のテキサスに置き換えてリメイクしたのが『ラストマン・スタンディング…

『映画に溺れて』第515回 用心棒

第515回 用心棒 昭和五十三年十一月(1978)大阪 阿倍野 アポログリーン 私は三船敏郎が大好きだ。三船といえば黒澤明、『七人の侍』は映画として文句なしに最高である。が、異彩を放つキャラクターといえば『用心棒』の浪人だろう。 すさんだ宿場町にふ…

第514回 荒野の七人 真昼の決闘

第514回 荒野の七人 真昼の決闘 昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 南街劇場 西部の荒野を馬上のガンマンが駆けて行く。背景に流れるのは『荒野の七人』のオリジナルテーマ曲。『荒野の七人 真昼の決闘』の最初のシーン、邦題は大胆にも有名な西部劇の…

『映画に溺れて』第513回 オースティン・パワーズ ゴールドメンバー

第513回 オースティン・パワーズ ゴールドメンバー 平成十四年十月(2002)大泉 Tジョイ大泉 マイク・マイヤーズが英国スパイと悪の天才の二役を演じるコメディ『オースティン・パワーズ』は三本作られ、二作目の『オースティン・パワーズ デラックス』…

『映画に溺れて』第512回 パリで一緒に

第512回 パリで一緒に 昭和六十三年六月(1988)自由が丘 自由が丘武蔵野館 ウィリアム・ホールデンとオードリー・ヘプバーンが売れっ子脚本家とタイピストを演じるロマンティックコメディ。 巴里祭で賑わうパリ。ハリウッドの脚本家リチャードが新作『…

『映画に溺れて』第511回 アダプテーション

第511回 アダプテーション 平成十六年一月(2004)飯田橋 ギンレイホール スパイク・ジョーンズ監督『マルコビッチの穴』で脚本家として一躍注目されたチャーリー・カウフマンだが、撮影現場では影が薄く、ヒロイン役のキャサリン・キーナーにも無視され…

『映画に溺れて』第510回 キャメラを止めるな!

第510回 キャメラを止めるな! 令和四年七月(2022) 立川 キノシネマ立川 リメイクは難しい。どんなに上手に模倣しても、それはオリジナルが素晴らしいからで、たいして手柄にはならない。模倣が下手で見劣りしたり、余計なアイディアを加えて失敗した…

『映画に溺れて』第509回 バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

第509回 バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー 令和四年七月(2022)吉祥寺 アップリンク吉祥寺 バットマンではなく、バッドマンである。 DCやマーベルのアメリカンコミックを意識したパロディではあるが、フランス映画なのでひねりがあり、下ネタも…

『映画に溺れて』第508回 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

第508回 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 令和四年一月(2022)立川 TOHOシネマズ立川立飛 スーパーマン、バットマン、スパイダーマン、DCやマーベルの人気コミックは昔からTVや映画で何度も繰り返し映像化されている。 近年でも人気キャ…

『映画に溺れて』第507回 大怪獣のあとしまつ

第507回 大怪獣のあとしまつ 令和四年二月(2022)立川 TOHOシネマズ立川立飛 以前、ハヤカワ文庫から『キング・コングのライヴァルたち』と題するパロディ集が翻訳され、その中にフィリップ・ホセ・ファーマーの『キング・コング墜落のあと』という…

『映画に溺れて』第506回 リーグ・オブ・レジェンド

第506回 リーグ・オブ・レジェンド 平成十五年十月(2003)渋谷 渋東シネタワー1 十九世紀末のロンドンで近代兵器による組織犯罪が行われる。ヨーロッパ各地に暗躍する悪の組織ファントム。大規模な陰謀が世界大戦に発展するのを阻止するため、大英帝国…

『映画に溺れて』第505回 フロム・ヘル

第505回 フロム・ヘル 平成十四年二月(2002)日比谷 シャンテシネ2 一八八八年、ロンドンで実際に起こった猟奇犯罪、連続娼婦惨殺事件。被害者は腹部を切り裂かれ、内臓が露出するというおぞましいものだった。犯人は切り裂きジャックと呼ばれたが、正…

『映画に溺れて』第504回 ネバーランド

第504回 ネバーランド 平成十七年五月(2005)飯田橋 ギンレイホール 中堅劇作家のジェームズ・バリは新作風俗喜劇が当らず打ち切りとなり、意気消沈。家では妻との仲もしっくりいかず、落ち込んでいる。そんなとき、偶然にもケンジントン公園で少年たち…