日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第37回 栄一、あがく

千代の死から、三ヶ月がたちました。栄一(吉沢亮)は「顔色が悪い」と喜作(高良健吾)にいわれる始末です。 「渋沢には、早う次の妻を探さにゃならんな」と、立ち上がったのは井上馨(福士誠治)です。「でなけんにゃ、日本経済そのものにも大いに差し障り…

『映画に溺れて』第463回 騙し絵の牙

第463回 騙し絵の牙 令和三年三月(2021)新宿 新宿ピカデリー 出版不況と言われて久しい。本が売れて出版社も作家も町の書店も潤った時代は遠い昔のことだ。本が売れなくても雑誌が売れていればなんとかなっていたが、今はもう雑誌も売れない。この先、…

書評『尼将軍』

書 名 『尼将軍』 著 者 三田誠広発 売 作品社発行年月日 2021年9月25日 尼将軍 作者:三田誠広 作品社 Amazon 頼朝の流人生活を伝える歴史史料はきわめて乏しく、頼朝と政子の運命的な結びつきについては「はっきりしたことはわからない」(奥富敬之『…

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第36回 栄一と千代

栄一(吉沢亮)たちは、三菱に対抗すべく、海運業者の合本(がっぽん)組織「東京風帆船(ふうはんせん)会社」を設立しました。 「合本で、三菱の一人勝ちを打ち破ろう」 と、栄一は皆に宣言します。 岩崎弥太郎(中村芝翫)は大隈重信(大倉孝二)と話して…

『映画に溺れて』第462回 最後の決闘裁判

第462回 最後の決闘裁判 令和三年十月(2021)立川 TOHOシネマズ立川立飛 ミステリアスな実録中世騎士物語である。 十四世紀末のフランス、ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは留守中、屋敷で妻のマルグリットをかつての友ジャック・ル・…

天堂晋助さん新刊

「大河ドラマウォッチ」でおなじみ・天堂晋助さんの新刊予約が始まりました! 風呼ぶ狐 西南戦争の潜入警察官 (文藝春秋企画出版) 作者:天堂 晋助 文藝春秋 Amazon

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第35回 栄一、もてなす

アメリカの元大統領、グラント将軍を、国を挙げて、もてなすことになりました。民(みん)の力を見せつけてやると、栄一(吉沢亮)たちは大はりきりです。 築地の大隈邸に、栄一の妻の千代(橋本愛)と、喜作(高良健吾)の妻の、よし、がやって来ます。待っていたの…

『映画に溺れて』第461回 クーリエ 最高機密の運び屋

第461回 クーリエ 最高機密の運び屋 令和三年十月(2021)日比谷 TOHOシネマズ日比谷 イアン・フレミング原作の007シリーズがショーン・コネリー主演で映画化されたのが一九六二年、日本公開時のタイトルが『007は殺しの番号』だった。 米ソが…

『映画に溺れて』第460回 空白

第460回 空白 令和三年九月(2021)飯田橋 角川試写室 個性派の脇役として活躍する古田新太の主演作。劇映画なのに、最初の船で漁をするシーンから、まるでドキュメンタリーフィルムを観るようなリアルさ。 海に近い地方の町で漁師を営む添田は気が荒く…

『映画に溺れて』第459回 恋愛適齢期

第459回 恋愛適齢期 平成十六年四月(2004)銀座 丸の内東映 ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンが共演、年配男女のラブコメディである。 ハリーは六十三歳のプレイボーイ。レコード会社を所有し悠々自適、結婚経験はなく、恋の相手は次々と変わ…

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第34回 栄一と伝説の商人

明治十年(1877年)。鹿児島の西郷軍と、明治政府との戦争が勃発。西南戦争です。政府の税収の九割近くが、戦費に費やされました。 西郷、大久保なき後、日本の財政を動かしていたのは、大隈重信(大倉孝二)でした。渋沢栄一(吉沢亮)は大隈を待ち構え、いいま…

『映画に溺れて』第458回 ニノチカ

第458回 ニノチカ 平成八年十月(1996)銀座 銀座文化 グレタ・ガルボ。一九〇五年にスウェーデンで生まれ、二十歳でハリウッドに移り、サイレント全盛時代からトーキー初期に活躍し、三十五歳で引退、一九九〇年に八十四歳で亡くなった。私が映画館で観…

『映画に溺れて』第457回 赤ちゃん教育

第457回 赤ちゃん教育 平成十二年一月(2000)京橋 フィルムセンター大ホール ケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、いずれもハリウッドの大スターであり、美男美女である。このふたりがドタバタ喜劇を演じるのだから面白い。 若き古生物学者デ…

『映画に溺れて』第456回 愛しのローズマリー

第456回 愛しのローズマリー 平成十四年六月(2002)日比谷 日比谷映画 ともかく、美女が次々とたくさん出てくる映画である。 外見の美しい女性と心の美しい女性と、どちらがいいだろう。ジャック・ブラックふんするハル・ラーソンは女性の外見にしか興…

大河ドラマウォッチ「青天を衝け」 第33回 論語と算盤(そろばん)

渋沢栄一(吉沢亮)は、大隈重信(大倉孝二)の邸宅を訪ねていました。大隈が部屋に入ってくると、栄一は立ち上がります。 「大隈さん、あんまりではありませんか」 「なんじゃい。いきなり」 大隈はすでにけんか腰です。 「小野組や三井組にいきなり、政府…

『映画に溺れて』第455回 2番めのキス

第455回 2番めのキス 平成十八年十月(2006)飯田橋 ギンレイホール ファレリー兄弟のラブコメディ『2番目のキス』に描かれたレッドソックスのファンというのは、日本でいえば、さしずめ大阪の阪神タイガースファンなのだと思う。 ベンは三十過ぎで独…