天堂晋助
頼朝(大泉洋)は夢を見ていました。お経が聞こえるので行ってみると、遺体を囲んで、政子をはじめとする北条の者たちが座っていました。そして遺体は、頼朝自身だったのです。 建久九年十二月二十七日。頼朝に死が迫っていました。 頼朝は弟で僧侶である阿…
頼朝が巻狩りから、鎌倉に帰ってきます。 源範頼(迫田孝也)は、安達盛長(野添義弘)と話します。 「うかつでございました」安達盛長は柱に寄りかかります。「まさか生きておられたとは」 愕然として、範頼がいいます。 「私が鎌倉殿の座を狙ったと疑われ…
巻狩りの仕切りを任された、父の北条時政(坂東彌十郎)のもとを、義時(小栗旬)が訪ねます。 「父上、私に隠していることはございませんか」 と、外を見ながら義時は聞きます。 「何の話だ」 と、時政は応じます。義時は声をひそめます。 「曽我の兄弟。梶…
妻の八重の死を知り、義時(小栗旬)はつぶやきます。 「天罰だ」 三浦義村(山本耕史)がいいます。 「そんなふうに考えるな」 夜、義時は、息子の金剛にいいます。 「父が、お前を育て上げてみせる」 子どもたちが多く暮らす義時の館に、頼朝(大泉洋)が…
義時(小栗旬)は、夕暮れの鎌倉の街を見ていました。そこへ土肥実平(阿南健治)がやって来ます。 「どうした」 と、聞く土肥に 「九郎殿のことを、考えておりました」 と、義時は打ち明けます。 「わしもじゃ。平家とのいくさの間、ずっと共にいたもんでな…
文治三年(1187)。義経は、平泉にたどり着いていました。藤原秀衡(ふじわらのひでひら)(田中泯)が義経(菅田将暉)にいいます。 「よう戻って来たな。それにしても、悔やまれる。お前を送り出したとき、もし、わしが兵を挙げておれば。天下を目指すには…
頼朝(大泉洋)から鎌倉入りを拒否された義経(菅田将暉)は、京に戻っていました。義経は妻の里(三浦透子)を相手に酒を飲みます。里は自分まで帰れないことに文句をいいます。 「離縁して下さい」と、里はいいます。「あの静(しずか)(石橋静香)という…
一ノ谷で破れた平家は、四国の屋島に逃げました。 範頼軍は九州に渡り、筑前に攻め込みます。平家は逃げ道を断たれます。 義経は海を渡り、平家軍に奇襲をかけます。不意を突かれた平家は、屋島を捨て、長門(ながと)の彦島に落ち延びていきます。 鎌倉では…
源義経(菅田将暉)は、後白河法皇(西田敏行)に呼ばれ、一ノ谷の合戦についてほめられます。 鎌倉では、頼朝が側近たちに話しています。 「義仲を討った今、片付けておかねばならぬことがある。一つは、甲斐の武田信義(八嶋智人)。奴に、誰が源氏の棟梁…
義時(小栗旬)と八重(新垣結衣)の子に、頼朝(大泉洋)は「金剛」の名を贈ります。その席には義時の父、北条時政(坂東彌十郎)の姿もありました。頼朝が時政にいいます。 「よう帰って来てくれた。おぬしが一向に戻ってくれんので、藤九郎(安達盛長)を…
源義経(菅田将暉)は木曽義仲(青木崇高)を討つために、近江国にまで来ていました。 京で義経の軍勢が迫っていることを知った義仲は、後白河法皇(西田敏行)を捕え、御所に火を放ちます。 その頃、義時(小栗旬)は、父の北条時政(坂東彌十郎)のところ…
出かける北条義時(小栗旬)を八重(新垣結衣)が見送ります。 「正式に夫婦(めおと)となること、鎌倉殿(源頼朝)(大泉洋)と御台所(みだいどころ)(北条政子)(小池栄子)に申し上げたいのですが」 と、義時は八重の表情をうかがいます。八重は少し…
政子(小池栄子)の父である北条時政(坂東彌十郎)が伊豆へ帰ることになります。義時(小栗旬)や政子たちの前で、時政はいいます。 「やんなっちまったんだよ。何もかもが。悔やんではおらん」 頼朝のもとへ源行家(杉本哲太)がやって来ます。行家は所領…
義時(小栗旬)は八重(新垣結衣)に、八重の父である伊東祐親と兄である伊東祐清が死んだことを伝えます。そして義時が新しい領主となった、もとの伊東の領地、江間に来てくれるように八重に頼みます。八重は承諾するのでした。 義時の妹である実衣(宮澤エ…
頼朝(大泉洋)が仲立ちをすると請け合い、北条義時(小栗旬)は八重(新垣結衣)と結婚するつもりになっていました。しかし 「お断りいたします」 と、八重からはっきりと拒絶されるのでした。 義時は頼朝の使者として、梶原景時(中村獅童)の館を訪ねます…
