日本歴史時代作家協会 公式ブログ

歴史時代小説を書く作家、時代物イラストレーター、時代物記事を書くライター、研究者などが集う会です。Welcome to Japan Historical Writers' Association! Don't hesitate to contact us!

明治一五一年 第14回

悲鳴は失われた形になるだろうわだかまる意識のかたちは水を剥ぐ骨髄の中心まで柔らかく穿つ悲鳴は失われた形になるだろう死者の言葉はいつまでも終わらぬ明治元年の唇の多くの掌もまた戻る悲鳴は失われた形になるだろう遠くに吊るされる人影の傾きを開く見…

第九回歴史時代作家協会賞 候補作について

第九回歴史時代作家協会賞の候補作を発表致します。 ●新人賞(デビューから3年以内の作家で、2019年6月から2020年5月までの作品が対象) [候補作] 加納則章 『明治零年 サムライたちの天命』H&I(エイチアンドアイ)2020年4月 坂上 泉 『へぼ侍』 文藝春秋…

書評『信長、天が誅する』『信長、天を堕とす』

書名『信長、天が誅する』著者名 天野純希 発売 幻冬舎発行年月日 2019年11月25日定価 本体1600円(税別) 信長、天が誅する (幻冬舎単行本) 作者:天野純希 発売日: 2019/11/26 メディア: Kindle版 書名『信長、天を堕とす』著者名 木下昌輝発売…

書評『吉原美味草紙 おせっかいの長芋きんとん』

書名『吉原美味草紙 おせっかいの長芋きんとん』著者名 出水千春発売 早川書房発行年月日 2020年4月15日定価 ¥680E 吉原美味草紙 おせっかいの長芋きんとん (ハヤカワ文庫JA) 作者:出水 千春 発売日: 2020/04/10 メディア: Kindle版 主人公の、料理人を目…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第二十一回 決戦!桶狭間

永禄三年(1560年)。駿河の今川義元(片岡愛之助)が尾張に迫ってきました。大高城、鳴海城はすでに今川方の手に落ちていましたが、ついに義元みずから大軍を率いて、沓掛(くつかけ)城まで進軍してきたのでした。 今川義元は大高城に入っている徳川家康(このと…

明治一五一年 第13回

失われた足を失われた眼が覗いている静まり返った光の内側を過っていく人があり呼ばれる掌のくぼみはいまだに終わらない繰り返される末後の風景だから人知れずに躓く明治の四十五年の死んだ人の影たちを踏みそばからまた始まるいくつかの記憶をちがう記憶に…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第二十回 家康への文

永禄三年〈1560年〉。駿府。駒(門脇文)は商人から、近々大きないくさがあるとの話を聞きます。「また、いくさですか」 と、駒はつぶやきます。 越前では、浪人の明智光秀十兵衛(長谷川博己)が寺で、子供たちに教えていました。授業を終えて家に帰ると、光秀…

『映画に溺れて』第372回 モダン・タイムス

第372回 モダン・タイムス 昭和四十七年十一月(1972)大阪 梅田 阪急プラザ劇場 赤狩りでハリウッドを逃れスイスで暮らすチャールズ・チャップリンに、一九七二年、アメリカのアカデミー賞名誉賞が贈られた。 その年、東宝系の映画館では「ビバ・チャッ…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十九回 信長を暗殺せよ

結果的に弟の信勝を殺すことになった織田信長(染谷将太)は、母の土田御前(壇れい)からひどくなじられます。信長は妻の帰蝶(川口春奈)にこぼします。「わしは父も、弟も、母も失った」 永禄元年(1558)。斎藤道三の死から二年がたちました。この年、近…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十八回 越前へ

弘治二年(1556年)。斎藤道三(本木雅弘)とその嫡男である斎藤高政(伊藤英明)によるいくさが行われました。明智光秀十兵衛(長谷川博己)は叔父の明智光安(西村まさ彦)と共に、道三方についていました。 いくさは道三の敗北に終わります。明智の城に戻ってきた光…

書評『大江戸けったい長屋ーぬけ弁天の菊之助』

書名『大江戸けったい長屋――ぬけ弁天の菊之助』著者 沖田正午発売 二見書房発行年月日 2020年5月25日定価 ¥658E 大江戸けったい長屋 ぬけ弁天の菊之助 (二見時代小説文庫) 作者:沖田 正午 発売日: 2020/04/27 メディア: 文庫 舞台の「けったい長…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十七回 長良川の対決

弘治二年(1556年)春。斎藤道三(本木雅弘)は大桑城を出、南の鶴山に向かいました。嫡男の高政(伊藤英明)と戦うためでした。 明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、叔父の光安(西村まさ彦)に合流し、道三方について戦うつもりでした。 尾張の清洲城では、…

書評『武士の流儀(三)』

書名『武士の流儀(三)』著者 稲葉念発売 文藝春秋発行年月日 2020年4月10日 定価 ¥680E 武士の流儀(三) (文春文庫) 作者:稔, 稲葉 発売日: 2020/04/08 メディア: 文庫 江戸の人々の人情の機微、息遣いまで聞こえてくる余韻。「優しさ」は生半可な優しさで…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十六回 大きな国

弘治元年(1555年)、秋。斎藤道三(本木雅弘)は二人の息子を失いました。殺害したのは嫡男(ちゃくなん)の高政(伊藤英明)でした。道三は直ちに稲葉山城を出て、美濃の北にある大桑城に向かいました。国を二分するいくさの前触れでした。 明智荘では、明…

