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『映画に溺れて』 第43回 王様の剣

第43回 王様の剣

昭和三十九年(1964)
大阪 梅田

 子供の頃、ギリシア神話グリム童話が大好きだったが、もうひとつ、中世ヨーロッパ、アーサー王と円卓の騎士たちの伝説も憧れの世界だった。
 五年生の夏休み、祖母に連れられて観たディズニーアニメが『王様の剣』である。
 王の息子として生まれながらも、自分の出自を知らず、領主の従僕になっている少年アーサー。
 森で出会った魔法使いのマーリンから教えを受ける。
 やがて領主の息子ケイが新王を決めるためのトーナメントに出場となり、従者として同行したアーサーは宿に剣を忘れたのに気づく。取りに戻る途中で、石に刺さった剣を見つけ、ちょうどいいとばかり、それを引き抜いて持ってくる。
 それこそが、王になるべく選ばれた者にしか抜くことができないエクスカリバーだった。
 最後の場面、王となったアーサーの前に現れるマーリン。なんと未来への旅行から戻ってきたという。これは後に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のラスト、マーティの前にタイムマシンで現れるブラウン博士の設定に似ている。
王様の剣』はディズニーアニメの中ではけっこう地味だが、私のためにわざわざ連れて行ってくれた時代劇好きの祖母に感謝である。
 その後、大人になってミュージカル『キャメロット』を観て、なんだ不倫の映画なのかと呆れたり、『モンティパイソン&ホーリーグレイル』で笑ったり、ジョン・ブアマン監督の『エクスカリバー』でやっぱりファンタジーはすごいと思ったり。アーサー王の題材、私はけっこう好きなのだ。

 

王様の剣/The Sword in the Stone
1963 アメリカ/公開1964
監督:ウォルフガング・ライザーマン
アニメーション