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第514回 荒野の七人 真昼の決闘

第514回 荒野の七人 真昼の決闘

昭和四十七年十月(1972)
大阪 難波 南街劇場

 西部の荒野を馬上のガンマンが駆けて行く。背景に流れるのは『荒野の七人』のオリジナルテーマ曲。『荒野の七人 真昼の決闘』の最初のシーン、邦題は大胆にも有名な西部劇の名作『荒野の七人』と『真昼の決闘』のタイトルをつなぎ合わせている。
 私が初めて映画館でユル・ブリンナー主演の『荒野の七人』を観たのは一九七一年のリバイバル上映で、なんて面白い西部劇だろうと感激した。翌年一九七二年の夏に本家本元、黒澤明監督の『七人の侍』を観て、あまりの素晴らしさに圧倒されたことを思い出す。先に黒澤を観ていたら『荒野の七人』の感激は少なかったかもしれない。
 その同じ年の秋に公開された新作が『荒野の七人 真昼の決闘』だった。わずかの間に『荒野の七人』『七人の侍』『荒野の七人 真昼の決闘』を映画館で続けて観たことになる。
『荒野の七人』はヒットしてシリーズとなり、主役のクリス役は最初の二作が黒ずくめのユル・ブリンナー、三作目がジョージ・ケネディ。四作目『荒野の七人 真昼の決闘』のリー・ヴァン・クリーフは『夕陽のガンマン』でイーストウッドの相手役として名を売ったが、かつて『真昼の決闘』ではゲイリー・クーパーの保安官を狙う敵役のひとりであった。
 小さな町で結婚し保安官として安穏に暮らすクリスを新聞記者のノアが訪ね、伝記を書きたいと申し出る。
 ちょうどその時、温情で釈放した未成年の強盗が、再び銀行を襲い、クリスの妻をさらい犯して惨殺。クリスは居合わせたノアとともにこれを追い、メキシコ国境の町にたどり着く。妻を殺した強盗が山賊一味に加わり、町の男たちを皆殺しにしていた。
 生き残った女たちは凌辱され、数日後再びここを通過する一味に連れ去られるという。クリスとノアは見張りの山賊を殺し、女たちに懇願され、一味と戦うことになる。七人の男が山賊と一戦交えるという設定だけはオリジナル通りだが、あと五人の凄腕をどうやって調達するのだろう。なるほど、そういう手もあったか。
 TV「アンクルの女」のステファニー・パワーズが女たちのリーダーを演じている。

 

荒野の七人 真昼の決闘/The Magnificent Seven Ride!
1972 アメリカ/公開1972
監督:ジョージ・マッコーワ
出演:リー・ヴァン・クリーフ、ステファニー・パワーズ、マイケル・カラン、ルーク・アスキュー、ペドロ・アルメンダリス・Jr、ジェームズ・シッキング、エド・ローター