日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第45回 八幡宮の階段

健保(けんぽう)七年一月二十七日。 夕方から降り続けた雪は、強さを増していました。 警護の詰め所にいる三浦義村(山本耕史)の肩を、北条義時(小栗旬)が叩きます。三浦は驚きます。 「どうしてここにいる」 「外されてしまった」 と、義時は答えます。源仲章…

『映画に溺れて』第530回 未来惑星ザルドス

第530回 未来惑星ザルドス 昭和四十九年十月(1974)大阪 梅田 OS劇場 『未来惑星ザルドス』を観たのは学生時代、大阪の梅田にあったOS劇場で、ここはシネラマを売り物にした巨大スクリーンの大劇場だった。 いきなり空を飛ぶ荒々しい石の顔。未来を…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第44回 審判の日

髪の伸びた公暁(こうぎょう)(寛一郎)がいいます。 「明日(みょうにち)、実朝(さねとも)を討つ。右大臣の拝賀式(はいがしき)。実朝が八幡宮で拝礼(はいれい)を終えた帰りを襲う」 三浦義村(山本耕史)がいいます。 「鎌倉殿の首を討てば謀反人。御家人たちの心…

『映画に溺れて』第529回 脱出

第529回 脱出 昭和四十七年十月(1972)大阪 難波 なんば大劇場 ジョン・ブアマンの初体験は十代の終わりに観た『脱出』で、最初から最後まで緊張感の絶えない映画だった。 ダム建設が始まり、水没予定の山奥の渓流に都会から四人の男がやってくる。こん…

書評『家康が最も恐れた男たち』

書名『家康が最も恐れた男たち』著者名 吉川永青発売 集英社発行年月日 2022年10月25日定価 本体840円(税別) 家康が最も恐れた男たち (集英社文庫) 作者:吉川 永青 集英社 Amazon 家康には二つの像がある。狸親父のイメージの如く忍従の長い年…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第43回 資格と死角

京から、頼家(よりいえ)の残した子、公暁(こうぎょう)(寛一郎)が鎌倉に戻ってきています。三浦義村(山本耕史)が公暁にいいます。 「明日は御所(ごしょ)におもむいて、鎌倉殿(かまくらどの)と尼御台(あまみだい)にご挨拶を」 「例の件はどうなっておる」 と、…

『映画に溺れて』第528回 アメリカの夜

第528回 アメリカの夜 昭和四十九年十二月(1974)大阪 北新地 梅田東映ホール フランス版の『キャメラを止めるな!』を見ていて、連想したのがフランソワ・トリュフォー監督の『アメリカの夜』である。特殊レンズを使って昼間に夜の場面を撮影する手法…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第42回 夢のゆくえ

鎌倉殿である源実朝(みなもとのさねとも)(柿澤勇人)は、北条義時(よしとき)(小栗旬)の息子である北条泰樹(やすとき)(坂口健太郎)に宣言します。 「父上がつくられた、この鎌倉を、源氏の手に取り戻す」 泰時が確かめます。 「北条から取り戻すということです…

書評『葵のしずく』

書名『葵のしずく』著者 奥山景布子発売 文藝春秋発行日 2022年10月10日定価 本体1700円(税別) 葵のしずく 作者:奥山 景布子 文藝春秋 Amazon 幕末維新に翻弄された悲運の美濃高須(みのたかす)松平家(まつだいらけ)四兄弟を支えた女性たちが主人公の本書は…

『映画に溺れて』第527回 シャーロック・ホームズ 殺しのドレス

第527回 シャーロック・ホームズ 殺しのドレス 平成二十四年十二月(2012)渋谷 シネマヴェーラ 『殺しのドレス』といえば、ブライアン・デ・パルマがヒッチコックを意識して作ったホラー映画を思い出す。Dressed to Killというのは男を悩殺する女性の服…

大河ドラマウォッチ「鎌倉殿の13人」 第41回 義盛、お前に罪はない

和田義盛(よしもり)(横田栄司)が館に帰ってみると、一族の者たちが皆、武装しています。すでに第一陣は、大江広元の館を襲っているとのことでした。和田はうめくようにいいます。 「鎌倉殿に約束をしたのだ。決して、いくさは起こさぬと」 息子の一人がいい…