日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

書評『浄土双六』

書 名 『浄土双六』 著 者 奥山景布子発 売 文藝春秋社発行年月日 2020年11月20日定 価 本体1600円(税別) 浄土双六 (文春e-book) 作者:奥山 景布子 発売日: 2020/11/20 メディア: Kindle版 戦前の皇国史観ゆえであろうか、戦後となっても、室…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第三十八回 丹波攻略命令

天正二年(1574年)、三月。明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、みずからの城、坂本城に三淵藤英(谷原章介)を保護していました。そこへ信長の文(ふみ)持った使者がやってくるのです。 「一両日中に、成敗がなされるよう、しかと見届けて参れと仰せつかりま…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 信長公と蘭奢待(らんじゃたい)

元亀四年(1573年)、三月。将軍足利義昭(滝藤賢一)は、織田信長(染谷将太)に対し、討伐の兵を挙げます。義昭の井を汲(く)んだ、甲斐の武田信玄は、三方原で徳川、織田の連合軍を打ち破り、三河に侵攻していました。しかし武田軍は突如、兵を引き返し…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第三十六回 訣別(けつべつ)

元亀三年(1572年)、冬。明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、三条西実澄(石橋蓮司)の用人として、内裏に向かいました。光秀では廊下の途中で待たされます。光秀の耳に、花や春風について詠んだ歌が聞こえてきます。 実澄(さねずみ)は帝(みかど)に拝謁し…

小説を公開しました

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『映画に溺れて』第404回 ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節

第404回 ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節 昭和四十九年七月(1974)大阪 梅田 日活関西支社試写室 初めて映画会社の試写室で試写を観たのは、大阪の梅田にある日活関西支社だった。映画関係の仕事をしていたわけではない。当時、私はまだ大学一年で、「…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第三十五回 義昭、まよいの中で

元亀二年(1571年)、秋。比叡山の戦いで、一番手柄をあげた明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、信長から、近江の国、滋賀の地を与えられ、琵琶湖のほとり、坂本に、新たな城を建てようとしていました。 光秀は京の館で、その城の造りについて考えていました。…

明治一五一年 第19回

明治一五一年 第19回 いくつかの目の内側を すり抜ける私たちだから 小さな傷口が増えていく日日 の残景が過ぎていき どろどろに流れてく体の 感触が一五一年を伝う いつの私たちだった 壊れてしまった人の時間 かと聞きなれた声たちが流れ 荒れ果てたまま北…

『映画に溺れて』第403回 1917 命をかけた伝令

第403回 1917 命をかけた伝令 令和二年十月(2020) 飯田橋 ギンレイホール 戦場で起きた午後から翌朝までの出来事を二時間足らずで描いて、しかもワンカット。いったいどうやって撮影したのだろう。まるで魔法ではないか。 いい映画の条件はいろい…

『映画に溺れて』第402回 まぼろしの市街戦

第402回 まぼろしの市街戦 昭和五十三年四月(1978) 大阪 中之島 SABホール 『マラー/サド』と二本立てで観たのが『まぼろしの市街戦』だった。どちらも精神病院が題材になっている。こんな組み合わせを考える上映会の主催者、よほどの映画好きなの…