明治一五一年 第12回

明治一五一年 第12回 いくつかの背骨を拾うためつづく並木はいくつかの不明の内にまだ洗われていく人たちの歩く道筋の彼方明治元年の帰らないには深深とした逃げいく足が平坦にならされ静かになる風向きに弱まる土に重なりつづく痛みだ明治二十八年の帰らな…

頼迅庵の新書専門書レビュー12

『江戸の小判ゲーム』(山室恭子、講談社現代新書) 江戸の小判ゲーム (講談社現代新書) 作者:山室 恭子 発売日: 2013/02/15 メディア: 新書 本書の奥付を見ると、2013年2月20日第1刷発行となっています。 発行後しばらくして買ったのですが、積ん読ままにな…

『映画に溺れて』第371回 一度死んでみた

第371回 一度死んでみた 令和二年二月(2020)築地 松竹試写室 この世に生まれた以上、人は必ず一度は死ぬ運命である。生まれてすぐに亡くなる赤子もいれば、九十、百まで長生きし天寿を全うする老人もいる。死に方も病気、事故、犯罪、戦争など様々…

書評『明治零年』

書名『明治零年』著者 加納則章発売 H&I発行年月日 2020年4月24日定価 各 本体1800円(税別) 明治零年 サムライたちの天命 作者:加納則章 発売日: 2020/05/16 メディア: 単行本 激動の幕末の諸藩。北陸の大藩である加賀藩も例外ではなく、尊王と…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十五回 道三、わが父に非(あら)ず

天文二十三年(1554年)。斎藤利政(本木雅弘)は仏門に入り、道三と号し、家督を嫡男(ちゃくなん)の高政(伊藤英明)に譲りました。道三は家臣や国衆たちの前で話します。「今朝、わしは、見ての通り頭を丸め、仏門に入り、世俗の塵(ちり)を払うた。つ…

『映画に溺れて』第370回 アウトブレイク

第370回 アウトブレイク 平成七年九月(1995)池袋 文芸坐 未知の伝染病が広がって、人がばたばたと死んでいく。という映画はいくつかある。マイケル・クライトン原作の『アンドロメダ…』は宇宙から帰還したカプセルに付着していた病原体があっという…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十四回 聖徳寺の会見

天文二十二年(1553年)二月。斎藤道三(この時は利政)(本木雅弘)は織田信長(染谷将太)のやってくるのを盗み見ていました。信長の顔を知っている明智光秀十兵衛(長谷川博己)に、彼がやってきたら自分の肩を叩くように命じます。三百の鉄砲を持った兵…

『映画に溺れて』第367~369回 ジュディ 虹の彼方に、他

第367回 ジュディ 虹の彼方に 令和二年三月(2020)新宿歌舞伎町 TOHOシネマズ新宿 ハリウッドのMGMスタジオで十代の無名の少女ジュディはプロデューサーのルイス・B・メイヤーに言われる。この壁の向こうに何があるか、わかるかね? そこに…

『映画に溺れて』第366回 生きる

第366回 生きる 昭和五十四年四月(1979)池袋 テアトル池袋 毎日休まず一年三百六十五日、好きな映画のことを書き綴った『映画に溺れて』も、今後は少し減速し、ゆるりゆるりと風の向くまま気の向くまま、思いついたときに。 浜の真砂は尽きるとも世に…

頼迅庵の新書専門書レビュー11

『なぜ武士は生まれたのか』(本郷和人、文春文庫) さかのぼり日本史 なぜ武士は生まれたのか (文春文庫) 作者:和人, 本郷 発売日: 2019/12/05 メディア: 文庫 本書はNHK放送で人気の「さかのぼり日本史」の四回分(2011年12月6日、13日、20日、27日)を文…

書評『大一揆』

署名「大一揆」著者 平谷(ひらや)美樹(よしき)発売 株式会社KADOKAWA発行年月日 2020年3月28日定価 本体1800円(税別) 大一揆 作者:平谷 美樹 発売日: 2020/03/28 メディア: 単行本 嘉永6年(1853)の三閉伊(さんへい)一揆(いっき)(いわゆる仙台越…

大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十三回 帰蝶のはかりごと

天文二十一年(1552年)。明智光秀十兵衛(長谷川博己)は、思い悩んでいました。土岐頼芸と一戦交えると宣言した斎藤道三(この時は利政)(本木雅弘)。その息子、斎藤高政(伊藤英明)は光秀にいっていました。「わしは土岐様を守る。父上と戦う」 そして…

テスト

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大河ドラマウォッチ「麒麟がくる」 第十二回 十兵衛の嫁

天文二十年(1551)。近江から帰った明智十兵衛光秀(長谷川博己)は、気の晴れない様子で、薪を割っていました。苦しい立場に立つ、将軍足利義輝(向井理)の言葉を思い出していたのです。「この世に、誰も見たことのない麒麟という生き物がいる。わしは、…

『映画に溺れて』一年三百六十五本を終えて

『映画に溺れて』一年三百六十五本を終えて 平成三十一年の四月、日本歴史時代作家協会が発足。それにともなって、公式ホームページを開設するにあたり、なにか映画のこと書いてみませんかとのお話があった。 歴史時代小説の作家が中心の会なので、時代劇映…

『映画に溺れて』第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show

第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show 昭和四十七年九月(1972)大阪 難波 南街シネマ 一年三百六十五日、毎日一本好きな映画を書き続ける『映画に溺れて』もいよいよ今回が三百六十五日めとなった。だから『ラスト・ショー』である。 時代背…