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『映画に溺れて』第166回 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

第166回 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

平成三年七月(1991)
渋谷 シネマライズ渋谷

 

 イギリスの劇作家トム・ストッパードに『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』という舞台劇がある。
 デンマーク王が急死し、王弟クローディアスが王妃ガートルードと再婚して王位につく。帰国した先王の息子ハムレットは面白くない。クローディアス王は王子の真意をさぐるため、ハムレットの幼馴染の学友二人、ローゼンクランツとギルデンスターンを呼び寄せる。
 ふたりの学友は、名前もちゃんと覚えてもらえず、うろちょろするが、結局、最後にはハムレットに手紙をすりかえられて、イングランドで処刑されるという哀れな結末。ストッパードはこのふたりの脇役を主役にして、シェイクスピアの『ハムレット』の裏側を描いた。
 ローゼンクランツとギルデンスターンがハムレットやクローディアスと絡む場面はシェイクスピア通りだが、『ハムレット』では主役が舞台に残り、脇役が引っ込むところ、ここではハムレットが退場して、ローゼンクランツとギルデンスターンがそのまま会話を続ける。
 映画は原作者のストッパード自身が脚本と監督を担当し、ローゼンクランツがゲイリー・オールドマン、ギルデンスターンがティム・ロス、旅の一座の座長がリチャード・ドレイファスハムレットイアン・グレンだった。
 日本でも何度か舞台上演されていて、私は一九八五年の七月、渋谷のパルコパート3で観劇した。ローゼンクランツが矢崎滋、ギルデンスターンが角野卓造だった。
 映画はパルコパート3と道を隔てたすぐ近くのシネマライズで観たのだが、これも何かの縁であろうか。

 

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ/Rosencrantz and Guildenstern are dead
1990 イギリス/公開1991
監督:トム・ストッパード
出演:ゲイリー・オールドマンティム・ロスリチャード・ドレイファスイアン・グレンイアン・リチャードソン