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『映画に溺れて』第238回 ステキな金縛り

第238回 ステキな金縛り

平成二十三年十月(2011)
新所沢 レッツシネパーク

 オープニングのタイトル、往年のハリウッド作品を思わせる作りになっていて、思わずにやり。
 裕福な女性が殺され、別れた夫が逮捕される。彼は犯行のあった時刻、山の旅館で金縛りに遇っていた。落武者の亡霊が体の上に乗りかかり、動けなかったと主張する。
 駄目で弱気な女性弁護士のところに仕事が回り、彼女は実際に山の旅館に調査に出かける。そして本当に出会うのだ。落武者の幽霊に。
 容疑者の主張するアリバイ、犯行時刻に金縛りに遇っていたというのは事実らしい。彼女は幽霊に依頼する。弁護側の証人として、法廷で証言してほしいと。だが、幽霊が目に見えるのは、この女性弁護士と、金縛りに遇っていた容疑者と、あとは霊感のあるごくわずかな人だけ。他の普通の人たちには見えないのだ。これでどうやって裁判になるのだろう。とんでもない裁判劇。とんでもないコメディ。
 荒唐無稽ではあるが、私はこういう遊び心が好きなのだ。
 主演クラスはもとより、ちらっと登場するだけの脇の脇まで、個性派の芸達者ぞろい。落ち武者と同じ髪型のタクシー運転手、落ち武者の末裔の郷土史家、フランク・キャプラが好きなあの世の役人、幽霊が見える法廷画家、徐霊に乗り出すインチキ霊媒師、などなど。
 TVのお笑いバラエティを見飽きた人には、ちょっといいかもしれない。

ステキな金縛り
2011
監督:三谷幸喜
出演:深津絵里西田敏行阿部寛中井貴一竹内結子浅野忠信、草彅剛、市村正親小日向文世佐藤浩市深田恭子篠原涼子唐沢寿明