鎌倉の仮御所で、頼朝(大泉洋)は義経(菅田将暉)と話します。 「奥州の、秀衡(ひでひら)殿の所には、何年おったのかな」 「六年おりました」義経はいいます。「こちらとは比べものにならいくらい、美しいところです」 頼朝は笑い声をたてます。 「鎌倉…
源頼朝(大泉洋)が畠山重忠(中川大志)と和田義盛(横田栄司)に命じます。 「伊東祐親(すけちか)(浅野和之)を召し捕って参れ。手向かいすればその場で斬り捨てて構わん」 北条義時(小栗旬)と三浦義村(山本耕史)は畠山と和田に先行しようと、馬を…
平清盛(松平健)が、声を荒げて息子の宗森(小泉孝太郎)にいいます。 「追討軍はまだ出立(しゅったつ)しておらんのか」 「明後日の朝、京を発つ手はずでございます」 清盛は立ち上がります。 「今まで何をしておった」 「旧例にのっとり、必勝の吉日を選…
平清盛(松平健)は幽閉されている後白河法皇(西田敏行)を訪ねていました。 「大庭景親によれば、源頼朝は謀反(むほん)の兵を挙げ、伊豆の目代(もくだい)の首をとった由(よし)にございます」と、清盛は語ります。「その後の頼朝は、恐れ多くも、政(…
自軍が敗北し、頼朝(大泉洋)は石橋山の洞窟に隠れていました。 大庭勢が頼朝を探しています。梶原景時(中村獅童)は、頼朝の一行を発見します。しかしそれを見逃すのでした。 北条時政(坂東彌十郎)と義時(小栗旬)の父子は、救援を求めに、甲斐の武田…
北条宗時(片岡愛之助)率いる軍勢が、伊豆の実力者である、堤信遠(吉見一豊)の館を襲います。北条の館に火が上がるのを見て、源頼朝(大泉洋)がいいます。 「もう、もうあとには引けぬ」 北条時政(坂東彌十郎)と、北条義時(小栗旬)は、堤信遠を討ち…
挙兵の日は、8月17日と決まりました。その日は三島明神の祭りに当たっていました。北条宗時(片岡愛之助)がいいます。 「まず、父上と私が率いる先陣が、目代(もくだい)、山木兼隆(やまきかねたか)の館を襲う。火を放ち、これをもって平家討伐、関東挙…
都に激震が走りました。平清盛が、後白河法皇を幽閉したのです。清盛は自分の孫を帝(みかど)に即位させました。安徳天皇です。この時、一歳と三ヶ月でした。 その頃、伊豆では、頼朝(大泉洋)を婿に迎えた北条家に、都の不穏な気配が忍び寄っていました。 治…
北条の館に、伊東の軍勢が、源頼朝(佐殿)(大泉洋)を引き渡すように迫ってきていました。伊東の当主である、伊東祐親(いとうのすけちか)(浅野和之)が叫びます。 「これ以上にらみ合っても無駄じゃ。後は力尽くで頼朝を奪い取るのみ」 それに対して、北条の当…
北条義時(小四郎)(小栗旬)が、後ろに女性を乗せて、馬で駆けています。三人の騎馬武者がそれを追います。 「姫、振り落とされないように気をつけて」 と、義時は後ろの女性に声をかけます。義時は前方に立ちふさがる武者たちを避け、森に逃げ込みます。 安政…
大正八年(1919)。ドイツの降伏で、第一次世界大戦が終結。日本は、戦後処理のために開かれたパリ講和会議で、人種差別の撤廃を欧米各国に求める一方、中国の山東半島におけるドイツの権益を要求。日本に対する、各国の警戒が強まり、中国や朝鮮半島では、反…
栄一(吉沢亮)は皆の前で宣言します。 「私は、このたび、第一線を退くこととしました。第一銀行と銀行集会所以外の役員、すべて辞任し、実業界を引退したいと思う」皆は騒然となります。「惜しんでくれてありがたい。しかし今は、時代は変り、人材もそろった…
日清戦争に勝利し、一等国への階段を駆け上ろうとしていた日本。 栄一(吉沢亮)は、喜作(高良健吾)と、血洗島に戻っていました。平九郎の位牌に手を合わせます。惇忠(田辺誠一)がいいます。 「悲憤慷慨(ひふんこうがい)していた頃の俺たちの夢が、よ…
明治二十二年(1889)、夏。上野で徳川家康が江戸城に入って三百年の節目を祝う「東京開始三百年祭」が開かれました。この祭りを企画したのは、旧幕臣たちでした。 慶喜(草彅剛)の側に仕えていた猪狩勝三郎(遠山俊也)が、水戸烈公(竹中直人)の口癖であ…
千代の死から、三ヶ月がたちました。栄一(吉沢亮)は「顔色が悪い」と喜作(高良健吾)にいわれる始末です。 「渋沢には、早う次の妻を探さにゃならんな」と、立ち上がったのは井上馨(福士誠治)です。「でなけんにゃ、日本経済そのものにも大いに差し障り…